ＡＯ・推薦入試エクストラ10月10日号

国立大のセ試併用型はラスト３か月の学力強化が重要！！

ＡＯ入試情報

◆国立大のセ試併用型はラスト３か月の学力強化が重要！！

文科省の25年度大学入学者選抜の概要によると、ＡＯ入試でセンター試験（セ試）を課すのは、国立大が25校63学部、公立大が３校５学部（弊社調査では４校６学部）となっている。国立大では実施学部の約４割がセ試併用型で実施する。

言うまでもなく、セ試の用い方は(１)最終合否で一定得点以上を対象とする、(２)書類・面接・小論文等との総合点で合否を決定、(３)セ試で一定得点以上に２次選抜を実施、の３パターンになるが、国立大では(１)(３)の用い方が相当数にのぼるので、セ試併用型ではセ試得点力が志望校の合格水準に達するかどうかが出願の分岐点になる。一般的に医学系では75～80％と基準が高いが、薬学系は70～75％程度（一部に80％）、その他では60％前後の設定が多いが、できるだけ高得点を取るのが望ましいことは無論である。

そこで、面接・小論文対策と併行して、ラスト３ヶ月はセ試対策にベストを尽くす必要があることを生徒には十分周知徹底し、助言とフォローに万全を期したい。10月を迎えたこの時期になると、実力が伸び始める生徒も多い反面、長期の受験学習と思うように学習成果があがらないために心が折れかけている生徒も決して少なくないはずである。

生徒の学力と志望校の合格水準をよく検討して、個別にラスト３ヶ月の取り組みを話し合い、生徒の奮起を促してほしい。ＡＯ入試を志望する生徒には、必ずそれぞれの夢がある。それを原動力として、基本学力を効率的・集中的に身につける努力を継続できれば、ＡＯ入試でセ試基準点をクリアすることは決して難しくない。ひいては、それが一般入試へのベスト対策ともなる。進路指導部と生徒の皆様の今後のご健闘をお祈り申し上げている。

◆セ試を課す国公立大と基準点一覧

ＡＯ入試でセ試を課す大学・学部の一覧をまとめておく。詳細は弊社の「ＡＯ入試年鑑」を参照してほしい（カッコ内は基準点がある場合の数値を示す）。

■旭川医科大: 医＝医（75％程度）
■北海道大: 医＝医学系（810/900点、化Ⅰ・生Ⅰの合計点が160点以上）、保健学系、応用理工学系（520/800点、数学150点以上および物Ⅰ・化Ⅰのいずれか150点以上）
■弘前大: 医＝医
■東北大: <ＡＯⅢ期>法・教育・経済・医・歯・薬・工・農
■千葉大: 教育＝小学校（60％）
■電気通信大: 情報理工＝先端工学基礎
■東京工大: 工＝第２～６類
■東京農工大: 農＝環境資源科学（390/600点）
■横浜国大: 教育＝教科教育（570/900点）、理工＝建築都市・環境系（海洋空間のシステムデザインＥＰ）
■信州大: 理＝地質科学（450/900点）
■富山大: 経済昼（200/400点）、理＝地球科学（210/400点）
■金沢大: 理工＝機械工（人間機械・エネルギー環境）・電子情報（生命情報）、医薬保健＝薬・創薬科学（640/800点）
■福井大: 工（ＡＯⅡ）＝機械工、電気電子工、情報・メディア工、材料開発工、物理工
■静岡大: 理＝地球科学
■三重大: 工（２月実施）＝機械工・分子素材工・情報工
■大阪大: 理（研究奨励）
■神戸大: 発達科学＝人間行動・人間環境、医＝医、海事科学＝グローバル輸送科学（540/900点）
■島根大: 総合理工＝理工特別コース（55％以上かつ数理２科目が60％以上）、教育＝学校教育（55％）
■岡山大: 教育＝学校教育・養護教諭、法＝法（昼）、環境理工＝環境数理（540/900点）、環境デザイン工（300/500点）環境物質工（360/600点）、薬
■広島大: 教育＝初等教育（600/900点）、特別支援教育、自然系（585/900点）数理系、技術・情報系（250/500点）、社会系（585/900点）、教育学系（600/900点）、心理学系（620/900点）、法夜（275/500点）、経済＝経済昼Ａ（560/900点）、経済昼Ｂ・夜（250/500点）、医＝保健（540/900点、専門型500点以上）、医（720/900点）、薬＝薬科学（700/900点）、歯＝歯（650/900点）、口腔健康（500/800点）、工＝第二類（390/600点）、生物生産（Ａ型＝380/700点、Ｂ型＝390/600点、Ｃ型＝540/900点、科学オリンピック型＝390/600点）
■愛媛大: 法文＝人文ＡＯⅡ（国語・外国語の合計360点）、教育＝学校教育・特別支援教育、理＝全学科、農＝生物資源ＡＯⅡ、スーパーサイエンスＡＯⅡ
■九州大: <ＡＯⅡ>理＝物理・化学・地球惑星科学・数学・生物、医＝保健、歯、芸術工＝全学科、農
■長崎大: 医＝医（80％）、歯＝歯（70％）、薬＝薬科学（75％）、工ＡＯⅡ（最高得点科目が80％以上）
■大分大: 医＝医
■青森県立保健大: 健康科学＝理学療法（７割程度）
■青森公立大: 経営経済＝全学科
■兵庫県立大: 工、理（数学は各科目90点以上、理科は計150点以上）、環境人間
■九州歯科大: 歯＝歯（630/950点）、口腔保健（450/850点）

