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AO・推薦入試エクストラ11月25日号

文科省の2012AO入試実施状況の概要(2)国立大

AO入試情報

◆文科省の2012AO入試実施状況の概要(2)国立大

文科省が公表した2012(平成24)年度の大学入学者選抜実施状況の概要に基づき、今号では国立大のAO入試実施状況をレポートする。志願者数・合格者数とも若干増加しており、国立大AOの動向に十分留意したい。

■実施大学・学科数
2012年度にAO入試を実施した国立大は47校135学部で、前年と同じであった。一部に大学・学部の変動はあったが、全体の実施状況は変化していない。
■志願者数
前年より190人(2.0%)増えて、総数は9,870人となった。国立大AOの志願者数が1万人を超えたのは、2008年度・2010年度の2年度のみで、ほぼ1万人前後で推移している。
■合格者数
前年より145人(5.3%)増加して、総数は2,865人となった。平均競争率は3.4倍。志願者の増加率をかなり上回っている点が注目される。年度により優秀な受験生層が増えることもある。
■入学者数
合格者増に伴い、入学者数も前年より151人(5.6%)増えて、計2,855人となった。全入学者に占めるAO入学者の比率は2.9%となり、前年の2.7%から0.2ポイントの微増となった。

有力総合大の多くがAO入試を実施しない中で、2.9%の比率は決して無視できない。今後もAO入試には万全の態勢で臨んでほしい。

◆公立大・短大の2012AO入試実施状況の概要

ここでは文科省が公表した2012大学入学者選抜実施状況から、公立大・短大のAO入試に関する概要をレポートする。衆知のとおり、公立大・短大でのAO実施率は低いが、第1志望校・学部が実施するケースは、貴重な受験ルートとして活用されている。

<公立大>
■実施大学・学科数
前年より1校1学部増えて23校39学部がAO入試を実施した。ただ実施率そのものは25.9%と依然として低い。
■志願者数
前年より69人(3.4%)減少し、1,979人と3年ぶりに2千人台を下回った。
■合格者数
志願減とは逆に合格者数は前年より23人(4.2%)増えて、567人となり、平均競争率は3.5倍。ピーク時は2010年度の688人で、それと比較すると少ない。
■入学者数
前年より24人(4.5%)増え、総数は561人となった。その結果、全入学者に占めるAO入学者比率は1.9%となり、前年より0.1ポイント上昇した。
<公立短大>

実施大学・学科数は4校7学科のみで前年と同じだが、志願者数は133人→106人へ、合格者数は87人→68人へ、入学者数は87人→66人へいずれも減少した。公立短大では、AO入試より推薦入試が主流となっている。

推薦入試情報

◆文科省の2012推薦入試実施状況の概要(2)国立大

文科省が公表した2012(平成24)年度の大学入学者選抜実施状況の概要に基づき、今号では国立大の推薦入試の実施状況についてレポートする。実施大学・学部数が増加したにも関わらず、志願者・合格者とも微減となっている。

■実施大学・学科数
前年の74校263学部から2校5学部増え、76校268学部が実施した。増加分には東京外語大、東京工大(第1類)、神戸大経営などが含まれる。
■志願者数
前年より631人(1.8%)減少して、総数は33,736人となった。有力大・学部の新規参加にも関わらず、全体の志願者数は微減となっている。
■合格者数
前年より135人(1.1%)減少して、12,448人となり、平均競争率は2.7倍で前年と同じであった。
■入学者数
前年より140人(1.1%)減少して、総数は12,428人となった。その結果、全入学者に占める推薦入学者の比率は前年の12.5%から0.1ポイント下がって12.4%となっている。

全般的にみて、国立大の推薦入試ではセ試併用型が増加傾向にあり、それが志願動向にかなり影響しているとみられるが、まだセ試免除型の方が多く、推薦実施校では推薦入学者の比率が大学・学部により30~50%を占めるので、今後とも推薦対策には万全を期す必要がある。

◆公立大・短大の2012推薦入試実施状況の概要

ここでは文科省が公表した2012大学入学者選抜実施状況から、公立大・短大の推薦入試に関する概要をレポートする。衆知のとおり、公立大・短大は推薦入学者の比率がかなり高いので、積極的に活用を検討する必要がある。

<公立大>
■実施大学・学科数
実施校は1校増え78校であったが、学部数は廃止のケースもあり、前年と同じ162学部で推移している。
■志願者数
前年より702人(4.2%)とかなり増加して、総数は17,293人となり、最多記録を更新した。
■合格者数
前年より272人(3.9%)増えて、計7,228人となった。平均競争率は2.4倍で前年とほぼ同じ。
■入学者数
前年より200人(2.9%)増えて、総数は7,153人となった。その結果、全入学者に占める推薦入学者の比率は、前年の23.7%から24.0%へ上昇した。
<公立短大>

実施大学・学科数は18校45学科で前年と同じであったが、志願者数は137人(6.4%)減少して2,000人。合格者数は105人(6.6%)減の1,479人。平均競争率は前年とほぼ同じ1.3倍であった。全入学者に占める推薦入学者の比率は前年の43.2%から42.7%へ若干低下している。

ニュースフラッシュ

◆東大:春入学・秋始業への折衷案へ向かう?

