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総合型・推薦型選抜エクストラ11月10日号

私立大:2021公募推薦入試の全国統計レポート

総合型選抜情報

◆大学側が実施する入学前教育とその対応

総合型選抜で現役合格を確保した生徒たちにとって、12月~翌年3月までの学習と活動は、きわめて大切である。生徒たちが大学生活に向けて、学力の質向上や人間形成面で努力することが求められる。そこで、大学側も様々な入学準備教育のプログラムを用意しているが、そのパターンや特徴を見ると同時に、高校側の留意点をチェックしておきたい。

(1)基礎学力の補強添削型
入学予定者に主要教科(英・数・理中心)の基礎学力を改めて再確認させ、補強することを主眼とする大学では、問題冊子等を送付して、その学習を求める。このタイプでは、外部の予備校・添削会社に委託して、通信添削の形式で実施するケースも多い。生徒がまじめに課題に取り組んでいるか、見守る必要がある。
(2)課題・推薦図書に基づくレポート提出型
大学側が一定の課題図書、推薦図書を設定し、入学予定者が希望の図書に沿って小論文なり、レポートを仕上げ提出するタイプで、全般的にはこのタイプが主流を占める。大学によって、入学までに1~3回と課す回数は異なる。課題を選ぶ際、取り組み方、書き方など、基本的なアドバイスをして、生徒の成長をサポートしたい。
(3)スクーリング型
地元・地域の受験生が中心になる大学・短大では、入学までに数回のスクーリングを設定して、入学予定者に大学生活の準備、入門講義、基礎的な演習・実験、レポートなど、様々なプログラムを実施して、高校生活からスムーズに大学生活を迎えられるようサポートする。一般的に土・日を利用して実施されるので、高校の授業にも支障はない。生徒が必ず参加するよう留意してほしい。
(4)総合プログラム型
入学準備教育の内容・質が高く、複数の内容を組み合わせて、大学生活にふさわしい資質を育成しようとするタイプ。成蹊大経営学部の例(2020年度)をあげると、(1)課題図書の内容要約と感想(指定された課題図書リストから2冊を読んで、指定された用紙に要約等を記入する)、(2)経営学・会計学エッセイに基づく考察(指定されたエッセイを2つ読んで、日常生活を経済学・経営学の視点から考察する)、の2つがある。生徒にとってかなり時間と労力を要する内容だが、まじめに取り組めばそれなりの成果が期待できるので、高校側もサポートを通じて、生徒の成長を見守りたい。
(5)強化合宿型
小論文やレポートの提出も課すが、最終的には総合型入学予定者だけの2~3泊の合宿を実施して、入学準備教育の仕上げを行うタイプ。内容は入門ガイド、基本教科の重要事項の補強など。この形態をとる大学は少ないが、合宿参加で生徒の姿勢は大きく変化するので、必ず参加するよう勧めたい。
(6)共通テスト・外部検定試験の受験型
全体からみれば数は少ないが、センター試験の受験、外部検定試験の受験を義務づけるケースがある。広い意味で、入学準備教育の一環として実施しており、これらの受験を怠った場合、入学許可を取り消すケースもあるので十分注意したい。

学校推薦型選抜情報

◆私立大:2021公募推薦入試の全国統計レポート

弊社では、毎年、私立大の公募推薦入試に関する諸統計をまとめている。今号では、地区別実施学部数の詳細をご紹介する(全国集計は弊社「推薦入学年鑑」の解説ページにグラフを掲載。複合学部は複数扱いで集計)。

<地区別公募推薦実施学部数> *ユニーク推薦含む
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
人文科学 21 94 41 63 19 23
社会科学 42 176 91 110 34 38
教育(教員養成) 14 64 31 42 21 17
理・工学 9 63 18 29 12 19
農・水産・獣医 2 18 3 4 2 1
保健・医療 34 108 59 67 24 24
生活科学(栄養) 12 28 19 21 14 13
芸術 6 21 8 14 7 5
スポーツ・体育(健康) 5 25 21 17 8 8
(計) 145 597 291 367 141 148