ニュースフラッシュ

◆平成25年度国公立大入学者選抜の概要を公表

文部科学省は本年７月末現在でまとめた平成25年度の国公立大入学者選抜の概要を公表。選抜実施大学・学部数は、全体では162校554学部で、公立大で１校２学部増加。募集人員の合計は、国立96,310人で前年より９人減、公立は28,181人で前年より408人増となっている。以下、入試区分別に概要とポイントをご紹介する。

＜一般入試＞: 日程別では分離分割方式が160校542学部で前年より１校３学部増。うち前期日程が増え、後期日程が若干減。中期日程および別日程には変化がない。センター試験をみると、６教科型が71校167学部から73校172学部へ、５教科型が133校466学部から134校457学部へ増加し、負担増の傾向が続いている。個別学力検査の教科別状況には大きな変動はない。２段階型選抜実施を予告したのは41校121学部で、前年より１学部増加している。
＜ＡＯ入試＞: 国立は47校137学部が実施。学校数は変わらないが、学部数が２学部増加。公立は１校２学部増えて23校35学部となっている。うちセンター試験を課すのは、国立が25校63学部（前年23校59学部）、公立は前年と同じ３校５学部で、国立でセ試併用化の傾向が進んでおり、学部数のみでみるとＡＯ実施学部の43.8％がセ試併用型となっている。
＜推薦入試＞: 実施校・学部は、国立が76校267学部、公立が78校163学部。実施率を学部単位でみると、国立70.1％に対して公立は94.2％と高い。センター試験を課すのは、国立が55校133学部（前年より１校５学部増）、公立が21校33学部（同２校５学部増）で、本年度は国立だけでなく、公立でもセ試併用型の増加が際立っている。

【連載コラム】ＡＯ・推薦入試基礎講座

◆ＡＯ入試（７）：学部系統別実施状況と動向

＜国公立大＞: 2013年度現在、国立大では全学部の36.0％、公立大では20.2％の学部でしかＡＯ入試は実施されておらず、当然ながらＡＯでの実施学部層が薄い分野も多々あるので注意したい。文系では人文科学系は少なく、比較的に社会科学系が多いが、法学系での実施はきわめて少ない。全般的には保健・医療系、理工系、農学系などの自然科学系や教員養成系での導入が目立っている。
＜私立大＞: 私立大では推薦入試と比べてもそう差がないほど実施学部数が増え、しかも全系統にわたって豊富にそろっているのが特徴だろう。弊社の調査では、各系統の実施学部数、比率（％）は次のようになっている（複合領域の学部は複数扱いで集計）。また、カッコ内は推薦入試の実施学部数・占有率を示す。

系統	学部数	占有率
人文科学	216（273）	16.7％（16.7％）
教育（教員養成）	110（155）	8.5％（9.5％）
社会科学	495（549）	38.3％（33.6％）
理工	130（147）	10.1％（9.0％）
農・水産・獣医	16（28）	1.2％（1.7％）
保健・医療	121（241）	9.4％（14.7％）
生活（栄養）	78（106）	6.0％（6.5％）
スポーツ（健康）	52（61）	4.0％（3.7％）
芸術	75（76）	5.8％（4.6％）