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AO・推薦入試エクストラ7月25日号

私立大各地区における成績基準の設定状況

AO入試情報

~私立大の成績基準の新規設定・変更に関する情報~

弊社では2012年度用全国版「AO入試年鑑」を全国の高校にお届けしたばかりだが、実施要項の改訂2年目の本年度、やはり成績基準の新規設定や変更が目立つので、ここで地区ごとにまとめて速報しておこう(×印は基準なしを示す。)

  • <北海道>札幌国際大×→3.0以上
  • <東北>石巻専修大2.7→3.0以上、福島学院大3.2→3.0以上
  • <関東>埼玉医科大医用生体工×→3.0以上、三育学院大看護×→3.8以上、淑徳大<特待生入試>(新規)総合福祉4.5以上、コミュニティ政策4.3以上、慶大看護医療B方式(新規)4.5以上/法B方式(新規)4.0以上、デジタルハリウッド大×→全体3.0以上または国・外・芸術・情報のいずれか3.3以上、東京家政学院大現代生活(健康栄養以外)×→全体3.0以上または4.0以上が1科目以上、東邦大理‐生命環境科学×→数理外または国地公理外の平均が3.2以上、日本体育大<地域ブロックAO>(新規)3.0以上、明治学院大法‐政治(新規)3.5以上/心理‐発達教育×→英語4.2、国語4.2、全体4.0以上のいずれかを追加、関東学院大<スタンダード‐11月募集>(新規)で文・法3.2、人間環境3.5、工3.0以上/<資格型‐11月募集>(新規)の経済3.5以上など
  • <中部>桜花学園大保育(新規)3.8以上、愛知淑徳大AO1の全学部×→3.0以上、日本福祉大健康科学‐リハビリ(理学療法)3.8以上(新規)
  • <近畿>皇學館大=強化指定クラブ選考・スポーツ選考で教育3.0→3.3以上、佛教大保健医療技術‐理学療法2.7→3.6以上、大阪経済大スポーツAO(新規)3.0以上、摂南大‐外国語資格型(新規)=全体3.0以上で外国語3.5以上/課外活動型(新規)3.0以上、神戸親和女子大3.0→3.3以上(ジュニアスポーツ教育3.5以上)
  • <中国・四国>吉備国際大保健医療福祉‐作業療法×→3.0以上、広島修道大人文‐人間関係(教育学)×→3.8以上を追加、徳山大×→2.7以上、高松大<スポーツ奨学生>経営×→3.0以上
  • <九州>熊本学園大社会福祉‐ライフ・ウェルネス(新規)3.0以上

全般的にはAO入試が最も活発な関東地区での変動が目立つが、他地区で の変動は小さい。

◆私立大各地区における成績基準の設定状況

弊社の2012年度用全国版「AO入試年鑑」では、創刊から初めて独自の諸統計を実施し、P.45~50に「地区別グラフ展望/私立大2012AO入試戦線分析」としてまとめた。

成績基準については、区分・学部等で異なる場合は複数扱いで集計したが、結果は次のとおりであった。

地区 必須条件 複数条件の1つ 設けない
北海道・東北 5校(12.5%) 0 35校(87.5%)
関東 24校(12.6%) 7校(3.6%) 160校(83.8%)
中部 10校(11.9%) 0 74校(88.1%)
近畿 22校(20.0%) 1校(0.9%) 87校(79.1%)
中国・四国 6校(13.6%) 1校(2.3%) 37校(84.1%)
九州 6校(13.0%) 1校(2.2%) 39校(84.8%)

全国集計をグラフ化すると次のようになる。

 

全国集計

 

こと成績基準に関しては、推薦入試と対照的だが、徐々に基準設定は進むとみられる。

推薦入試情報

~2012年度公募推薦の実施状況調査速報~

現在、弊社では全国版「推薦入学年鑑」の制作に全力を注いでいるが、このほど全国公立・短大の推薦実施状況が判明したので速報する。

  募集校 公募実施校 指定校制のみ 公募実施率 推薦なし
国立大 82校 76校 0校 92.7% 6校
公立大 80校 77校 1校 96.3% 2校
私立大 573校 544校 26校 94.9% 3校
公立短大 18校 18校 0校 100% 0校
私立短大 330校 327校 3校 99.1% 0校

国立大では東京工大(第一類)と東京外語大(言語文化)の2校が加わる。東京外語大は学部組織の再編を予定している。公立大では公設民営から公立大学法人に移行した鳥取環境大が加わり、公募実施校数では国立大を上回り、指定校制のみは横浜市立大である。

私立大の場合、今春新設の5校は認可後に推薦入試を実施しており、新しい顔ぶれとしては北海商科大が加わるだけ。完全指定校制は前年と同じ26校だが、関東学院大が公募制をAO入試へ転換して、指定校制のみとなるので注意したい。公募・指定校とも実施しないのは、前年と同じで東京音楽大、東京慈恵会医科大、日本医科大の3校である。

公立短大は18校全てが実施する。私立短大では募集停止が8校あり、募集校数は330校に減少するが、依然として推薦実施率は100%で、公募実施率も高く、入試の主流を占める。完全指定校制は、北海道武蔵女子短大、城西短大、福岡女学院大短大部の3校だけとなっている。

