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AO・推薦入試エクストラ7月25日号

私立大・短大:2016AO入試の出願条件の設定状況

AO入試情報

◆私立大・短大:2016AO入試の出願条件の設定状況

弊社では例年AO入試に関する出願条件を(1)成績基準、(2)取得資格・活動実績の2区分で統計を取り続けている。最近の動向を展望してみよう。

<成績基準>
■私立大
2016年度の場合、成績基準を必須条件とするケースが76校(14.6%)で、前年の70校から6校増加して、2011年度の実施要項改訂以降、増加傾向をたどっている。ただし、高基準の設定は少ない。複数条件の1つとしているケースは12校で前年と変わらず。成績基準を設けないケースは、前年の83.7%から83.1%へ若干減少した。
■私立短大
成績基準を必須条件としているのは全体のうちわずか22校(前年23校)、複数条件の1つとして設定しているのは前年と同じ3校のみで、両方を合わせても16%弱で、この状況はほとんど変動していない。私立短大最大の重視項目は「入学熱意」といっても過言ではない。
<取得資格・活動実績>
■私立大
2016年度の場合、必須条件としているのは112校(18.7%)と多い。さらに複数条件の1つとして設定しているケースも98校(16.4%)にのぼり、両方を合せると全体の約35%を占め、この設定状況はAO発足以来、ほとんど変わっておらず、AO入試の大きな特徴となっている。
■私立短大
活動実績・取得資格を必須条件としているケースは、わずか15校(5.7%)どまり、複数条件の1つとして設定しているケース27校(10.2%)を加えても42校(15.9%)で、4大と比べてもかなり差異がある。こうした状況は、AO発足以来ほとんど変化しておらず、このハードルの低さが私立短大でAO入学率が2割余を占める大きな要因といえよう。

◆私立大:2016AO入試の地区別出願条件設定の概要

2016全国版「AO入試年鑑」で成績基準、取得資格・活動実績に関する地区別統計がまとまったのでご紹介する(入試区分・学部等で異なる場合は複数扱いで集計)。

<成績基準>
地区 必須条件 複数条件の1つ 設けない
北海道・東北 6校(14.0%) 0 37校(86.0%)
関東 24校(12.4%) 8校(4.1%) 162校(83.5%)
中部 14校(16.7%) 0 69校(83.3%)
近畿 21校(17.9%) 3校(2.6%) 93校(79.5%)
中国・四国 5校(12.2%) 0 36校(87.8%)
九州 6校(13.6%) 1校(2.3%) 37校(84.1%)

上記の一覧表に示す通り、必須条件としての設定率が最も高いのは近畿地区。その他の地区はいずれも1割強で、推薦入試と比べで成績基準のハードルはきわめて低い。

<取得資格・活動実績>
地区 必須条件 複数条件の1つ 設けない
北海道・東北 4校(9.5%) 11校(26.2%) 27校(64.3%)
関東 46校(20.1%) 39校(17.0%) 144校(62.9%)
中部 11校(12.8%) 8校(9.3%) 67校(77.9%)
近畿 33校(22.7%) 23校(15.9%) 89校(61.4%)
中国・四国 4校(9.5%) 4校(9.5%) 34校(81.0%)
九州 14校(25.5%) 13校(23.6%) 28校(50.9%)

必須条件としての設定率が高いのは九州、近畿、関東の3地区。複数条件の1つとして活用率が高いのは、北海道・東北、九州の2地区だろう。また、九州地区は「設けない」ケースが約半分にすぎない点が注目される。

推薦入試情報

◆2015年度公募制推薦入試の実施状況が判明

現在、弊社では9月初旬発行予定の全国版「推薦入学年鑑」の制作に全力を注いでいるが、このほど全ての大学・短大の推薦実施状況が判明したので、速報でご紹介する。

募集校 公募実施校 指定校のみ 公募実施率 実施せず
国立大 82校 77校 0校 93.9% 5校
公立大 84校 82校 0校 97.6% 2校
私立大 580校 554校 23校 95.5% 3校
公立短大 15校 15校 0校 100% 0校
私立短大 311校 309校 2校 99.4% 0校

