ＡＯ・推薦入試エクストラ10月25日号

私立大における公募制の併願・複数受験の戦略と注意点

ＡＯ入試情報

◆国公立大のセ試併用型はラスト３か月の基礎学力強化がカギ

文科省の平成31年度大学入学者選抜の概要によると、ＡＯ入試でセンター試験（セ試）を課すのは、国立大が34校98学部、公立大が10校13学部となっている。国立大では実施学部の42.4％、つまり４割強がセ試併用型で実施する。

言うまでもなく、セ試の用い方は次の３パターンに分かれる。

（１）最終合否でセ試の一定得点以上を合格対象とする
（２）書類・面接・小論文等との総合点で合否を決定
（３）セ試で一定得点以上に２次選抜を実施

国立大では（１）（３）の用い方も相当数にのぼるので、セ試併用型ではセ試得点力が志望校の合格水準に達するかどうかが出願の分岐点になる。一般的に医学系では80～85％以上と基準が高いが、薬学系は70～75％程度（一部に80％）、その他では平均レベルの60～65％前後の設定が多いが、できるだけ高得点を取るのが望ましいことは無論である。特に「書類＋セ試型」のケースは、セ試得点が合否の決め手になる。

そこで、面接・小論文対策と併行して、ラスト３か月はセ試対策にベストを尽くす必要があることを生徒には十分周知徹底し、助言とフォローに万全を期したい。10月を迎えたこの時期になると、実力が伸び始める生徒も多い反面、長期の受験学習と思うように学習成果があがらないために心が折れかけている生徒も決して少なくないはずである。

生徒の学力と志望校の合格水準をよく検討して、個別にラスト３か月の取り組みを話し合い、生徒の奮起を促してほしい。ＡＯ入試を志望する生徒には、必ずそれぞれの夢がある。それを原動力として、基礎学力を効率的・集中的に身につける努力を継続できれば、ＡＯ入試でセ試基準点をクリアすることは決して難しくはない。ひいては、それが一般入試へのベスト対策ともなる。進路指導部と生徒の皆様の今後のご健闘をお祈り申し上げている。

◆2020ＡＯ入試でセ試を課す国公立大と基準点一覧

今年度のＡＯ入試でセ試を課す大学・学部の一覧をご紹介する。詳細は弊社の「ＡＯ入試年鑑」を参照してほしい（カッコ内は基準点がある場合の数値を示す）。

＜国立大＞

■旭川医科大: 医＝医（北海道特別選抜＝75％以上／900点、国際医療人特別選抜＝1,020点以上／1,200点）
■北海道大: 医＝医学系（765/900点）、保健学系、応用理工系（520/800点）、環境社会工（225/300点）
■弘前大: 教育＝学校教育-小学校（60％/500点）、医＝医、保健、農学生命科学
■岩手大: 先端理工特別プログラム（１次＋セ試が560点以上／840点）
■東北大: <ＡＯIII期>文・法・教育・経済・理・医・歯・薬・工・農
■山形大: ＜ＡＯ入試III＞工昼、理
■茨城大: 工（都市システム工）、農（国際食産業科学）
■宇都宮大: 地域デザイン科学（コミュニティデザイン・建築都市デザイン／一般選抜）
■千葉大: 文（日本・ユーラシア文化-70％/900点）、教育＝小学校（70％）、法政経（75％に達し英検準１級等の有資格者）、国際教養（70％）、総合工（デザイン＝75％、物質科学＝70％以上）、園芸（70％）
■東京工大: 工＝工学院、情報工学院、情報理工学院、生命理工学院、建築・社会理工学院
■東京農工大: 農＝環境資源科学（420/600点）
■横浜国大: 教育＝学校教育（570/900点）、経済、経営、理工＝機械・材料・海洋系（海洋空間のシステムデザインＥＰ、材料工学ＥＰ）、都市科学＝都市社会共生・環境リスク共生
■信州大: 理＝地球学（450/900点）
■富山大: 都市デザイン＝地球システム科学・材料デザイン工（210／400点）
■金沢大: 医薬保健＝薬・創薬科学（750/1,000点）
■福井大: 工（ＡＯII）＝機械・システム工、電気電子情報工、建築・都市環境工、応用物理、物質・生命化学
■静岡大: 理＝地球科学
■豊橋技術科学大: 工（240～300点以上で英検準１級～２級以上等／400点）
■三重大: 工＝情報工
■滋賀大: データサイエンス＝データサイエンス（550/900点）
■京都大: 総合人間（85％/800点）、文（760/900点）、教育（80％/900点）、経済（720/900点）、理（630/900点）、医＝人間健康科学（75％/950点）、薬（80％/900点）、農＝資源生物科学、応用生命科学、食料・環境経済、森林科学（720/900点）、食品生物科学（700/900点）、地域環境工（640/800点）
■大阪大: 文（75％以上）、人間科学（80％以上）、外国語（総点80％・外国語85％以上、かつ２次含む総点が60％以上）、法・経済（80％以上）、理＝研究奨励型、挑戦型（80％以上）
■神戸大: 国際人間科学＝発達コミュニティ・環境共生、医＝医
■鳥取大: 工＝社会システム土木系>
■島根大: 教育＝学校教育I類（55％/300点）、人間科学（55％/300点）
■岡山大: 教育＝学校教育・養護教諭、薬
■広島大（総合評価方式II型）: 教育＝初等教育（600/900点）、特別支援教育・自然系（585/900点）、社会系（585/900点）、教育学系（600/900点）、心理学系（600/900点）、法昼（360/600点）、医＝医（720/900点）、保健（600/900点、看護専門型560/900点）、薬＝薬（700/900点）、歯＝歯（650/900点）、口腔健康、工＝第一類（420/600点）、第二類・第三類・第四類（420/600点）、生物生産（540/900点）、情報科学（630／900点）
■徳島大: 医＝医（720／900点）、薬（450/600点）
■愛媛大（ＡＯ入試II）: 法文＝人文社会、教育＝学校教育・特別支援教育、社会共創（産業マネジメント）、農
■九州大（ＡＯ入試II）: 文、法、理＝物理・化学・地球惑星科学・数学・生物、医＝保健、歯、芸術工＝全学科、農
■九州工大: 工・情報工
■佐賀大（ＡＯ入試II）: 理工、農
■長崎大（ＡＯ入試II）: 歯＝歯（70％）、工（２科目が75％以上）
■大分大: 医＝医
■宮崎大: 教育＝学校教育

