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総合型・推薦型選抜エクストラ9月25日号

私立大:2025総合型選抜の全国統計レポート(2)

総合型選抜情報

◆私立大:2025総合型選抜の全国統計レポート(2)

私立大2025総合型選抜における専願区分、成績基準、資格・活動実績基準に関する弊社の統計レポートをお届けする(比率は少数第2位を四捨五入)。

<専願区分> (大学数) (比率)
専願制 460校 63.8%
併願制 201校 27.9%
専・併 43校 6.0%
非公表 17校 2.3%

総合型選抜では全体の約7割は専願制で実施し、併願制は27.9(前年度26.4)%だが、AO時代と比べると併願性がかなり増加している。その要因としては、併願制で実施していた自己推薦入試の移行、近畿地区の公募制推薦(併願)が総合型選抜に移行したことがあげられる。また、総合型は出願期が早いので、3年次の早期に第1志望校を絞り込んだ生徒でないと、総合型選抜は活用しにくい。

<成績基準> (大学数) (比率)
設定なし 495校 74.1%
複数条件の1つ 28校 4.2%
必須条件 145校 21.7%

学校推薦型選抜との大きな相違点の1つが、成績基準の設定がきわめて少ないことだろう。必須条件としているのは全体の21.7%(前年23.2%)で、約8割は成績基準を設けておらず、多くの志願者が流れ込む最大要因となっている。

<資格・活動実績> (大学数) (比率)
設定なし 502校 66.6%
複数条件の1つ 72校 9.4%
必須条件 191校 25.0%

成績基準と異なり、取得資格や活動実績を設定する割合は、複数条件の1つと必須条件を合わせて34.4%と全体の4割近くを占め、増加傾向にある。逆の見方をすれば、資格や活動実績を持つ生徒には、総合型選抜は現役合格へのパイプとなりうる入試であると言えよう。ただし、上位私立大群では総合型枠がさほど大きくなく、出願要件と合格可能性を慎重に検討する必要がある。

◆私立大:地区別2025出願条件の設定状況

ここでは2025総合型選抜の出願条件に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。

<専願区分>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
専願制
46校 144校 83校 99校 39校 49校
併願制
9校 94校 35校 44校 7校 12校
専・併
1校 13校 9校 17校 3校 0校
定めず
2校 10校 1校 3校 0校 1校

学校推薦型選抜では併願制が主流の中部・近畿・中四国地区においても、総合型選抜は専願制が主流なので要注意。一方、関東地区の学校推薦型選抜は専願制が主流だが、総合型選抜では併願制が全体の36.0%(前年33.9%)となっており、受験生が活用しやすい要因の1つとなっている。

<成績基準>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし
49校 182校 81校 101校 37校 45校
複数条件の1つ
0校 7校 5校 11校 1校 4校
必須条件
8校 50校 26校 37校 9校 15校

成績基準を必須条件として設けるケースは、かつては近畿地区が最も多かったが、近年は関東地区が50校で最多となっているが、2025年度では前年度から9校も減少しており、若干、成績基準の軟化がみられる。また、一部の有名私大を除き、全般的に総合型選抜の基準は緩やかである。

<資格・活動実績>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし
50校 177校 81校 111校 39校 44校
複数条件の1つ
4校 26校 10校 17校 1校 14校
必須条件
10校 74校 26校 52校 14校 15校

必須条件としての設定率が最も高いのは近畿地区で28.9%、次いで関東地区の26.7%、中国・四国地区の25.9%の順となっている。

学校推薦型選抜情報

◆国公立大:2024学校推薦型選抜の学部系統別志願動向(統計レポート2)

前号では私立大の志願動向を紹介したが、今号では国公立大の学部系統別志願動向の調査統計もまとめているのでレポートしておきたい。

<国立大>
国立大の学部系統別志願動向は次のとおりであった。
学部統計 志願者数 合格者数 競争率(前年度)
人文科学
1,328人 490人 2.7倍(2.6倍)
社会科学
5,039人 2,315人 2.2倍(2.3倍)
教育・教員養成
6,218人 2,468人 2.5倍(2.6倍)
理学
1,520人 740人 2.1倍(1.9倍)
工学
6,208人 2,751人 2.3倍(2.2倍)
農・水産・獣医
2,330人 972人 2.4倍(2.3倍)
保健・医療
6,097人 2,033人 3.0倍(3.0倍)
生活科学(栄養)
200人 50人 4.0倍(3.9倍)
芸術
381人 120人 3.2倍(3.2倍)
体育・スポーツ
286人 176人 1.7倍(1.6倍)
(計)
29,607人 12,112人 2.4倍(2.4倍)

