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総合型・推薦型選抜エクストラ10月10日号

2024学校推薦型選抜出願時の必須チェック事項

総合型選抜情報

◆私立大:2024総合型選抜の全国統計レポート(3)

私立大2024総合型選抜における選考パターン・提出課題に関する弊社の統計レポートをお届けする(比率は少数第2位を四捨五入。ただし計は100%に調整)。

<選考パターン:全国> (大学数) (比率)
事前対話型 40校 4.0%
授業参加型 107校 10.8%
書類・面接型 264校 26.7%
書類・学科試験・面接型 166校 16.8%
書類・小論文・面接型 200校 20.2%
2段階型 149校 15.0%
書類・実技型 64校 6.5%
(計) 990校 100%

(注)学部・学科により複数カウント。面談・面接にはプレゼンテーション・口頭試問等を含む


総合型選抜の選考形態は多岐にわたっている。近年はオーソドックスな書類・面接型がやや増加傾向にあるが、書類・小論文・面接型に次いで、書類・学科試験・面接型や2段階型も多く、独自の授業参加型も全体の1割強を占めている。私立短大では事前対話型が主流を占めるが、私立大では全体の4%と少なく、やはり十分な入試対策を実行する必要がある。

<提出課題:全国> 大学数(比率)
提出あり 242校(44.8%)
提出なし 298校(55.2%)
(計) 534校

総合型選抜では、選考形態の多様さと同時に、出願時に一定の課題を提出させるケースが全体の44.8%を占める。課題は一般的に小論文、レポート、作文などが主流だが、特に書類・面接型、2段階型、授業参加型、事前対話型などでの提出が目立っている。調査書、活動報告書などの出願書類と同等の重みを持つので、課題の作成には十分時間を割いて準備したい。

◆私立大:2024総合型選抜の地区別選考パターン・提出課題の状況

ここでは2024総合型選抜の選考パターン・提出課題に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。

<選考パターン:地区別>
北海道
・東北
関東 中部 近畿 中国・
四国
九州 全国
事前対話型 4 8 6 10 5 7 40
授業参加型 9 28 17 36 11 6 107
書類・面接型 23 97 44 62 19 19 264
書類・学科試験・面接型 7 71 26 41 11 10 166
書類・小論文・面接型 16 70 40 42 13 19 200
2段階型 6 71 23 35 6 8 149
書類・実技型 4 24 6 21 4 5 64
(計) 69 369 162 247 69 74 990

(注)学部・学科により複数カウント。事前面談・面接にはプレゼンテーション・口頭試問等を含む


関東地区と近畿地区における上位3つの選考形態をみると、関東地区=(1)書類・面接型、(2)書類・学科試験・面接型、2段階型、(3)書類・小論文・面接型、近畿地区=(1)書類・面接型、(2)書類・小論文・面接型、(3)書類・学科試験・面接型という状況になる。特に近畿地区は授業参加型が全国の中でも際立っている。その他の地区では全形態とも幅広く実施されているが、どの地区においても事前対話型がかなり減少している。

<提出課題:地区別>
北海道
・東北
関東 中部 近畿 中国・
四国
九州 全国
提出あり 14(28.6) 100(50.5) 38(43.2) 62(53.4) 12(30.0) 16(32.7) 242(44.8)
提出なし 35(71.4) 98(49.5) 50(56.8) 54(46.6) 28(70.0) 33(67.3) 298(55.2)
(計) 49 198 88 116 40 49 540

全国平均では、出願時の課題提出のケースは44.8%だが、それを上回っているのは関東地区の50.5%と近畿地区の53.4%で、この2地区では十分留意する必要がある。次いで中部地区の43.2%が高い。その他の地区もほぼ3割の大学が課題提出を義務づけている。

学校推薦型選抜情報

◆2024学校推薦型選抜出願時の必須チェック事項

いよいよ2024年度学校推薦型選抜への出願が目前に迫ってきた。一般選抜と異なり、高校側が責任を持って送り出す学校推薦型選抜の場合、担任や進路指導にはこの時期必ずやっておきたいチェック事項がある。その主要事項を簡潔に整理しておこう。

<提出書類のチェック>
生徒が志望する大学への出願書類の最終チェックが必要。大学や推薦区分により、それぞれ提出書類は異なる。高校側で事前に統一の出願書類チェック表を用意し、生徒に記入・提出をさせるぐらいの周到さが必要で、どれか1つの書類が欠けただけでも出願不受理となるので十分注意したい。調査書では成績基準や履修状況および履修条件の確認、特記事項等が適切に記入されているかを綿密にチェックしておきたい。推薦書については、特に推薦理由を明確かつ効果的に表現する必要がある。生徒が作成する書類(志願理由書、活動報告書、自己推薦書等)については、当然ながら誤字・脱字を含む下書きの事前チェックが欠かせない。ただし、過度の添削は禁物で、生徒の個性を尊重すべきだろう。
<面接力の最終チェック>
大学での試問事項を想定して、すでに何回かの面接トレーニングを実施されているはずだが、この直前期にはどの程度面接力が向上しているか、最終確認をし、欠点が残っていないか確認してほしい。国公私を問わず、面接は学校推薦型選抜の根幹をなすので、面接力の向上はきわめて大切だ。また、学力の3要素を把握するための選考方法として、口頭試問がかなり増加しているので、口頭試問対策も入念に準備しておく必要がある。
<小論文作成力や基礎学力の最終チェック>
小論文や基礎学力試験における弱点、不十分さが残っていないか確認して、適切に指摘・指導することによって、短期間でも十分生徒のフォローはできる。