＜公立大＞

■青森公立大: 経営経済＝全学科（入学前教育の一環）
■山形保健医療大: 保健医療＝看護
■宮城大: 看護・事業構想・食産業（入学後の指導の参考）
■東京都市大: 人文社会＝人文社会・人文（65％以上）、経済経営、都市環境＝都市政策科学（入学後の参考）、システムデザイン＝情報科学
■横浜市立大: データサイエンス＝データサイエンス
■都留文科大: 教養（３期）＝学校教育‐自然環境科学
■大阪市立大: 医＝医
■大阪府立大: 工＝機械系（海洋システム工学）
■兵庫県立大: 環境人間＝環境人間
■島根県立大: 総合政策＝総合政策
■九州歯科大: 歯＝歯（630/950点）、口腔保健（450/850点）

ニュースフラッシュ

◆大学入学共通テストで利用したい大学が88％→69％へ減

令和２年（2021年）４月開設予定の大学・学部等を文科省が公表したが、専門職大学はわずか３校にとどまっている。

＜私立大の設置＞２校

■湘南鎌倉医療大学: 看護学部＝看護学科100
■名古屋柳城女子大学: こども学部＝こども学科70

＜専門職大学の設置＞３校

■静岡県立農林環境専門職大学（公立）: 生産環境経営学部＝生産環境経営学科24
■東京工科専門職大学: 工科学部＝機械工学科120、デジタルエンタテイメント学科80
■びわこリハビリテーション専門職大学: リハビリテーション学部＝理学療法学科80、作業療法学科40

＜学部の設置＞９校

■新潟県立大（公立）: 国際経済学部＝国際経済学科90
■駿河台大: スポーツ科学部＝スポーツ科学科200
■共立女子大: ビジネス学部＝ビジネス学科150
■岐阜医療科学大: 薬学部＝薬学科100
■修文大: 医療科学部＝臨床検査学科80
■摂南大: 農学部＝農業生産学科80、応用生物科学科80、食品栄養学科80、食農ビジネス学科100
■武庫川女子大: 経営学部＝経営学科200
■広島国際大: 健康スポーツ学部＝健康スポーツ学科70
■第一薬科大: 看護学部＝看護学科80

＜短大の学科の設置＞１校

■大手前短大: 歯科衛生学科＝70（３年制）

＜大学の学科の設置＞１校

■四日市看護医療大: 看護学部＝臨床検査学科50（看護→看護医療学部へ名称変更予定）

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