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総合型・推薦型選抜エクストラ5月25日号

◆国公私立大：ゼミ・授業・ワークショップ参加型の特徴

総合型選抜情報

◆国公私立大：ゼミ・授業・ワークショップ参加型の特徴

総合型選抜ならではの選考法として、ゼミナール（演習）や体験授業、体験入学へ参加させ、その受講における態度、理解力、表現力、ノートまとめなどを総合的に評価して、自学の学生として適切かどうかを判定するパターンは、国公私を問わず広く導入されている。美術系では実技制作を主としたワークショップ形式、音楽系ではレッスン形式で実技水準を評価するタイプが多い。

ポイントとしては、まず比較的にエントリー（申込み）が早い時期に設定されていること。国公立大の場合、エントリー型はほぼないが、私立大では６～７月の早いケースも多いので注意してほしい。

そして最も大切なことは、ゼミ、講義、実験、ワークショップ、スクーリングなどの内容は事前に入試ガイド・要項等で公表されるので、それぞれに関連する事柄・分野を専門の入門書や資料で十分下調べし、生徒自身の興味・疑問を整理させ、プレゼンテーションのテーマ等もしっかり準備させておくべきだろう。

ゼミ・授業参加型では、受講レポートを作成させるケースも多いので、小論文とは形式・まとめ方が異なるレポートの基本的な作成方法も指導しておく必要がある。レポートらしい形式・記述を備えていないと、当然ながら評価は低くなる。そして、ゼミ・講義の後、各テーマでディスカッションをさせるケースもかなりある。この際、前述した幅広い下調べ（自主研究）を実行するのとしないのとでは、実際の討論の場で自ずと発言の質に違いが表れてくる。

いずれにしろ、この選考パターンは自主的な学習・研究に積極的な姿勢を持ち、独創的なヒラメキや個性的なセンスを備え、研究志向型の資質を備えた生徒に適していると言えよう。

◆私立大のゼミ・授業参加型は関東・近畿地区が活発

2023年度に総合型の選考でゼミ・講義・実習・スクーリング等を実施した国立大(一部は2022参考)は、北海道教育大教育(釧路校)、弘前大理工、秋田大理工、埼玉大理・工、お茶の水女子大(図書館入試)、東京海洋大全学部、東京農工大農、横浜国立大都市科学(環境リスク共生)、静岡大人文社会科学（経済）、滋賀大データサイエンス(I・II)、京都工芸繊維大工芸科学、神戸大(「志」特別選抜)、鳥取大地域(地域創造)・工(社会システム土木系)、広島大生物生産(II型)、山口大(人文・教育・経済・理・工・国際総合科学)、香川大農、高知大人文社会科学(社会科学)・地域協働、九州大共創(総合型I)・歯(総合型II)、九州工業大(総合型I)、鹿児島大(自己推薦型選抜)法文・理・医(看護学)・歯・工(建築)・農など相当数にのぼる。中でも京都工繊大は全学的に実施し、講義型の代表格といえる存在だろう。

公立大では、札幌市立大デザイン、東京都立大ゼミナール入試（理‐生命科学、都市環境‐地理環境、保健福祉）、神戸市外国語大外国語、公立鳥取環境大、島根県立大看護栄養、北九州市立大外国語(英米)、福岡女子大国際文理(国際教養)などが導入している。

一方、私立大では全選考パターンの11.3％を占める。２段階型で２次に講義・実験を含むケースを加味するとさらに増加し、全体の約15％でゼミ・講義等が導入されていることになる。これらの選考パターンでは、複数（３～５人）の教官が立ち会い、それぞれの評価システムに従って、参加者の受講態度、意欲、理解度、発言などを採点する。講義ノートも提出させるのがふつうで、レポート作成もしくは講義理解力試験等を課すケースも多い。

2023年度の地区別実施状況（弊社調査）は下記グラフのとおりで、特に関東・近畿の２地区にこの選考パターンが集中している。大学側としてはきわめて労力を要する選考法で、このパターンを廃止する傾向も若干出ているが、今日では総合型選抜における独自の選考方法として定着している。