2011年4月、東大の浜田総長が主導した秋入学全面移行構想は、現代日本の社会に大きな波紋を広げた。翌年1月には中間まとめを公表、4月には学内検討会議を設置し、同5月には旧帝大など12大学で作る協議体「教育改革推進懇談会」を設置したが、本年10月、検討会議が教授会に提示したのは「4月入学、9月始業」という案であった。全面移行へのステップと位置づけ、2014年度からの実施を提示したが、果たして一歩前進なのか、後退なのか、評価は分かれている。

同案によると、入学時の4月~8月はギャップタームに位置づけられるが、教養学部の意見を入れて、4・5月にはフレッシュプログラムを導入している。学習課程は従来どおり前期・後期の2課程制だが、前期は21ヵ月、後期は27ヵ月となる。学期は8学期制となるが、従来より半年間、学習時間が削減される。ただ、毎年6~8月の3ヵ月にわたる夏休み期間にサマープログラムを実施するため、従前と比較して、より人間性豊かな東大生を期待できる可能性は予見できるかもしれない。

経団連などの産業界が早急な秋入学移行を望むスタンスであるのとは対象的に大学側の歩みは遅い。東大と同様に「春入学、秋始業」を検討しているのは、一橋大と東京工大ぐらいで、秋入学化によらずとも国際化・グローバル化に対応できるとする大学が圧倒的に多い。つまるところ、国家試験や就活実施の抜本的改革を含めた、国家戦略としての制度設計が不可欠となる。天下の東大をもってしても、単独で全面移行を図ることは困難だという現実が明白になったようだ。しかし、世界の潮流が日本の遅々とした歩みを待ってくれるか、はなはだ疑問といえよう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(8):国公私別・学部系統別実施状況と動向

国公立大で推薦入試を実施する学部系統には、例年、大きな変動はない。それに対し、新増設・学部改組などが活発な私立大では、数年間で実施構図が大きく変化することがある。国公私立それぞれの実施学部の状況を弊社の2013年度に関する独自統計(公募制・昼間部)でみてみよう(複合領域の学部は複数扱い)。

<国立大>

まず推薦入試を全く実施しないのは、北海道大、東京大、東京芸術大、京都大、京都工芸繊維大、九州大、ごく一部の学部でしか実施しないのは東北大、東京外語大、東京工大、一橋大、大阪大、広島大で計13校。これらの中には推薦入試からAO入試へ全面移行した大学も含まれるが、これら全てが推薦入試を導入しない限り、推薦入試システムそのものが脇役に追い込まれたままの状況が続くだろう。

2013年度に実施したのは82校中の76校で計278学部。文系の実施学部数は、人文科学24(8.6%)、社会科学49(17.6%)で全体の4分の1程度。理系は理学26(9.4%)、工学47(16.9%)、農・水産34(12.2%)、保健・医療44(15.8%)と豊富で全体の5割強を占める。教育・教員養成も46学部(16.6%)と多い。反面、生活科学は3学部、芸術・体育は5学部と少ない。理系志望の受験生にとって、国立大の推薦入試のメリットは大きく、特に医学系は人気が高い。

<公立大>

推薦入試を実施しないのは京都市芸大、九州歯科大の2校で、81校中79校、192学部で実施する。文系の実施学部数は、人文科学17(8.9%)、社会科学54(28.1%)とかなり多い。理系では保健・医療の54学部(28.1%)が群を抜いて多いのが特徴だが、その中心は看護学部で、医・薬学部は国立より少ない。理工学は25学部(13.0%)、農・水産は8学部(4.2%)で、理系の比重は全体の45%程度。国立と比べると生活科学15(7.8%)、芸術・体育14(7.3%)の2分野がそろっているという特徴がある。ただし、教育系は5学部だけと少ない。

<私立大>

全私立大576校のうち94.4%にあたる544校が公募制を実施し、実施学部数は1,636学部と多い。全系統にわたって実施学部が豊富にそろっている。文系では人文科学273(16.7%)、社会科学549(33.6%)で全体の5割を占める。これに近年増加した教育155(9.5%)を加えると全体の6割となり、私立大の実施構図は「文高理低型」となっている。

理系では、この10年ほどで薬・看護・医療系学部が大幅に増え、保健・医療が241学部(14.7%)となり、理工学の147学部(9.0%)を大きく引き離している。農・水産は28学部(1.7%)で国立より少ない。これら3分野の理系は、全体の25%程度となっている。

その他、私立大では生活科学106(6.5%)、芸術76(4.6%)、スポーツ・健康61(3.7%)の3分野の学部数も豊富で、男女を問わず、推薦入試で多様な受験生を受け入れる基盤が整っている。

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