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AO・推薦入試エクストラ8月25日号

私立大:2016AO入試結果の集計レポート

AO入試情報

私立大:2016AO入試結果の集計レポート

弊社では全国版「AO入試年鑑」の発刊に際して、私立大のAO入試の動向を把握するため、毎年、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2016AO入試結果の集計状況からレポートしておきたい(データ公表校のみ集計)。

学部系統別の志願者数・合格者数の状況は次のとおりであった。
系統 志願者数 合格者数 平均倍率(前年度)
(1)人文科学 11,860人 7,244人 1.6倍(1.6倍)
(2)社会科学  29,352人 18,928人 1.6倍(1.5倍)
(3)教育・教員養成 7,503人 3,900人 1.9倍(2.1倍)
(4)理工学 6,518人 3,605人 1.8倍(1.8倍)
(5)農・水産・獣医 868人 480人 1.8倍(2.0倍)
(6)保健・医療 13,162人 4,029人 3.3倍(3.4倍)
(7)生活科学(栄養) 2,937人 1,709人 1.7倍(1.7倍)
(8)芸術 8,633人 6,090人 1.4倍(1.5倍)
(9)スポーツ・体育(健康) 7,762人 3,544人 2.2倍(2.3倍)
(計) 89,595人 49,529人 1.8倍(1.8倍)

全体の志願者数は、2015年度より864人、1%の微減となり、前年の4.9%増からやや反動減とみられる動向となった。ただ、合格者数は前年よりわずかながら増えており、平均倍率はここ3年間で1.8倍と同じで推移している。

学部統計別にみると、志願増となった分野は、人文科学、社会科学、芸術の3分野だけで、その他は全て志願減となっている。平均倍率でみると、特に保健・医療系は人気が高く、倍率も3.3倍と全系統の中で抜きん出ている。次いで、スポーツ・体育(健康)系の2.2倍が目立つ。農・水産・獣医系は合格者を絞り込む傾向があり、そのため倍率も高めで推移しているが、ここ4年では倍率が最も低くなっている。なお、志願減だった教育・教員養成と保健・医療系では合格者はわずかながら増加しており、質のよい受験生が集中する傾向が見て取れる。

正確なAO入試の統計は、例年、秋ごろ公表される文部科学省の発表を待たねばならないが、本年鑑の統計と大きな差異はなく、私立大AO入試の人気が高いことには引き続き留意すべきだろう。

◆私立大:2016AO入試の地区別志願動向

私立大のAO入試戦線は、地区によって差異が大きいので十分注意する必要がある。弊社が集計した地区別の2016AO入試結果は次のとおりとなっている(カッコ内は前年度比の増減を示す)。

地区 志願者数 合格者数 平均倍率
北海道・東北 4,949人(+570人) 3,540人(+342人) 1.4倍(1.4倍)
関東 54,111人(-2,108人) 27,439人(-640人) 2.0倍(2.0倍)
中部 8,382人(-577人) 5,360人(-341人) 1.6倍(1.6倍)
近畿 14,702人(+295人) 8,820人(+257人) 1.7倍(1.7倍)
中国・四国 2,653人(-202人) 1,971人(-121人) 1.3倍(1.4倍)
九州 3,798人(+1,068人) 2,399人(+547人) 1.6倍(1.5倍)

全般的にみて地方圏の私立大では、入試区分ごとのデータ公表状況が芳しくないという事情はあるが、全体の動向は弊社の統計でも明白に表れてくる。2016年度の場合、志願増となったのは北海道・東北、近畿、九州の3地区で、とりわけ九州地区の大幅増が目立つ。前年志願増だった関東、中国・四国地区は志願減となった。ただ、例年と同様に志願者数では関東地区が群を抜いて全AO志願者数の6割を占めている。

合格者が増加したのは、北海道・東北、近畿、九州の3地区で、九州地区では合格者を絞り込む傾向が見られた。

また、関東と近畿を比較すると、推薦入試が「東低西高」型であるのに対して、AO入試では完全に「東高西低」型の入試構図になっていることも見て取れよう。これは、関東地区が推薦入試ではきびしい成績基準を設けるのに対して、AO入試ではほぼ基準設定がないことによっている。

推薦入試情報

◆国公立大:2017推薦入試の新規実施速報

弊社では9月初旬に全国の高校へ2017全国版「推薦入学年鑑」をお届けする予定だが、本年度も国公立大で注目すべき新規実施のケースがかなりあり、年鑑より一足早く新規実施情報を速報でご紹介する(学部改組のケースは除く。詳細は弊社年鑑を参照してほしい)。