私立大地区別「授業参加型」の導入校数（2023）

学校推薦型選抜情報

◆私立大：公募制推薦型の地区別特徴と動向

一口に公募制推薦型といっても、私立大の場合はそれぞれの地区に特有の特徴があることを知っておく必要がある。それが明白に出ているのが、専願区分、成績基準の設定、選考方法の３点で、これらの状況によって推薦型のありようが大きく異なるので注意しなければならない。

（１）専願区分
東日本（北海道・東北、関東）では大部分が専願制なのに対して、西日本では近畿の大部分、中部、中国・四国の過半数、九州の相当数が併願制（專・併の２区分含む）で実施している。言うまでもなく、専願制より併願制の方が志願者はふくらむ傾向になる。
（２）成績基準　
一般推薦における成績基準で、3.5以上の高基準を設けている大学数（2023年度）をみると、北海道・東北40校、関東81校、中部23校、近畿10校、中四国10校、九州26校で、基準設定に関しては完全に「東高西低型」となっている。特に近畿、次いで中部・中四国では基準撤廃型が主流を占める。言うまでもなく、成績基準が緩やかなほど、志願者が集中する。
（３）選考方法
芸術・スポーツ系を除く一般学部では、全般的には書類・小論文・面接型が主流を占めるものの、近畿地区では学科試験型（マーク式が主流）がだんぜん多く、次いで中四国・中部での学科試験実施率が目立つ。関東では学科試験実施率は約35％で、最も低いのは北海道・東北の19％となっている。受験生は記述力を要する小論文を敬遠しがちで、軽量型・マーク形式の基礎学力試験の方に志願者が集まる傾向が強い。

以上のような地区ごとの差異は、志願動向にもはっきり表れてくる。専願制・高基準型では少数精鋭戦、併願制・基準撤廃型では多数激戦の傾向になる。各地区の特徴を十分踏まえて、生徒の指導に万全を期すことが大切だろう。

◆私立大の地区別・学部系統別公募制推薦型実施状況

生徒の進路指導に際して、各地区の特徴・動向を十分把握しておくことが大切であるため、弊社「推薦入学年鑑」では毎年、私立大について地区ごとに(１)実施学部数、(２)成績基準の設定状況、(３)現浪比、(４)学科試験実施状況、(５)評価方法（調査書・小論文・面接）、(６)学部系統別志願者数・合格者数などの調査・統計を実施している。

今号では地区別の学部系統別実施状況（2023年度）をご紹介する（複合領域の学部は複数扱いで集計）。

＜地区別の学部系統別実施状況＞（2023年度）
地区
系統
 北海道
東北		 関東 中部 近畿 中国
四国		 九州
人文科学 20学部 94学部 43学部 65学部 20学部 26学部
社会科学 43学部 159学部 93学部 112学部 32学部 39学部
教育（教員養成） 14学部 64学部 32学部 46学部 20学部 19学部
理・工学 10学部 61学部 19学部 33学部 12学部 19学部
農・水産・獣医 2学部 18学部 3学部 4学部 2学部 1学部
保健・医療 34学部 115学部 60学部 67学部 24学部 28学部
生活科学（栄養） 11学部 30学部 20学部 23学部 14学部 11学部
芸　術 6学部 19学部 8学部 14学部 7学部 5学部
スポーツ（健康） 5学部 20学部 21学部 15学部 9学部 8学部
計 145学部 580学部 299学部 379学部 140学部 156学部

ニュースフラッシュ

私立大・学部等の2024年度新増設予定速報

本年３月末の時点で判明している私立大・学部等の新増設予定を速報する(名称は全て仮称)

[１]私立大の新設

■北海道武蔵女子大
経営学部＝経営学科(北海道札幌市)
■仙台青葉学院大
看護学部＝看護学科、リハビリテーション学部＝リハビリテーション学科(宮城県仙台市)
■愛知医療学院大
リハビリテーション学部＝リハビリテーション学科(愛知県清須市)
■高知健康科学大
健康科学部＝健康科学科(高知県高知市)