国立大は全て公募制で入試結果の非公表校もないので、弊社集計と11月公表される文科省統計の誤差も小さいとみられる。まず全体的に志願者数の上位をみると、教育・教員養成系、工学系、保健・医療系の3分野が約6千人でベスト3を占める。次いで社会科学系の5,039人、農・水産系の2,330人が続いている。理系(理・工・農・保健)の志願者数は約1万5千人で、全体の54.6%を占める。教育・教員養成系が第1位になっていることは、この分野の志望者は女子が多いこともあり、推薦志向が強いとみられている。

一方、合格者でみると、工学系、教育・教員養成、社会科学系、保健・医療系の順に多い。最も合格者数が少ないのは生活科学系でわずか50人にとどまっている。

その結果、競争率では生活科学系の4.0倍が最も高く、次いで芸術系3.2倍、保健・医療系3.0倍、人文科学系2.7倍の順となっている。社会科学系、理・工学系はやや倍率が低く、学校推薦型選抜活用の余地がまだ大きいと言ってよい。

◆公立大:2024学部系統別志願動向

ここでは公立大の2024学校推薦型選抜の志願動向をレポートする。衆知のとおり、公立大は一部で指定校制を実施しており、全体の数値は弊社統計と文科省統計では若干差異が生じることをおことわりしておく。公立大の2024学校推薦型選抜結果の集計状況は以下のとおり。

学部統計 志願者数 合格者数 競争率(前年度)
人文科学
1,868人 744人 2.5倍(2.3倍)
社会科学
6,104人 3,002人 2.0倍(2.1倍)
教育・教員養成
582人 242人 2.4倍(2.2倍)
理学
493人 213人 2.3倍(2.5倍)
工学
1,923人 999人 1.9倍(2.0倍)
農・水産・獣医
562人 280人 2.0倍(2.2倍)
保健・医療
6,501人 2,425人 2.7倍(2.7倍)
生活科学(栄養)
799人 261人 3.1倍(3.4倍)
芸術
755人 254人 3.0倍(3.0倍)
体育・スポーツ
263人 129人 2.0倍(1.5倍)
(計)
19,850人 8,549人 2.3倍(2.3倍)

公立大における推薦実施学部数は、保健・医療系と社会科学系の2分野が群を抜いて多いのが特徴だが、志願者数も社会科学系6,104人、保健・医療系が6,501人とこの2分野が群を抜いて多い。また、人文・社会科学系を合わせた文系2分野の志願者数は国立大を上回っている。

合格者数をみると、社会科学系、保健・医療系の2分野が突出しており、最も少ないのは体育・スポーツ系の129人となっている。

競争率をみると、生活科学系の3.1倍(前年3.4倍)が最も高く、次いで芸術系の3.0倍、保健・医療系の2.7倍、人文科学系の2.5倍の順となっている。

公立大では地元枠・全国枠の2区分で実施されていることが多いが、全国枠では倍率が高くなる傾向になるので留意したい。

ニュースフラッシュ

◆東洋大が学校推薦型選抜で基礎学力テスト型を導入

2025年度入試情報で1番注目を集めているのが、東洋大の学校推薦型選抜で新規実施される基礎学力テスト型ではないだろうか。首都圏の大学で、公募制推薦において基礎学力テストのみの結果で合否を判定する入試というのはほぼなく(近畿地区を中心に西日本では多い)、この東洋大の基礎学力テスト型が今後の大学入試にどのどうような影響を及ぼすかは注視してもらいたい。

東洋大の基礎学力テスト型は、全学部・全学科で実施され、出願条件は特になく、併願で受験できる。筆記試験は国・英または数・英の2教科受験で英語学部試験のスコアも利用可能となっている(一般選抜と同じ基準で利用)。

この入試に関しては、年内合格を目指す受験生だけではなく、一般選抜で受験をする生徒も多く受験すると予測されている。日東駒専レベルを目標としている受験生はもちろんのこと、その上のGMARCHを目指す受験生が東洋大を併願校として受験するケースも十分考えられるだろう。募集人員は全学部で578人となっており、ここにどれだけの志願者数が集まるかは非常に注目するところだろう。

また、東洋大は一般選抜での入学者比率も高いことから、この基礎学力テスト型を導入することについて、一部では学力偏重主義などと言われているが、総合型選抜(自己推薦とAO型推薦)、学校推薦型選抜の総合評価型を見てもらえればわかるとおり、入試ごとにおいて異なる出願条件・選考方法を用いている。このように、総合型・学校推薦型それぞれの特徴を活かし、受験生を幅広い角度から受け入れる方針が明確となっているので、是非各入試を比較して、生徒が合格する可能性が高い入試を検討してもらいたい。

いずれにしても、今年度から導入される東洋大の基礎学力テスト型は高校だけでなく、大学関係者も注目していることは間違いないだろう(サンプル問題も東洋大HPに公表されているのでこちらも確認してもらいたい)。

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