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AO・推薦入試エクストラ8月25日号

私立大:2012AO入試結果の集計

AO入試情報

◆私立大:2012AO入試結果の集計

弊社では全国版「AO入試年鑑」の発刊に際して、私立大のAO入試の動向を把握するため、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2012入試結果のまとめからレポートしておきたい(データ公表校を集計)。

学部系統別の志願・合格状況は次のとおりであった。

系統 志願者数 合格者数 平均倍率
(1)人文科学11,980人6,603人1.8倍
(2)社会科学27,983人17,239人1.6倍
(3)教育・教員養成7,099人2,831人2.5倍
(4)理工学8,287人5,185人1.6倍
(5)農・水産・獣医1,104人522人2.1倍
(6)保健・医療11,795人3,756人3.1倍
(7)生活(栄養)3,179人1,834人1.7倍
(8)芸術8,455人5,248人1.6倍
(9)スポーツ・体育(健康)5,363人2,648人2.0倍
(計)85,245人45,866人1.9倍

全体の志願者数は、前年より0.9%の微増ながら増加しており、2012年度の時点ではAO離れの現象はみられず、依然として根強い人気を保っていることが分かる。合格者数の方は、前年より1千人増、2.2%増となり、志願者の増加幅を上回っていることが注目される。

正確なAO入試の統計は、例年、秋ごろ公表される文部科学省の発表を待たねばならないが、本年鑑の統計と大きな差異はなく、私立大ではAO入試の人気が衰えていないことに十分留意してほしい。

◆私立大:2012AO入試の地区別志願動向

私立大のAO入試戦線は、地区によって差異が大きいので十分注意する必要がある。弊社がまとめた地区別の入試結果は次のとおりとなっている(カッコ内は2011年度)。

地区 志願者数(人) 合格者数(人) 平均倍率(倍)
北海道・東北3,681(3,716)2,745(2,747)1.8(1.4)
関東53,738(52,823)26,284(25,884)2.0(2.0)
中部7,806(6,572)5,023(3,895)1.6(1.7)
近畿14,414(14,952)8,097(8,022)1.8(1.9)
中国・四国2,460(2,843)1,690(1,949)1.5(1.5)
九州3,146(3,556)2,027(2,389)1.6(1.5)

全般に地方圏の私立大ではデータの公表率が良くないが、2012年度は関東地区と中部地区で志願増が目立っている。特に関東地区には全国志願者の63%が集中していることが特筆される。その背景には、推薦入試と異なり、AO入試でほとんど成績基準がないことによっている。2012年度の志願・合格状況を図示すると、下記グラフの通りで、関東地区がいかに群を抜いているかが明白だろう。

 

私立大AOの地区別志願・合格状況

 

推薦入試情報

◆国立大:2013推薦入試の新規実施速報

弊社では9月初旬に全国の高校へ「推薦入学年鑑」をお届けする予定だが、本年度は国公立大でも新規実施のケースがかなりあり、年鑑より一足早く新規実施の情報をご紹介する。

■宮城教育大
東日本大震災被災者特別選抜を実施。募集人員=初等教育、特別支援教育各若干、推薦条件=4.0以上の現役(現在の居住地は問わない)、選考方法=書類・論述試験・面接
■山形大
工(昼)=機械システム工10人、機能高分子工5人、工(F)=システム創成工5人、3.5以上で浪人可。セ試(数学・理科・英語)を課す
■宇都宮大
農=生物資源科学16人(一般12人‐3.5以上、農業4人‐4.3以上)、応用生命化学7人(4.0以上)*2013年度新設予定(生物生産科学科の改組)
■群馬大
工学部を理工学部(4学科)に再編。募集人員=一般推薦159人、専門・総合学科推薦13人。現役のみで成績基準は設けない
■千葉大
園芸=応用生命化学2人、4.3以上の現役
■電気通信大
UECパスポートプログラムを先進理工で実施。成績基準は一般推薦に同じ
■東京海洋大
海洋科学=食品生産科学2人。水産系学科の出身者が対象
■岐阜大
(1)工学部が既設の9学科を4学科9コースに再編。普通・理数、工業、SSHの3区分で実施。(2)応用生物科学=共同獣医4人(*2013年度新設)、セ試5‐7を課す
■静岡大
(1)工=化学バイオ工11人(うちSSH枠3人)、書類・面接で選考。(2)工=電子物質科学15人、数理システム工6人、セ試5‐7を課す。いずれも2013年度新設
■愛知教育大
<推薦A>中等教育=教育科学1人、現代学芸=情報科学3人、<推薦B>初等教育=英語1人、中等教育=情報1人、セ試5‐7を課す、A・Bとも3.5以上で浪人も可
■名古屋工業大
工1=電気電子工10人(セ試5‐7を課すに変更)
■神戸大
海事科学=グローバル輸送科学8人、海洋安全システム科学4人、マリンエンジニアリング8人、4.0以上の現役のみ。書類・セ試(5‐7)で選考
■奈良女子大
生活環境=住環境3人、書類・面接・セ試で選考
■鳥取大
農=共同獣医5人(*2013年度新設)、セ試(5‐7)を課す
■島根大
生物資源科学=農林生産21人、地域環境科学10人(一般5人、専門5人)、書類・小論文・面接で選考
■徳島大
医=栄養10人、4.0以上で浪人も可
■九州工業大
2学部ともセ試型(5‐7)を新規導入。工15人、情報工10人
■佐賀大
経済学部を2学科から3学科に改編。商業・情報・総合学科対象30人、普通科対象30人