全ての学部系統にわたって実施学部の層が厚いのはやはり関東地区、次いで近畿・中部の2地区だろう。全地区とも人文科学系、社会科学系、保健・医療系、教育系、理工学系の5分野は豊富にそろっているが、その他の分野については地区によってかなり格差があるので注意する必要がある。

特に実施学部数が地区で10校未満の系統の志願動向には十分注意する必要があり、農・水産・獣医系は関東地区への一極集中が目立っている。全般的には、就職実績や資格志向の目立つ分野、例えば保健・医療系、教育系、管理栄養系などの人気が目立っている。

◆私立大:2021地区別一般推薦の成績基準の設定状況

私立大における一般推薦の成績基準の設定状況は、地区によって大きな差異があるので、十分留意してほしい(全国集計は弊社の「推薦入学年鑑」の解説ページにグラフを掲載)。
北海道
東北
関東 中部 近畿 中 国
四国
九州 (計)
なし 9 48 50 89 21 19 236
2.7 0 2 1 0 0 1 4
2.8 0 0 0 0 0 0 0
2.9 0 0 0 0 0 0 0
3.0 13 48 25 7 14 14 121
3.1 0 6 0 0 1 1 8
3.2 10 34 11 3 3 9 70
3.3 10 28 12 2 1 4 57
3.4 2 10 3 0 2 0 17
3.5 26 53 18 6 5 13 121
3.6 6 5 4 0 1 1 17
3.7 2 5 4 0 0 4 15
3.8 4 12 2 1 2 4 25
3.9 0 1 0 0 0 0 1
4.0 1 10 0 4 0 0 15
4.1 0 2 0 0 0 0 2
4.2 0 2 0 0 0 0 2
4.3 0 0 0 0 1 2 3

上記の表から分かるとおり、成績基準の設定が最もきびしいのは関東地区、次いで北海道・東北地区の東日本。反対に基準設定が緩やかな地区としては近畿があげられ、基準を設けないケースが約8割を占める。次いで、中部地区、中国・四国地区の基準が緩やかで、こと成績基準については「東高西低」の構図が明白に見て取れる。また、学力把握措置の強化に伴って、近年は基準撤廃のケースがやや減少し、3.0~3.4と3.5以上のゾーンの設定が増える傾向にある。

ニュースフラッシュ

共通テスト出願は第1日程に99.82%が集中

2021年1月に2つの日程で実施される大学入学共通テストについて、コロナ禍で学習が遅れた現役生が選択できる第2日程(1月30・31日)の出願者は789人だったことを大学入試センターが15日に発表した。予測されたこととはいえ、現役志願者のわずか0.18%にすぎず、個別試験との日程がつまりすぎたことが影響したとみられる。

志願者数は10月14日現在の集計で、通常どおりの第1日程(1月16・17日)を選んだ現役生は44万7,673人。浪人生を含めた出願総数は53万5,244人で前年度より約2万2千人の減少となった。確定数は12月に公表される。

大学入試を巡っては、コロナ禍で3か月近くの長期休校を余儀なくされた高校がかなりあったことから、全国高校長協会が全体の日程を1か月ほどずらすよう要請したが、文科相はこの6月、第1日程の2週間後に第2日程(第1日程の追試を兼ねる)を設けることを決定した。

ただ、大学の個別試験が例年と同じ2月1日以降となり、第2日程を選べば、日程のあきがほぼなくなり、対策に難があるとみられていた。

共通テスト対策の時間が長くとれるという第2日程の利点より、その間にコロナやインフルエンザに感染するリスクや、すぐ後に私立大入試が控えるデメリットを受験生は重視したといえそうだ。夏以降、多くの高校が夏休みの短縮や諸行事の中止で授業時間を確保し、授業の遅れがほぼ解消さえた点も影響している。第2日程を選んだ受験生は想定以上に少なかったわけだが、第2日程を選んだ受験生がいる以上、受験機会の確保に努めるのは当然だろう。なお、第2日程の特例追試は2月13・14日に実施される。

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