<国立大>
■山形大
<推薦入試I>理学部=理学科数学分野7人
■茨城大
教育学部=学校教育‐教育実践科学5人、教科教育‐英語5人、特別支援教育3人
■新潟大
<推薦入試II>創生学部=創生学修課程10人(CT=国・数・外)
■福井大
<推薦入試II>教育学部=学校‐初等教育16人、中等教育6人、初等美術2人、中等技術2人、中等音楽2人
■愛知教育大
<推薦B>教育学部=初等‐生活科5人、日本語教育6人、教育支援専門職‐心理20人、福祉6人、教育ガバナンス10人
■名古屋工業大
<一般推薦>工学部1部=創造工学教育‐機械・エネルギー9人、情報・社会6人
■三重大
<推薦入試I>生物資源学部=海洋生物資源学科2人(専門・総合学科対象)
<推薦入試II>生物資源学部=海洋生物資源学科6人(普通科等対象)
■大阪大
<世界適塾推薦入試>医学部=医学科若干、保健学科‐看護学2人、放射線技術科学1人、検査技術科学1人、歯学部=歯学科5人、薬学部=薬学科5人、薬科学科10人、工学部=応用自然科学科7人、応用理工学科8人、電子情報工学科5人、環境・エネルギー工学科3人、地球総合工学科4人、基礎工学部=電子物理科学科9人、化学応用科学科9人、システム科学科18人、情報科学科9人
■大阪教育大
<CTを課す推薦>教育学部=教育協働‐グローバル教育/英語コミュニケーション7人、多文化リテラシー15人
■鳥取大
<推薦入試I>農学部=生命環境農学科(D)5人(課外活動等の実績者)
■島根大
<推薦入試I>法文学部=地域貢献型5人
■山口大
<CTを課す推薦>教育学部=学校‐小学校総合10人
■愛媛大
<推薦入試II>工学部=電気電子工学科8人(CT=数・理)
■佐賀大
<推薦入試II>理工学部=物理科学科2人、都市工学科10人
■長崎大
<推薦入試I>医学部=保健学科‐看護学(離島看護師推薦枠)2人
■大分大
<サイエンス推薦>理工学部=創生工学科‐機械2人、電気電子2人、福祉メカトロニクス2人、共創理工学科‐数理科学2人、知能情報システム2人、自然科学2人、応用化学2人
■宮崎大
<推薦入試I>教育学部=学校教育‐小中一貫教育(中学校主免技術以外)1人
■琉球大
<推薦入試II>教育学部=小学校教育‐社会2人、美術2人、技術2人、生活科学2人、英語2人、農学部=亜熱帯生物資源科学科‐健康栄養科学5人

◆公立大:2017推薦入試の新規実施速報

ここでは公立大の2017推薦入試のうち新規実施情報をまとめてご紹介する(学部・学科改組のケースは除く。詳細は弊社年鑑を参照してほしい)。

<公立大>
■都留文科大
<一般推薦>文学部=国際教育学科‐全国15人、県内3人、市内1人
■富山県立大
工学部=医薬品工学科10人(うち県外枠は2人)
■金沢美術工芸大
美術工芸学部=工芸学科2人(全国)
■岐阜県立看護大
<推薦入試B>看護学部=看護学科10人(全国、CT=5‐5~6)
■滋賀県立大
<推薦C>環境科学部=環境生態学科3人、環境政策・計画学科4人、環境建築デザイン学科若干(全国)
■福知山公立大
<地域枠>地域経営学部=地域経営学科17人、医療福祉経営学科3人
<専門学科枠>地域経営学部=地域経営学科3人、医療福祉経営学科1人
■島根県立大
<地域特別推薦B>看護学部=看護学科5人(県内過疎地域)
■高知工科大
<センターあり>環境理工学群5人(県内、CT=数・理)
■北九州市立大
<地域創生推薦>地域創生学部=地域創生学科8人(全国)
<活動実績推薦>地域創生学部=地域創生学科7人(全国)
■宮崎公立大
<推薦入試I>人文学部=国際文化学科‐管内10人、全国10人(CT=国・英必須、地歴・公・数から1科目)
■沖縄県立芸術大
美術工芸学部=美術学科‐絵画2人(県内1人、全国1人)、芸術学‐全国枠1人、デザイン工芸学科‐デザイン全国枠2人、工芸全国枠3人

ニュースフラッシュ

◆新指導要領のまとめ案を中教審が公表

2020~22年度に小学・中学・高校で順次スタートする新しい学習指導要領について、文科相の諮問機関である「中央教育審議会(中教審)」が、このほど審議のまとめ案を公表した。まず、学校の授業はどう変わるのか。これまでの知識修得中心から、能動的な学びや探究を重視するアクティブ・ラーニング(AL)を前面に打ち出していることが注目される。小中学校では2018年度から、高校では2019年度からの先行実施が可能で、一部では早くも教員のAL研修が始まっている。新指導要領に関するポイントを小・中・高校別に紹介しておきたい。

<小学校>

小学5・6年生の英語が「外国語活動」から「教科」へ格上げされ、年間の授業時数は35コマ分から70コマ分へ倍増する。他教科を合わせた総時数は1,015コマ分。事実上の限度とされる年間980コマを超える量で、「ゆとり教育」への批判が背景にあるが、現場の教員負担は大きく増える。経験の浅い新人教員が増えていく中で、十分な教育態勢が可能か、少なからず懸念される。