7月上旬現在、募集停止は私立大0校、私立短大3校が判明しており、2016年度の学生募集校は上記のとおりとなっている。

国立大は東京大・京都大が加わり2校増加。今年度に実施しないのは北海道大、東北大、東京芸術大、京都工芸繊維大、九州大の5校となっている。

公立大は、募集校・公募実施校とも前年と同じ。推薦入試を実施しないのは、京都市立芸術大と九州歯科大である。

私立大の学生募集校は、3校増えて580校。公募実施校は前年より5校増の554校となった。公募の新規導入校は、東北工業大、東京音楽大、清泉女子大の3校。完全指定校制は前年よりさらに2校減少して23校だが、関東地区だけで22校(うち東京都が15校)を占める。公募・指定校制とも実施しないのは、東京慈恵会医科大、日本医科大、立命館アジア太平洋大の3校である。

公立短大は15校全てで実施。私立短大は募集停止が3校で、学生募集校数は311校と前年より4校減。その99.4%に当たる309校で公募制を実施する。完全指定校制は北海道武蔵女子短大、城西短大の2校。公募・指定校制とも実施しない短大は皆無となっている。

◆私立大:2016地区別公募推薦実施校と完全指定校制一覧

弊社の全国版「推薦入学年鑑」で実施した2016の実施状況等の調査から、地区別の実施状況および完全指定校制の私立大・短大をレポートしておこう。

<地区別実施校数>
実施校数
国立大 公立大 私立大 公立短大 私立短大
北海道・東北 12校 16校 57校 4校 36校
関東 18校 10校 188校 1校 85校
中部 15校 19校 88校 4校 59校
近畿 12校 12校 125校 1校 63校
中国・四国 10校 14校 44校 3校 29校
九州 10校 11校 52校 2校 37校
77校 82校 554校 15校 309校

私立大の場合、やはり関東地区が群を抜き、次いで近畿・中部地区の大都市圏に集中するが、その他の地区もほぼ全てが公募推薦を実施している。

私立短大の場合、大都市圏で短大数が減少しているのが特徴(4大に吸収など)で、各地区の実施状況は4大ほど差がない点が注目される。

次に完全指定校制で実施するのは、自治医科大、文星芸術大、日本薬科大、開智国際大、秀明大、国学院大、国際基督教大、芝浦工業大、白百合女子大、成蹊大、成城大、聖心女子大、東京女子大、東京神学大、東京造形大、武蔵大、武蔵野音楽大、明治学院大、立教大、関東学院大、聖マリアンナ医科大、洗足学園音楽大、南山大の23校で、前年より2校減となった。また、近畿・中四国・九州の3地区に完全指定校制が皆無なのも注目される。

ニュースフラッシュ

◆28年度「選抜実施要項」は中教審答申を色濃く反映

本年5月27日付けで出された「平成28年度大学入学者選抜実施要項」は、先般の中教審答申「高大接続・入試改革」の提言をふまえ、より具体的な内容を示すものになっていることが注目される。ここでは、要項の項目ごと、主要な変更点をみておこう。


<第1 基本方式>

「大学入学者選抜は、各大学がそれぞれの教育理念に基づき、生徒が高等学校段階までに身につけた力を、大学において発展・向上させ、社会へ送り出すという大学教育の一貫したプロセスを前提として~(中略)~大学への入口段階で入学者に求める力を多面的・総合的に評価することを役割とするものである」と明快に規定。選考の際、「各大学は、年齢、性別、国籍、家庭環境等に関して多様な背景を持った学生の受入れに配慮する」という一文も加わった。

さらに「学力を構成する特に重要な以下の三つの要素をそれぞれ適切に把握するよう十分留意する」と明記している。

  • (1)基礎的・基本的な知識・技能
  • (2)知識・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し、成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力
  • (3)主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度この3点は近い将来の大学入試の核になると予測される。

<第2 入学者受入方針>

従来よりもディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーそれぞれを明快に示して、各大学の努力を促す内容へ変化し、高等学校で履修すべき科目や取得が望ましい資格なども「入学後の教育課程を踏まえ」て示すこととされている。

<第3 入試方法>

従来の選抜法に、新たに集団討論、プレゼンテーション、活動報告書、大学入学希望理由書及び学修計画書などが加えられた。

<第4 調査書>

従来の「調査書を十分活用することが望ましい」から「調査書を十分活用する」に改められた。また、大学で評価する事項を調査書にどう盛り込むのかという記載方法等を具体的に募集要項に記載することも義務づけている。