◆公立大:2013推薦入試の新規実施速報

本年度は新たに2校が加わるが、とりわけ公募制を導入した横浜市立大(国際総合科学)の動向が注目を集めるだろう。

■秋田公立美術大
美術=一般推薦12人(県外)、特別推薦10人(市内5人、県内5人)、3.8以上の現役のみ。書類・実技・面接で選考
■横浜市立大
国際総合科学=国際教養学系10人、国際都市学系5人、経営科学系10人、理学系10人。対象は全国、1浪まで可。書類・セ試で選考(理学系は5‐7、その他は5‐7または6‐7)
■静岡県立大
国際関係でセ試型(3‐3)を追加導入。国際関係4人、国際言語文化8人、県内対象で4.0以上の現役のみ
■山口県立大
全学部学科で自己推薦を実施。募集人員は県外高校枠に含む。国際文化・社会福祉は活動実績が必要(*前年のAO入試から自己推薦へ転換)
■熊本県立大
農業・林業・水産科推薦を導入。環境共生=環境資源で若干名。全国対象で農業・林業・水産科出身の4.2以上の現役のみ
■沖縄県立芸術大
音楽=音楽‐音楽学2人、県内で3.5以上の現役が対象

ニュースフラッシュ

◆中国・四国に私立大初の農学系学部誕生の予定

今年5月末に申請のあった私立大の学部開設は10校。その中には、3校を統合する常葉大の学部編成(10学部)や、中国・四国地区で初の農学系学部開設となる吉備国際大の地域創成農学部が注目される。申請状況は次のとおり(数値は入学定員を示す)。

<学部の設置>10校
■石巻専修大
人間学部=人間教育学科40、人間文化学科40
■東京福祉大
経営学部=経営学科100(通信教育)
■共立女子大
看護学部=看護学科100(短大の看護学科は募集停止)
■創価大
看護学部=看護学科80
■関東学院大
看護学部=看護学科80
■常葉学園大(2013年4月、常葉大に名称変更予定)
法学部=法律学科160、健康科学部=看護学科80、静岡理学療法学科60、経営学部=経営学科80、経営情報学科80、健康プロデュース学部=健康栄養学科80、こども健康学科60、心身マネジメント学科110、健康鍼灸学科30、健康柔道整復学科30、保健医療学部=理学療法学科40、作業療法学科40、総合経営学部=総合経営学科160、社会環境学部=社会環境学科100、保育学部=保育学科80(現行の常葉学園大に設置されている教育学部、外国語学部を含めて10学部体制となる)
■名古屋学院大
法学部=法学科150
■大阪観光大
国際交流学部=国際交流学科60
■関西国際大
保健医療学部=看護学科80
■吉備国際大
地域創成農学部=地域創成農学科60
<短大の学科設置>1校
■仙台青葉学院短大
こども学科100
<学部の学科設置>3校
■学習院大
文学部=教育学科50
■東京医科大
医学部=看護学科80
■相模女子大
学芸学部=生活デザイン学科45(同短大部の生活デザイン学科は募集停止)

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(5):国公立大の選考パターンの概要

国公立大における推薦入試の選考パターンは、私立大では用いられないセンター試験(セ試)が介在するだけに、そのパターンは多岐にわたるが、大別すると(A)セ試免除型と(B)セ試併用型の2つになり、近年では後者が増加傾向にある。従って、セ試で平均点以上の得点、もしくは当該校の基準ラインのクリアが難しい生徒の場合は、当然ながら(A)パターンを中心に考えなければならない。(A)・(B)それぞれの主要な選考法の概要を紹介しておく。

(A)セ試免除型

最もポピュラーなのは、書類・面接・小論文型であるが、その他にもいろいろな選考法が用いられている。共通しているのは、面接・小論文とも学力把握(資質・適性含む)措置に重点が置かれていることで、十分な対策が必要になる。

(1)書類・面接型
全般的には少ない選考法で、特に面接の試問対策が重要になる。学力試問は、英語・数学・理科など教科別に実施するケースが多い。
(2)書類・面接・小論文型
文系・理系を問わず、国公立大のセ試免除型で中心となる選考法。特に小論文対策に力を入れる必要があり、理系では記述式学力試験としての性格が強い。
(3)書類・面接・学力試験型
全般的には少ないものの、独自の学力検査を実施するケースがあり、文系は国語・英語、理系は数学・理科・英語が中心になり、総合問題形式で出題するケースもある。
(4)書類・面接・小論文・学力試験型
最も受験負担の重い選考法だが、ごく一部に限られる。
(5)書類・面接・実技試験型
教育系の実技系、芸術・体育系で用いられる。これに小論文が加わるケースもある。
(6)2段階型
1次選抜(書類が中心)の合格者のみ2次を課すタイプ。提出書類の作成に万全を期す必要がある。2次は面接・小論文など。

国公立大の場合、書類、面接、小論文など全てで評価法が確立されているので、受験生の能力・資質を考慮したきめ細かな準備が大切になる。

(B)セ試併用型

このパターンにおけるセ試成績の用い方は、(イ)総合点加点方式、(ロ)資格試験(基準点)方式、の2つに大別されるが、そのほか鳴門教育大の独自方式、入学準備教育の参考とする方式などもある。注意すべきは(ロ)で、特に医・歯・薬学系の基準点は高いので注意する必要がある。主な選考法は次のとおり。

(1)書類・セ試型
この選考法ではセ試成績が中心。小樽商大(昼)、東京外語大、東京工業大、名古屋大農、神戸大経済・経営などが導入している。
(2)書類・面接・セ試型
書類・面接で一定の合格者数を絞り、最終的にはセ試成績をみて合否判定を行う。
(3)書類・面接・小論文・セ試型
前記(2)に小論文が加わる分、受験負担が重くなる。
(4)2段階型
1次=セ試成績(書類を含むケースも多い)、2次=書類・面接で選考するケース。1次では募集定員の2~3倍を合格させるのが一般的で、この選考法はかなり多いので注意してほしい。

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