◆国立・公立・私立大の推薦実施校数の推移

推薦入試制度が導入されてからおよそ半世紀が経過したが、国公私それぞれの実施状況は、新設ラッシュや共通一次試験・センター試験の導入などによって大きく様変わりしてきた。節目となる年度の実施校数をピックアップしてグラフで示すと次のようになる(実施校数は公募・指定校の合計)。

 

実施校数

 

上記でまず目につくのは、私立大の驚異的な増加ぶりだろう。国立大では共通一次・センター試験の各導入前後から増加。公立大では1989年度までは20校未満だったが、平成時代に入って公短→公大への転換が進むにつれ、今日では国立大を上回る実施状況になっている。

ニュースフラッシュ

~国民生活基礎調査で貧困率が過去最悪の16.0%~

厚生労働省は、2010年6~7月に実施した国民生活基礎調査の結果をこのほど公表した。それによると、全国民のうち低所得の人の割合を示す「相対的貧困率」が16.0%となり、前回調査(2006)よりも0.3ポイント悪化した。調査データがある1985年以降最悪の数値で、国際社会と比較しても日本の高い貧困率は依然として改善されていない。また、子供(17歳以下)についてみると、貧困率は1.5ポイント増の15.7%で、低所得の家庭で育てられている子供が増えていることを裏付けた。

今回、厚労省は調査を始めた85年までさかのぼって貧困率を算出した。開始時の12.0%と比べると、この24年間で4ポイント悪化し、同居する大人の所得で計算する子供の貧困率も4.8%増加。同省は所得の低い非正規雇用労働者や年金暮らしの高齢者の増加が主な要因とみている。

OECDの2000年代半ばの調査では、日本の貧困率(2003年‐14.9%)は、加盟30か国の中で4番目に悪く、一人親世帯は最も悪いという状況であった。

そうしたわが国の生活状況の中で、大学等への高額な進学費をまかなうのは容易ではない。近年、受験生の間では受験校選択の基準として、学費が安い、受験料割引制がある、奨学制度が充実しているなど、経済がらみの比重が増している。民主党政権の公約実現もつまずき、こども手当て、高校無償化などの先行きも暗い。

[相対的貧困率]全国民の年間の可処分所得を少ない方から並べ、中央の金額(2009年は224万円)の半分(同112万円)の水準(貧困線)に満たない人の割合。主に国民の間の経済格差を示すが、資産は含まない。「絶対的貧困率」は、所得が定められた最低水準額に満たない人の割合を示す。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

~国公私立大・短大別にみる出願要件の概要~

推薦入試における出願要件(推薦条件)は、国立・公立・私立ごと独自の特徴や傾向がある。それらをふまえた上で、適切な指導を行う必要がある。

[国立大]

どのようなタイプの推薦であれ、全て専願制で実施する。出身課程については、全課程対象と専門課程に限定する2タイプがあり、どちらも履修条件を設けるケースがあるので要注意。私立大と異なり、ユニーク推薦の導入はごく少なく、取得資格・活動実績が必要なケースも少ない。つまり、一般推薦が中心で、出願要件のカギは成績基準。多くがA段階を対象とするが、やや低いケースで4.0以上、ごく一部にB段階で出願できるケースもある。成績基準は、CT併用型より免除型の設定率が高い。

なお、医学部等では県内高校を対象とする地元枠もかなり導入されており、次いで教員養成系が目立つ。

[公立大]

国立大と同様、全て専願制で実施される。出身課程については、全般的に全課程対象が多く、一部に専門課程対象がある。大事な点は、地元型か全国型かで、全般的に地元型が主流だが、近年は全国型(枠)も増加しつつあるので、他県(市)の高校にも活用できる余地は十分ある。

成績基準については、国立大より若干緩やかだが、3.6~4.0のゾーンでの設定が多い。むろん、医学系や一部の学部では4.3以上の高基準を設定している。今年度は新たに基準を設けたり、変更しているケースも目立つので注意したい。

[私立大]

公募推薦の場合、地区ごとにかなり差異があるので、弊社の「推薦入学年鑑」における「地区別グラフ展望」も十分参照してほしい。まず専願区分だが、全体をながめると東日本は専願制、西日本(中部・近畿・中四国)は併願制主流と大きく異なる。ただ、対象課程は国公立大と異なり、ほぼ出身課程の制限はない。一般・ユニーク推薦を合せて多様な入試区分が設けられており、今日の多様な受験生に対して、柔軟な出願要件が設定されているのが、私立大ならではの大きな特徴だろう。

一般推薦における成績基準の設定状況(2011)をみると、基準なしが35.3%、2.7~2.9が1.6%、3.0~3.4が35.9%、3.5~3.9が23.6%、4.0以上が3.6%といったところだが、実施要項の改訂に伴い「基準なし」は減少しつつある。

[公立短大]

全て専願制で実施される。公立の4大と比べ、予想外に全国型(枠)の導入率も高い。有資格者・活動実績者や専門課程を対象とする特別推薦の実施も活発だ。成績基準については、3.5~4.0のゾーンが主流で、私立短大より格段にハードルが高い。

[私立短大]

専願区分・対象課程については、ほぼ私立大と同様の傾向だが、ユニーク推薦では自己推薦が群を抜いて多い。地元の指定校に依存する割合が高いのも特徴だろう。公募制の一般推薦では、基準なしが全体の6割近く、3.0~3.4が3割程度と主流を占め、3.5以上の高基準設定はごく一部に限られる。ただ、本年度は新たに基準を設定するケースが東日本を中心に目立つので留意してほしい。

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