<第5 学力検査等>

個別学力検査について「入学受入方針に基づき」定めるという一文が加わった。また、資格・検定試験等の成績の活用については、平成27年3月11日付文部科学省初等中等教育局長・高等教育局通知「英語力評価及び入学者選抜における資格・検定試験の活用について」を明示し、一層の徹底を図る姿勢がうかがえる。

大学入試改革が迫る2019・2020年が近づくにつれ、選抜実施要項の内容も次第に変化していくと思われる。高校教育段階でも、それに対応した脱皮・変革が求められるようになる可能性が高い。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(4):国公私立大・短大別にみる出願要件の概要

推薦入試(公募制)における出願要件(推薦条件)は、国立・公立・私立ごと独自の特徴や傾向がある。それらを十分ふまえた上で、適切な指導を行うことが大切だ。

[国立大]
どのようなタイプの推薦であれ、全て専願制で実施する。出身課程については、全課程対象と対象課程を限定する2タイプがあり、どちらも履修条件を設けるケースがあるので要注意。現・浪区分については、現役ないし1浪までが中心になっている。私立大と異なり、ユニーク推薦の導入はごく少なく、取得資格・活動実績が必要なケースも少ないが、教員養成系の保体関係は競技等の実績基準を設けているケースが多い。つまり、全般的には一般推薦が中心で、出願要件のカギは成績基準ということになる。多くがA段階を対象とするが、やや低いケースで4.0以上、ごく一部にB段階の3.5以上で出願できるケースもある。成績基準は、セ試併用型より免除型での設定率が高く、専門課程型では○A(マルA)を要求するケースも少なくない。
なお、医学部では県内高校を対象とする地元枠がかなり導入されており、その定員枠も比較的大きい。次いで教員養成系や看護系で地元枠の設定が目立つ。近年では学部ごとに「求める学生像」や「特定要件」を詳細に設定するケースも増加しているので注意したい。
[公立大]
国立大と同様、全て専願制で実施される。出身課程については、全般的に全課程対象が多く、一部に専門課程対象がある。大事な点は、地元型か全国型かで、全般的に地元型が主流だが、近年は全国型(枠)も増加しつつあるので、他県(市)の高校でも活用できる余地は十分ある。
成績基準については、国立大より若干緩やかで、一般学部では3.6~4.0のゾーンでの設定が目立つ。むろん、医学系や一部の学部では4.3以上の高基準を設定している。
[私立大]
公募推薦の場合、地区ごとにかなり差異があるので、十分注意してほしい。まず専願区分だが、全体をみると東日本は専願制、西日本(中部・近畿・中四国)は併願制主流と大きく異なる。ただ、対象課程は国公立大と異なり、ほぼ出身課程の制限はない。一般・ユニーク推薦を合せて多様な入試区分が設けられており、今日の多様な受験生に対して、柔軟な出願要件が設定されているのが、私立大ならではの大きな特徴だろう。
一般推薦における成績基準の設定状況(2015)をみると、基準なしが34.2%(前年34.8%)、2.7~2.9が1.0%、3.0~3.4が35.3%(前年37.1%)、3.5~3.9が26.3%(前年23.8%)、4.0以上が3.4%といったところだが、実施要項の改訂以降「基準なし」は徐々に減少し、3.0~3.4と3.5~3.9の設定が増加する傾向を示している。
[公立短大]
全て専願制で実施される。公立の4大と比べ、予想外に全国型(枠)の導入率も高い。有資格者・活動実績者や専門課程を対象とする特別推薦の実施も活発だ。成績基準については、3.5~4.0のゾーンが主流で、私立短大より格段にハードルが高い。
[私立短大]
専願区分・対象課程については、ほぼ私立大と同様の傾向だが、ユニーク推薦では自己推薦が群を抜いて多い。地元中心の指定校制に依存する割合が高いのも特徴だろう。公募制の一般推薦では、基準なしが全体の54.4%、2.7~2.9が6.4%、3.0~3.4が34.7%を占め、3.5以上の高基準設定はわずか4.5%にすぎない。ただ、実施要項の改訂以降は新たに3.0以上を中心に基準を設定するケースが若干増える傾向にあるので留意しておきたい。

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