以上の点を総合したうえで、受験生の合格可能性が60%程度以上と判断されれば、出願へゴーサインを出してよいが、合格可能性が50%を切るようなら、専願制の鉄則にふれない第2志望校(併願校)も準備しておくべきだろう。

◆推薦区分ごとの主要書類と併願手順の鉄則

学校推薦型選抜では、推薦区分によって提出書類にも差異があるが、学校長の推薦書、調査書は必須の提出書類となる。ただし、近畿地区の一部では推薦書を要しない公募推薦も目立つ。各区分の主要書類を整理しておこう。

(1)一般・特定教科・専門課程・女子学生・奨学生推薦
この5区分では推薦書・調査書が中心。ただし大学によっては志願理由書のほか自己推薦書、活動報告書等の提出を求めるケースもある。国公立大の共テ併用型では学校推薦型選抜用の成績請求票も必要になる。
(2)スポーツ推薦
学校長と部活動指導者の両方の推薦書が必要になるケースがあるので要注意。調査書も必須でほかに競技成績証明書、スポーツ競技歴書、活動報告書(資料)など。
(3)有資格者推薦
推薦書、調査書のほか大学が指定する資格・検定の取得証明書(原本提出のケースもあるので要注意)、活動報告書など。
(4)課外活動推薦・一芸一能推薦
推薦書、調査書のほか課外活動報告書、活動歴書、活動実績・検定取得証明などが必要で、なるべく詳細な資料を時系列方式で添付したほうがよい。
(5)宗教関連推薦
学校長推薦書、調査書のほか洗礼証明書、宗教関係者の推薦書、宗教活動報告書などが必要になる。
(6)地域推薦
学校長推薦書、調査書のほか地方自治体の首長や指定機関の推薦書が必要になる場合があるので注意したい。
(7)その他の推薦
学校長推薦書、調査書のほか入試内容に応じて、関係団体・同窓会・OB教員等の推薦書等が必要になる。

また、どの区分であれ志願理由書、活動報告書等を提出させるケースもかなり多いので、大学の指定内容には十分注意しなければならない。

最後に学校推薦型選抜における併願手順については、専願制のみ注意すればよい。組合せは次の3パターンになる。(1)専願制第1志望+専願制第2志望(第1志望の合格発表後に試験を実施する大学がベスト)、(2)専願制第1志望+併願制第2志望(両方合格の場合は専願制に入学)、(3)併願制第1志望+併願制第2志望(入学手続締切日に注意して志望順位を決め、納付金を節約する)。専願制と併願制を組み合わせて、両方に合格した場合、専願制に入学するのが鉄則である。詳細は弊社「学校推薦型選抜年鑑」の解説ページを参照してほしい。

ニュースフラッシュ

◆教員志願者数の減少が止まらぬ状況

公立学校教員の2024年度採用試験の志願者数は全国で12万7,855人と前年度から6,061人の減少、2020年度と比較すると、2万3,517人もの減少となっていることがわかった。 教員を取り巻く労働環境、その中でも一番の問題となっている長時間労働が、教員志願者の減少に大きく影響していることは間違いないだろう。そういった近年の志願者減少を受け、採用試験や形態を工夫し、志願者を増やした地域もある。

志願者数が減少した理由については、「教員の長時間労働問題などが知られ、学生から教職が敬遠されている」、「多種多様な職種が選べるため、教員以外の業種との競争が激しくなっている」などが挙げられている。

こういった状況に対して、各地域・機関は様々な工夫や対策を行ってきている。志願者数がこの5年で最低だった埼玉県では、民間企業などで正規雇用されて5年以上勤務した人が対象となっており、2年間の猶予期間内に大学で単位を取れば、教員免許を取得できる。また、横浜市では、今年から大学3年生も対象に加えている。その他では、試験の範囲を大幅に縮小した地域などもある。

教員志願者数は減少しているが、大学入試において教育学部の人気が下がっているかというと、決してそんなことはなく、国公私立大問わず、志願者数・競争率ともに高い部類の学部系統といってよいだろう。ただ、国公立大などの学部別就職先を見てもらってもわかるとおり、教員となっている学生は20~30%程度くらいにとどまっている大学がかなり多い。

教育は国家の根幹を支えるものである。その教育を支える教員に志願する学生が減少しているということは、学校そのものの存在も危ぶまれることとなる。授業料の無償化よりも、まずは教員の増員や待遇などの抜本的改革にお金を使うことが先ではないだろうか。

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