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総合型・推薦型選抜エクストラ5月10日号

◆私立大・短大:事前対話型の総合型のエントリーから合格までのポイント

総合型選抜情報

◆私立大・短大:事前対話型AOのエントリーから合格までのポイント

総合型選抜で受験生と大学側との双方向の事前対話(コミュニケーション)を中心に選考するパターンは、私立大では全体の6%程度(2021年度はコロナ禍で激減)と少ないが、私立短大では大多数を占める。

まず注意すべきは、その実施時期。エントリーが3年次新学期の6~7月の早い段階から始まるケースが多い。これらの大学は、文科省が実施要項で定める出願開始期(9月1日以降)にエントリーは該当しないと考えているわけだが、実施要項の改訂以降、実際にはエントリー日程を変更した大学も多いので、9月1日以降のエントリーもある。

エントリーが早いケースでは、面談・面接も6~7月に活発に行われる。面談の回数は1~3回で異なるが、一般的には2回程度が多い。第1回目で受験生の志望動機や意欲、入学後の抱負や計画、将来の希望進路などに基づき試問が行われ、明確な進学スタンスを持っているかが評価される。同時に、大学側からは教育や進路支援などに関する丁寧な説明が行われ、第2回目の面談に向けて課題等を提示するケースも多い。

第2回目の面談では、課題等の内容が審査され、入学意志の確認が行われる。当然ながら、面談の中で基礎的な学力試問を行うケースもある。提示された課題の仕上げにもベストを尽くすことが大切だ(9月以降のエントリーも手順は同じ)。

以上の審査を経て出願許可(合格内定)通知が届けば、正規の出願書類を所定期日(9月1日以降)までに提出し、合格通知後に入学手続きを取ることになる。この正規出願の段階から専願とするケースが一般的だ。

この事前対話型を活用する場合、他者とのコミュニケーションを苦にせず、積極的に楽しめるぐらいの生徒が一番適している。それに加えて、

  • (1)早い段階で第1志望が確定していること
  • (2)エントリーシート・課題の作成に万全を期すこと
  • (3)入学熱意のアピールを含め、的確な応答ができるよう面談・面接対策を徹底すること
の3点が大切になる。そして、学費納入が早いことも保護者に周知しておきたい。

◆私立大:総合型選抜の主要選考法は7パターン

弊社では2021年度の私立大総合型選抜の主要選考法を7パターンに分類し、実施状況を調査した。その結果は、下記グラフのとおりである。


私立大の選考パターンの状況(2021)


上記グラフの通り、私立大では授業参加型(体験入学・セミナー参加型含む)がかなりあり、総合型ならではの独自の選考法として用いられている。全般的には推薦型と同じ書類・面接型が中堅私立大群では最も多いが、今年度からは面接に口頭試問・プレゼンテーションなどを加えている大学も多く見受けられる。それに対して、難関・有名私立大や中堅上位群では2段階型という、きびしい選考法が導入されていることも、総合型の大きな特徴であり、その攻略を甘く考えるのは禁物といえよう。また、学科試験を課すケースも大幅に増加しており、医・薬・理工系で目立っている。

学校推薦型選抜情報

◆私立大:今日の推薦区分は一般推薦からユニーク推薦まで多彩

私立大における公募制推薦入試のありようは、1990年代に入るころから大きく変化し始めた。それまで、推薦入試といえば、学習・生活の両面でまじめであり、一定程度以上の成績水準にある生徒を学校長が推薦するものが中心で、いわば学力重視型であった。

ところが、90年代以降になると、まずスポーツ推薦や有資格者推薦、課外活動推薦などが活発化し始め、次に一芸一能推薦、特定教科推薦、宗教関連推薦など多様化し、近年では自己推薦、専門課程推薦が大幅に増加した。これらを弊社ではユニーク推薦と総称しているが、このユニーク推薦は一般推薦と比べ、多様な個性・資質・キャリアに対応する入試として、今日の大学入試の中で重要な役割を果たしていることが特筆される。

2000年代に入ると、一般推薦を主軸としながらも、多様な推薦区分を設定する複線化が激増し始め、今日では1大学が3~5区分にわたる学校推薦型選抜を実施するケースが珍しくなくなった。

現在、弊社ではユニーク推薦を自己推薦が総合型選抜に移行したため、12タイプに分類している。注目すべきは一般推薦を実施しない難関・有名私立大群でも、このユニーク推薦は活発に導入していることだ。学術・文化・芸術・スポーツ・生徒会・ボランティア活動などで実績とキャリアを積んだ受験生には、有名私立大群の攻略にこの受験ルートを活用できる。

