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AO・推薦入試エクストラ9月10日号

私立大:2014AO入試全国統計レポート(1)

AO入試情報

◆私立大:2014AO入試全国統計レポート(1)

弊社が毎年実施しているAO入試に関する諸統計の結果について、数回に分けてレポートする。第1回は、私立大の学部別実施状況を中心にご紹介する。

まず、AO入試実施校は469校で、前年より3校増加。地区別の実施校数は次のとおり。

北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
43校 170校 78校 100校 37校 41校

学部系統別の実施状況(複合学部は複数扱い)をみると、計1,317学部で前年より24学部増加している。昨今、学校数は伸び悩んでいるが、本年度の学部増はかなり大幅といえる。内訳は次のとおり。

学部系統 2014年度学部数(比率%) 2013年度比増減
人文科学 221(16.8%) +5(+0.1%)
社会科学 487(37.0%) -8(-1.3%)
教育(教員養成)  128(9.7%) +17(+1.2%)
理工 123(9.3%) -7(-0.8%)
農・水産・獣医 16(1.2%) ±0(±0%)
保健・医療 129(9.8%) +8(+0.4%)
生活(栄養) 80(6.1%) +2(+0.1%)
芸術 74(5.6%) -1(-0.2%)
スポーツ(健康) 59(4.5%) +7(+0.5%)

本年度の実施学部数では、教育(教員養成)系の増加が最も多く、次いで保健・医療系、スポーツ(健康)系の増加が目立っている。これは、近年の学部新増設傾向とも一致している。社会科学系の減少は、学部の統合・再編がかなりあったことも影響していよう。

全体の実施学部数は、推薦入試の計1,654学部と比べてまだ少なく、特に保健・医療系は実施数が推薦入試の半分程度にとどまっている。

◆私立大:地区別2014AO入試の学部実施状況

ここでは、私立大の2014年度AO入試に関する地区別の実施学部状況をご紹介する。私立大では地区ごとの実施状況にかなり差異があるので、進路指導に際しては十分留意してほしい。なお、弊社統計では複合領域の学部は複数で集計している。

系統 北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
人文科学 15 81 27 60 18 20
社会科学 43 177 78 119 33 37
教育(教員養成) 9 49 20 26 15 9
理工 10 56 14 21 14 8
農・水産・獣医 0 10 1 2 2 1
保健・医療 13 51 17 25 14 9
生活(栄養) 3 27 15 18 11 6
芸術 6 26 10 20 7 5
スポーツ(健康) 4 16 13 16 5 5
(計) 103 493 193 307 119 100

どの地区も社会科学系が最も多く、特に北海道・東北、中部の2地区では4割を超える。最も学部数の少ない農・水産・獣医系は、全16学部のうち10学部が関東地区に集中している。人気の高い教育系、保健・医療系は各地区とも相当数が実施している。

推薦入試情報

◆私立大:学部系統別2013公募推薦入試の志願動向(弊社集計)

弊社では全国版「推薦入学年鑑」の発刊と共に、私立大の公募推薦入試の動向を把握するため、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2013入試結果のまとめからレポートしておきたい(データ公表校を集計、一部は指定校制データを含む)。学部系統別の志願・合格状況は、次のとおりであった。

系統 志願者数 合格者数 倍率
人文科学 43,228人 21,561人 2.0倍
社会科学 81,722人 42,383人 1.9倍
教育(教員養成) 17,916人 7,451人 2.4倍
理工 25,840人 12,662人 2.0倍
農・水産・獣医 5,928人 2,265人 2.6倍
保健・医療 34,915人 13,165人 2.7倍
生活(栄養) 13,850人 5,500人 2.5倍
芸術 6,316人 3,757人 1.7倍
スポーツ・体育(健康) 8,971人 4,777人 1.9倍
(計) 238,686人 113,521人 2.1倍

2012年度集計では約5千人、2.4%の志願減であったが、2013年度は約1万2千人、5.5%の大幅増加に転じたことが特筆される。農・水産・獣医系、芸術系、スポーツ・体育(健康)系の3分野は微減であったが、その他の分野では志願者が増加した。特に社会科学系、保健・医療系の増加が際立っている。全体の平均倍率も2.0倍→2.1倍と若干きびしくなっているので、十分注意する必要がある。学部系統別の平均倍率では、教育系の2.4倍、農・水産・獣医系の2.6倍、保健・医療系の2.7倍、それに管理栄養士養成を含む生活系の2.5倍が高い。

◆私立大:地区別2013公募推薦入試の志願動向(弊社集計)

弊社で独自に集計した2013公募推薦入試の地区別志願状況についてご紹介する(データ公表校を集計、一部は指定校制を含む)。

地区 2013年度 2012年度 増減数 増減率(前年)
北海道・東北 6,412人 6,075人 +337人 +5.5%(-8.3%)
関東 46,782人 44,627人 +2,155人 +4.8%(-2.2%)
中部 24,621人 23,519人 +1,102人 +4.7%(-2.9%)
近畿 141,999人 132,938人 +9,061人 +6.8%(-2.5%)
中国・四国 9,634人 9,980人 -346人 -3.5%(+7.5%)
九州 9,238人 9,082人 +156人 +1.7%(-6.5%)
(計) 238,686人 226,221人 +12,465人 +5.5%(-2.4%)

2012年度は中国・四国地区のみが志願増、その他の地区は全て志願減であったが、2013年度は全く逆の志願動向となった。推薦戦線でも隔年現象が生じることがあるので十分留意する必要があることを示している。

特に注目されるのは、例年、全国志願者の約半数が集中する近畿地区が約9千人、6.8%の大幅増となった点だろう。関東、中部の大都市圏でも3年ぶりに志願増に転じた。北海道・東北、九州の地方圏も微増ではあるが、3年ぶりに志願増となっている。AO・推薦入試のいずれも2013年度は志願増で、大学入試戦線に変化の兆しが表れているので十分注意したい。