[２]私立大の名称変更

■筑波学院大
日本国際学園大に名称変更予定
■九州保健福祉大
九州医療科学大に名称変更予定

[３]私立大の共学化

■桜花学園大
2024年４月から男女共学に移行予定

[４]学部・学科等の増設・改組

■国際医療福祉大
成田薬学部を開設予定
■千葉工業大
情報科学部・社会システム科学部の２学部を情報変革科学部・未来変革科学部に改組予定
■麗澤大
経営学部・工学部を開設予定
■北里大
健康科学部を開設予定(新潟県南魚沼市)
■実践女子大
国際学部を開設予定、人間社会学部に社会デザイン学科を増設予定
■芝浦工業大
工学部を９学科→５課程９コースに改組予定
■順天堂大
薬学部(６年制)を開設予定
■女子美術大
芸術学部に共創デザイン学科を増設予定
■白梅学園大
子ども学部に教育学科を増設予定、発達臨床→子ども心理学科に改組予定
■大正大
社会共生学部・心理社会学部を地域創生学部・臨床心理学部に改組予定、公共政策学科を社会共生学部から地域創生学部に移行予定
■東京女子大
現代教養学部数理科学科に情報数理科学専攻を増設予定
■東京薬科大
薬学部で３学科を薬学科に統合予定
■東洋大
理工学部生体医工学科を生命科学部に移管予定、生命科学部応用生物科学科を生物資源学科に改組予定、食環境科学部にフードデータサイエンス学科を増設予定
■日本女子大
建築デザイン学部を開設予定
■武蔵野大
ウェルビーイング学部を開設予定
■明治学院大
情報数理学部を開設予定(神奈川県横浜市)
■麻布大
獣医学部に獣医保健看護学科を増設予定
■金沢星陵大
経済学部に地域システム学科を増設予定
■金城大
総合政策学部を開設予定
■北陸大
経済経営学部に経済学科を増設予定
■愛知淑徳大
食健康科学部を開設予定、健康医療科学部医療貢献学科に理学療法学専攻・臨床検査学専攻を増設予定
■桜花学園大
学芸学部を国際学部に改組予定
■大同大
建築学部を開設予定
■同朋大
社会福祉学部に心理学専攻を増設予定
■人間環境大
総合心理学部に総合犯罪心理学科を増設予定(愛媛県松山市)
■聖泉大
人間学部を募集停止予定
■京都華頂大
現代家政学部を現代生活学部に名称変更し、２→３学科に改組予定
■京都光華女子大
看護福祉リハビリテーション学部を開設予定で、作業療法士専攻を増設予定
■京都女子大
発達教育学部を発達教育学部・心理共生学部に分割、発達教育学部では教育学専攻・音楽教育学専攻と児童学科を教育学科に統合、心理共生学部は心理学科と養護・福祉教育学専攻を統合して開設予定
■京都文教大
総合社会学部に実践社会学科を増設予定
■大阪大谷大
人間社会学部に心理・福祉学科を増設予定
■大阪経済大
国際共創学部を開設予定
■大阪歯科大
看護学部を開設予定
■大阪電気通信大
建築・デザイン学部を開設予定
■四天王寺大
人文社会学部を文学部・社会学部に分割予定
■帝塚山学院大
人間科学部を総合心理学部・食環境学部に分割予定
■阪南大
国際コミュニケーション学部・国際観光学部を国際学部に統合・改組予定、流通学部・経営情報学部を経営学部・総合情報学部に改組予定
■森ノ宮医療大
総合リハビリテーション学部に言語聴覚学科を増設予定
■甲南大
学部横断型教育プログラムのグローバル教養学位プログラム「ＳＴＡＧＥ」を開設予定
■神戸医療未来大
健康スポーツ学部を開設予定
■神戸女学院大
国際学部・心理学部を開設予定
■宝塚医療大
観光学部を開設予定(沖縄県宮古島市)
■武庫川女子大
文学部に歴史文化学科を増設予定
■天理大
人間学部・文学部を人文学部に総合・改組予定、国際学部を２→６学科に改組予定
■ノートルダム清心女子大
国際文化学部・情報デザイン学部を開設予定
■広島国際大
健康科学部で医療福祉学科→社会学科に改組予定
■広島修道大
人文学部で人間関係学科→社会学科に改組予定
■梅光学院大
文学部を国際学部に改組予定
■久留米大
医学部に医療検査学科を増設予定
■福岡国際医療福祉大
医療学部に診療放射線学科を増設予定
■活水女子大
国際文化学部で２→１学科に統合予定、音楽学部を募集停止予定
■沖縄キリスト教学院大
人文学部に観光文化学科を増設予定

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