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AO・推薦入試エクストラ9月10日号

私立大:2018公募推薦入試の学部別志願動向(弊社集計)

AO入試情報

私立大:2018AO入試結果の集計レポート

弊社では全国版「AO入試年鑑」の発刊に際して、私立大のAO入試の動向を把握するため、毎年、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2018AO入試結果の集計状況からレポートしておきたい(データ公表校のみ集計)。

学部系統別の志願者数・合格者数の状況は次のとおりであった。

学部系統 志願者数 合格者数 平均倍率(前年度)
人文科学 15,067 8,383 1.8倍(1.7倍)
社会科学 35,817 19,693 1.8倍(1.6倍)
教育・教員養成 8,465 4,694 1.8倍(1.9倍)
理工学 5,986 3,364 1.8倍(1.7倍)
農・水産・獣医 770 536 1.4倍(1.4倍)
保健・医療 15,601 5,036 3.1倍(3.3倍)
生活科学(栄養) 3,837 2,179 1.8倍(1.8倍)
芸術 10,044 5,685 1.8倍(1.6倍)
スポーツ(健康) 9,728 4,811 2.0倍(2.0倍)
(計) 105,315 54,380 1.9倍(1.8倍)

全体の志願者数は、2017年度より10,495人、11.1%の大幅増となり、前年に続いて2年連続の大幅増となった。合格者数も前年よりかなり増えていて、平均倍率はここ4年間の1.8倍→1.9倍と若干上昇している。

学部統計別にみると、志願増となった分野は、人文科学、社会科学、理工学、農・水産・獣医、保健・医療、生活科学、芸術、スポーツの8分野で、教育・教員養成系だけが微減となっている。平均倍率でみると、特に保健・医療系は人気が高く、倍率も3.1倍と全系統の中で抜きん出ている。次いで、スポーツ・体育(健康)系の2.0倍が目立つ。農・水産・獣医系は合格者を絞り込む傾向があり、そのため倍率も高めで推移していたが、ここ5年では倍率が最も低くなっている。なお、理工学系の志願者数が6千人を下回ったことも注目され、総体的にAO入試では文系人気が際立った。

正確なAO入試の統計は、例年、秋ごろ公表される文部科学省の発表を待たねばならないが、本年鑑の統計と大きな差異はなく、私立大AO入試の人気が高いことには引き続き留意すべきだろう。

◆私立大:2018AO入試の地区別志願動向

私立大のAO入試戦線は、地区によって差異が大きいので十分注意する必要がある。弊社が集計した地区別の2018AO入試結果は次のとおりとなっている(カッコ内は前年度比の増減を示す)。

地区 志願者数 合格者数 平均倍率
北海道・東北 4,899人(+76人) 3,640人(+113人) 1.3倍(1.4倍)
関東 64,569人(+6,705人) 30,105人(+857人) 2.1倍(2.0倍)
中部 10,028人(+899人) 6,183人(+457人) 1.6倍(1.6倍)
近畿 17,163人(+1,931人) 8,763人(+525人) 2.0倍(1.8倍)
中国・四国 3,899人(+121人) 2,555人(+139人) 1.5倍(1.6倍)
九州 4,757人(+763人) 3,134人(+411人) 1.5倍(1.5倍)

全般的にみて地方圏の私立大では、入試区分ごとのデータ公表状況が芳しくないという事情はあるが、全体の動向は弊社の統計でも明白に表れてくる。2018年度の場合、全地区とも志願増となり、とりわけ関東地区の激増、次いで近畿地区の大幅増が目立つ。また、例年と同様に志願者数では関東地区が群を抜いて多く、全AO志願者数の61.3%を占めている。

合格者が増加したのも全地区だが、近畿地区では合格者を絞り込む傾向が見られた。

また、関東と近畿を比較すると、推薦入試が「東低西高」型であるのに対して、AO入試では完全に「東高西低」型の入試構図になっていることも見て取れよう。これは、関東地区が推薦入試ではきびしい成績基準を設けるのに対して、AO入試ではほぼ基準設定がないことによっている。

推薦入試情報

◆私立大:2018公募推薦入試の学部別志願動向(弊社集計)

弊社では全国版「推薦入学年鑑」の発刊以来、私立大の公募推薦入試の動向を把握するため、多角的な統計作業を毎年実施している。今回は、まず2018入試結果のまとめからレポートしておきたい(データ公表校を集計、一部は指定校制データを含む)。学部系統別の志願・合格状況は、次のとおりであった。

系統 志願者数 合格者数 倍率(前年度)
人文科学 52,426人 21,065人 2.5倍(2.2倍)
社会科学 113,206人 40,917人 2.8倍(2.5倍)
教育(教員養成) 18,000人 8,313人 2.2倍(2.2倍)
理工 32,019人 12,974人 2.5倍(2.3倍)
農・水産・獣医 7,934人 2,954人 2.7倍(2.9倍)
保健・医療 45,539人 17,771人 2.6倍(2.7倍)
生活(栄養) 13,485人 5,990人 2.3倍(2.2倍)
芸術 6,028人 3,292人 1.8倍(1.7倍)
スポーツ・体育(健康) 9,946人 5,434人 1.8倍(1.8倍)
(計) 298,583人 118,710人 2.5倍(2.4倍)