ニュースフラッシュ

◆26年度学部等の設置届出受理(6月分)を公表

文部科学省は、このほど6月分の学部等の設置届出受理状況を公表した。それによると、私立大の学部設置が5校、私立短大の学科設置が2校、私立大の学科設置が9校となっている。

<私立大の学部設置>
■千葉商科大
人間社会学部=人間社会学科200
■明星大
デザイン学部=デザイン学科120(造形芸術学部は募集停止)
■諏訪東京理科大
工学部=機械工学科65、電気電子工学科65、コンピュータメディア工学科70(システム工学部は募集停止)
■プール学院大
教育学部=教育学科100(国際文化学部の子ども教育学科は募集停止)
■吉備国際大
外国語学部=外国学科80(社会科学部ビジネスコミュニケーション学科と文化財学部文化財修復国際協力学科は募集停止)
<私立短大の学科設置>
■帯広大谷短大
地域教養学科50(総合文化学科は募集停止)
■青森明の星短大
子ども福祉未来学科=保育専攻100、介護福祉専攻40(現代介護福祉学科、子ども学科は募集停止)
<私立大の学科設置>
■東北芸術工科大
デザイン工学部=コミュニティデザイン学科30
■聖心女子大
文学部=史学科55、人間関係学科55、国際交流学科60、心理学科55(歴史社会学科は募集停止)
■帝京大
福岡医療技術学部=看護学科80、診療放射線学科60
■文京学院大
保健医療技術学部=看護学科100
■長岡大
経済経営学部=経済経営学科80(環境経済学科、人間経営学科は募集停止)
■新潟医療福祉大
医療技術学部=視機能科学科
■中部学院大
看護リハビリテーション学部=看護学科80(人間福祉学部健康福祉学科は募集停止、リハビリテーション→看護リハビリテーション学部に名称変更)
■東海学院大
健康福祉学部=管理栄養学科80(短大部児童教育学科は募集停止)
■帝塚山大
文学部=文化創造学科(人文学部英語コミュニケーション学科は募集停止、人文→文学部に名称変更)

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(6):AO入試に向く生徒の個性・資質のチェック

大学入試のメインは一般入試、次いで推薦入試である。その2つと比較すれば、AO入試の受験市場は小さいが、大学入試の多様化を促進する上で、AO入試は独自の役割を担っている。2016年度からは京都大が導入する予定で、今後AO入試への関心は高まると予測される。各高校の進路指導部をAO相談に訪れる生徒も少なくないはずである。高校側では、国公立大、私立大それぞれのAO入試の現状・特質を十分把握したうえで、入試のマッチングを検討する必要がある。

ここでは、どのような生徒がAO入試に向くか、(1)共通事項、(2)国公立大、(3)私立大の3つの観点から考察しておこう。

(1)共通事項。

まず志願理由書、自己推薦書、活動報告書等の提出書類を通して、自分の進学目的や適性・能力・意欲等を明確に大学側へアピールできる内容性(学習・課外活動・取得資格など)と表現力を備えていることがポイントになる。とりわけ志望校の教育・研究における特性や卒業後の進路状況に関する十分な理解と、生徒自身との適合性を認識して、「明確な進学目的」を持っているかどうかを重視すべきだろう。

次に大多数の大学では、面接によって学力水準や適性・能力を判定する。面接の場で、明快に応答できる能力が不可欠になるので、応答・対話を苦手とする受験生の場合は、積極的に発言・対話・討論ができるよう指導する必要がある。

第三に、大学側が設定している「求める学生像」と生徒のマッチングを十分に検証することが大切になる。明らかに学究型や高度専門職業人の候補を求めるタイプのAO入試に、それらへの志向が希薄な生徒を送り込んでも徒労に終わる。近年は各大学とも綿密にアドミッションポリシーを明示しているので十分注意したい。

(2)国公立大

成績基準の有無にかかわらず、できる限り高学力層が適している。特に専攻教科に関連する成績水準は、高い方がよい(最低でも4.3以上)。募集枠が小さい学部・学科が多いので、調査書の学習記録は合否判定できわめて重要になる。

セ試併用型では、過去の当該校の入試データ(セ試)を調べて、合格者の平均点か、悪くても受験者の平均点以上の得点を見込める学力が必要になる。言うまでもなく、医・歯・薬学系では70~80%以上の得点力が見込めないと合格は難しい。セ試の予測得点ラインが出願の可否を左右する。

また、面接や小論文に対応できる力も不可欠で、いわゆる受験勉強にはさして身を入れていなくても、個性的・自主的な学習・研究活動には熱中するタイプなら、AO入試は最適の受験ルートといえる。国公立大では志望する学問領域への高い適性および資質が不可欠といえる。

(3)私立大

私立大で最も基本的なことは、専願区分のいかんに関わらず、第1志望としての入学熱意になる。生徒が志望校を十分研究した上で、入学を希望しているかどうかが前提条件で、単に早期合格を確保したいという動機なら、再考を促す必要がある。

私立大のAO入学者比率が10%を超えている今日、私立大におけるAO入試は高度人材発掘型、高学力型、課外活動型、有資格型、入学熱意型など様々に多様化しているが、各タイプに向く生徒の個性、能力、資質等の判断はさほど困難ではないだろう。各大学のアドミッション・ポリシーに沿って、各選考パターンへの適性をチェックすればよい。特に中堅私立大群にあっては、一般入試に対応できる学力、あるいは推薦入試にふさわしい成績水準を備えていなくても、生徒の目的志向やチャレンジ姿勢次第でAO入試の門戸は広く開かれている。

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