<中学校>

中学校は新教科や標準授業時数の増減といった大きな変更はないが、中教審は部活動の見直しに言及した。現行要領の位置づけに加えて、関係教科と関連づけた「深い学び」の実現を提案している。そのため、指導者の教育や活動時間などを適切に設定することを求めた。

<高校>

文科省は今回、当初から高校に関する議論を中心に据え、地歴や公民などで科目再編して大幅に内容を見直した。これは、前2回の審議が小・中学校の「ゆとり教育」を巡って揺れ、高校の議論に十分な時間を取れなかったためである。

地理歴史は、全科目を再編した。世界と日本の18世紀後半以降を学ぶ必修科目「歴史総合」を新設。通史を学ぶ「世界史探究」「日本史探究」は、歴史上の事象の意味や意義を広く深く考察する。地理では「地理総合」を必修化し、「地理探究」を選択としている。

公民では主権者教育を担う「公共」を必修として新設。現代社会は廃止する。倫理、政治・経済は残るが、思考力を重視する方向で内容を刷新する。

数学では、数学I・II・IIIABのほか数学Cが新設される。国語は、国語総合が必修の「現代の国語」と「言語文化」に分割され、「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の6科目編成となる。理科・保健体育・芸術については現行どおり。

外国語は、「英語コミュニケーションI・II・III」と「論理・表現II・III」の2系列に再編。家庭は、「家庭基礎」と「家庭総合」の2科目にまとめられる。情報は必修の「情報I」と選択の「情報II」に再編。両科目ともプログラミングを組み込んだ点が変化している。

そして、数学と理科を活用して多角的に思考する力を養う選択科目「理数探究基礎」と「理数探究」を新設した点も注目される。大学や大学院を目指す生徒が主な対象で、進学校では設置される可能性が高いだろう。この科目を履修すると、必修の「総合的な探究の時間」(総合学習の名称変更)の一部または全部が免除される。

新しい時代を告げる指導要領の内容だが、それを実現するには教員の増員など行政側の十分なサポートが必要なことは言うまでもないだろう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(5):国公立大の選考パターンの概要と対策のポイント

国公立大における推薦入試の選考パターンは、私立大では用いられないセンター試験(セ試)が介在するだけに、そのパターンは多岐にわたるが、大別すると(A)セ試免除型と(B)セ試併用型の2つになり、近年では後者が増加傾向にある。従って、セ試で平均点以上の得点が望めない生徒、もしくは当該校の基準ラインのクリアが難しい生徒の場合は、当然ながら(A)パターンを中心に考えなければならない。(A)・(B)それぞれの主要な選考法の概要をチェックしておこう。

(A)セ試免除型

最もポピュラーなのは、書類・面接・小論文型であるが、その他にもいろいろな選考法が用いられている。共通しているのは、面接・小論文とも学力把握措置(資質・適性含む)に重点が置かれていることで、十分な対策が必要になる。

(1)書類・面接型
全般的には少ない選考法だが、特に面接の試問対策が重要になる。学力試問は、英語・数学・理科など教科別に実施するケースが多い。
(2)書類・小論文・面接型
文系・理系を問わず、国公立大のセ試免除型で中心となる選考法。特に小論文対策に力を入れる必要があり、理系では記述式学力試験としての性格が強い。
(3)書類・学力試験・面接型
全般的には少ないものの、独自の学力検査を実施するケースがあり、文系は国語・英語、理系は数学・理科・英語が中心になり、総合問題形式で出題するケースもある。なお、医学系の一部には小論文も課す重量型がある。
(4)書類・面接・実技試験型
教育系の実技系、芸術・体育系で用いられる。これに小論文が加わるケースも多い。
(5)2段階型
1次選抜(書類が中心)の合格者のみ2次を課すタイプ。提出書類の作成に万全を期す必要がある。2次は面接・小論文など。

国公立大の場合、書類、面接、小論文など全てで評価法が確立されているので、受験生の能力・資質を十分検証し、きめ細かな準備をさせることが大切になる。

(B)セ試併用型

このパターンにおけるセ試成績の用い方は、(イ)総合点加点方式、(ロ)資格試験(基準点)方式、の2つに大別されるが、そのほか鳴門教育大の独自方式、入学準備教育の参考とする方式などもある。注意すべきは(ロ)で、特に医・歯・薬学系の基準点は8割程度以上と高いので注意する必要がある。主な選考法は次のとおり。

(1)書類・セ試型
この選考法ではセ試成績が中心。小樽商大(昼)、東京外語大、東京工業大、名古屋大農、京都大工(電気電子工)、神戸大経済・経営などが導入しており、近年増加傾向にある。
(2)書類・面接・セ試型
書類・面接で一定の合格者数を絞り、最終的にはセ試成績をみて合否判定を行う。
(3)書類・面接・小論文・セ試型
前記(2)に小論文が加わる分、受験負担が重くなる。
(4)2段階型
1次=セ試成績(書類を含むケースも多い)、2次=書類・面接で選考するケース。1次では募集定員の2~3倍を合格させるのが一般的で、この選考法はかなり多いので注意してほしい。なお、1次=書類、2次=小論文・面接等、最終=セ試という3段階型もかなりある。

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