2012年度集計では約5千人(2.4%)の志願減であったが、2013年度は約1万2千人(5.5%)の大幅増加に転じ、2014年度以降は一貫して志願増が続いてきた。そして2018年度も約1万3千人(4.7%)の志願増となったことが特筆される。つまり、推薦戦線はここ6年連続で増加しているわけである。ここ6年では特に人文科学系、社会科学系の文系の増加が際立ち、教育系、保健・医療系ではやや慎重な出願傾向がうかがえる。過去6年、全体の平均倍率も2.1倍→2.2倍→2.3倍→2.4倍→2.4倍→2.5倍とかなりきびしくなっているので、十分注意する必要がある。学部系統別の平均倍率では、保健・医療系が合格者の増加でやや倍率がダウン。人文科学系と社会科学系の倍率は近年で最も高くなっている。

◆私立大:2018公募推薦入試の地区別志願動向(弊社集計)

弊社で独自に集計した2018公募推薦入試の地区別志願状況についてご紹介する(データ公表校を集計、一部は指定校制を含む)。

地区 2018年度 2017年度 増減数 増減率(前年)
北海道・東北 6,956人 6,855人 +101人 +1.5%(-0.3%)
関東 43,589人 43,393人 +196人 +0.5%(-0.4%)
中部 25,134人 24,234人 +900人 +3.7%(+4.4%)
近畿 203,157人 190,908人 +12,249人 +6.4%(+2.6%)
中国・四国 11,477人 11,622人 -145人 -1.2%(+14.6%)
九州 8,270人 8,154人 +116人 +1.4%(-1.8%)
(計) 298,583人 285,166人 +13,417人 +4.7%(+2.5%)

2012年度は中国・四国地区のみが志願増、その他の地区は全て志願減であったが、2013年度は全く逆の志願動向となり、2014年度は近畿・中四国を除く4地区で再び志願減となり、2015年度はかつてない9.4%もの大幅増となった。推薦戦線でも地区により隔年現象が生じることがあるので十分留意する必要がある。

特に注目されるのは、例年、全国志願者の5~6割が集中する近畿地区がここ4年約2万3千人、約1万人、約5千人、約1万2千人の大幅増となった点だろう。2018年度の志願増も、この近畿地区の大幅増が主要因といってよい。次いで中部地区でかなり志願者が増えた。成績基準の厳しい関東地区が平均1.6倍なのに対して、基準撤廃・併願型の近畿地区は3.5倍(前年3.2倍)もの激戦区となっている。

ニュースフラッシュ

◆民間英語(4技能)試験の入試利用でまだ多くの国立大が未定

2020年度から始まる大学入学共通テスト、記述式の試行テストが残した課題も大きいが、それ以上に英語の民間試験の活用法について、国立大の方針決定が大幅に遅れている現状が朝日新聞の調査で明らかになった。同社が学部入試を実施する国立大82校に確認したところ、8月10日時点で具体的な方針を示したのは12校どまりで、37校は「活用するかも未定」と回答している。

大学入学共通テストは、現在の高1生から対象となる。国大協によると、国立大は入試の変更を行う場合、受験生の準備などを考慮して試験実施の2年前の7月に基本方針を示すのが通例。国大協は全受験生に民間試験を課す方針でガイドラインを示しているが、半数近くの国立大でこの方針に沿うのかさえも決まっていない。

民間試験では8種の試験が合格している。2023年度までは大学入試センターが作成する「読む・聞く」の2技能を測る試験も継続される予定で、国大協は双方の試験を必須とし、民間試験の成績について、(1)出願資格、(2)センター英語に加点、(3)両方の組合せ、の3パターンを示している。出願資格とする場合は、国際標準規格(CEFR)の6段階で下から2番目の「A2」(英検準2級クラス)以上、加点する場合は英語配点の「2割以上」とする目安も決定している。

朝日新聞の調査によると、(1)とするのは東京外国語大や滋賀大など4校、(2)を採用するのは岩手大、愛知教育大など6校で、いずれも配点割合は今後の検討課題。広島大は一定の条件を満たせば、センターの英語試験を満点扱いする。(3)と回答したのは長崎大、熊本大の2校。また、「活用」は決定しているものの、具体的な方法が未定なのは筑波大、三重大、京都大、山口大など計33校にのぼる。

一方で、北海道大、東京大、名古屋大、大阪大、九州大など37校は、活用するかどうかも含めて「未定」と回答。学内の議論がまとまらない、と説明する大学が多かったという。

こうした状況の中、多くの国立大の決定に影響を及ぼしているのが東京大の動向だろう。民間試験の活用方法を検討するために設けられた同大の学内ワーキンググループは7月、公平性を疑問視し、「民間英語試験の成績の提出を求めない」を最優先の案とする答申を公表したのだ。活用を求める国大協のガイドラインを否定する内容で、各大学に大きな衝撃が走った。これを契機に、議論が掘り出しに戻った大学もかなりあるようだ。

いずれにしろ、決定の時期が遅れては、受験生への影響が大きい。国立大82校の全てが、それをよく考慮して善処してほしいものだ。なお、大学入試の英語で、民間試験を100%扱いする訳ではない。あくまでも、現代の高校英語教育を国際レベルへ引き上げるのが眼目のはずで、その点も重視してほしいものだ。

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