一般選抜では不利が大きい専門・総合学科出身でも、専門課程推薦を活用すれば、大学の門戸は大きくひらける。

以上のとおり、推薦入学者が全体の4割強を占める今日、私立大の公募制推薦入試は、多様化している受験生のあらゆる能力、資質、個性に対応するものとなっている。一般選抜で第1志望合格を目ざす受験生は別として、推薦実施校群の中に第1志望がある受験生なら、公募推薦入試は最大限に活用すべき受験ルートといえよう。

◆私立大:多彩なユニーク推薦の地域別実施状況

弊社では、私立大ユニーク推薦のタイプを12種類に区分し、毎年度、その実施状況を調査統計としてまとめている。2021年度の実施状況は、下表に示す通りとなっている。

北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州 (計)
特定教科推薦 7 15 7 3 3 5 40
専門課程推薦 9 18 24 21 5 11 88
スポーツ推薦 5 27 19 22 12 8 93
有資格者推薦 9 41 15 10 7 8 90
課外活動推薦 12 25 13 16 11 4 81
一芸一能推薦 0 1 1 2 1 1 6
女子学生推薦 0 2 1 0 0 0 3
宗教関連推薦 1 7 4 7 2 2 23
同窓子女推薦 4 13 2 6 1 2 28
奨学生推薦 2 8 4 3 4 7 28
地域推薦 2 9 2 4 2 2 21
その他の推薦 5 14 2 6 2 3 32

ユニーク推薦の草分けとなったのは、スポーツ推薦、課外活動推薦、有資格者推薦だが、今日、タイプ別に見て多いのは、スポーツ、専門課程、課外活動、有資格者の4タイプ。女子学生推薦は、近年、幅広い学部系統で女子の4大進学率が上昇していることに伴って減少傾向にある。一芸一能推薦も以前と比べるとかなり減少した。また地域推薦や「その他の推薦」が相当数にのぼることは学校推薦型選抜の多様化が進んでいることを反映している。

地区別に見ると、やはり大都市圏を含む関東・近畿・中部地区での実施が目立つが、特に地域的な偏りはなく、全国的に展開されていることが分かるはずだ。

ニュースフラッシュ

◆2020(令和2)年度大学入学者選抜実施状況の概要(2)推薦入試

文科省は2020年度の国公私立大・短大の推薦選抜実施状況のまとめを公表した。入試全体としては国公・私立大とも志願減という状況の中で、推薦入試の概要を紹介する。

<国立大>

実施大学・学部数は前年より2校2学部減の76校287学部。大学数としては全体の92.7%、学部数では71.6%が実施した。志願者数は803人(2.5%)増の32,337人とやや増加。合格者数は101人増の12,145人で、平均倍率は2.6倍から2.7倍へ若干上昇した。入学者数は99人増の12,089人で、全体に占める割合は12.2%→12.4%へと伸びている。

<公立大>

実施大学・学部数は新設校もあり、90校194学部となり、2校1学部増加。志願者数は前年より72人(0.4%)増えて20,183人となり、6年連続で最高記録を更新し続けている。合格者数は51人(0.6%)増の8,415人で、平均倍率は前年と同じ2.4倍であった。入学者数は42人増の8,386人で、全体に占める割合は前年の25.1%から25.3%へ上昇している。

<私立大>

実施大学・学部数は、前年より2校減、46学部増で584校1,860学部となった(指定校制を含む)。大学数では全体の98.3%、学部数では99.2%が実施した。志願者数は前年より17,574人(3.6%)増の503,924人。推薦戦線の白熱化が続いている。合格者数は18,821人増の274,565人で、前年度に続いて合格枠をゆるめる傾向が目立った(ただし一部には逆の傾向もある)。平均倍率はここ4年で1.7倍→1.8倍→1.9倍→1.8倍という推移。注目されるのは入学者数もかなり増加し、218,889人となったが、入学手続き率は79.7%とわずかに80%台を割った。この結果、推薦入学者比率は前年の42.6%→44.4%へ上昇している。

<公立短大>

実施大学・学科数は14校34学科。志願者数はやや減って1,458人で、合格者数は若干上昇して1,153人。平均倍率は1.4倍→1.3倍へ若干ダウン。入学者数は1,138人で、全入学者の44.2%となり、前年の40.8%からかなり上昇している。

<私立短大>

実施大学・学科数は283校547学科で、前年より13校6学科の減少。大学数では96.9%、学科数では94.6%で実施率はやや低下している。志願者数は前年より1,263人(4.0%)減の30,320人で、3万人の大台を割り込む日が近そうだ。合格者数も1,306人の大幅減で27,180人であった。平均倍率はここ数年1.1倍で推移している。入学者数は1,368人減の25,252人であった。入学者比率はここ4年で60.6%→58.3%→56.1%→55.0%へ低下した。

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