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AO・推薦入試エクストラ11月25日号

文科省が23年度(2011)AO入試結果統計を公表(2)私立大・短大

AO入試情報

◆文科省が23年度(2011)AO入試結果統計を公表(2)私立大・短大

このほど文科省が公表した平成23年度(2011)入試実施状況統計に基づき、今号では私立大・短大のAO入試の動向についてお伝えする。

■私立大学

実施校数は前年(2010)より1校減の463校、実施学部数は8学部増の1,126学部であった。AO志願者数はこれまで上昇の一途をたどっていたが、初めて1.8%の微減に転じ、1,617人減の85,837人となった。有力校でのAO廃止が目立った年度であっただけに、その影響が大きいと考えられる。合格者数は2.6%減の50,985人で、合格者の絞り込みもややきびしくなった観があるが、平均倍率は前年と同じ1.7倍で推移している。

入学者数も2.7%の減少で48,654人となり、全入学者に占める割合は10.5→10.4%へ後退し、足踏み状態になった点が注目される。今年度も東日本大震災等の影響が、出願期の早いAOの志願動向に及ぶことが予測され、今後の動向を注意深く見守る必要がありそうだ。

■私立短期大学

実施校・学科は前年より1校9学科増えて264校515学科。志願者数は890人(6.8%)増えて13,992人となった。合格者数も510人(4.3%)増の12,448人と増え続けている。入学者数も487人増の12,164人となり、その結果、私立短大全体に占めるAO入学者の比率は、前年の17.3%から18.9%と2割ラインに接近しつつある。私立短大ではついに一般入学をAO入学が上回るという画期的な減少が生じた。

◆私立大・短大:過去7年の志願動向推移

私立大におけるAO志願者数は、制度導入の1998年度から2010年度まで右肩上がりの上昇傾向を示してきたが、2011年度に初めて減少に転じた。選抜実施要項の変更(学力把握措置の強化)、有名私大・学部のAO廃止など様々な要因が重なっているが、大勢としては今後再び増加傾向に向かうと予測される。

一方、私立短大では制度発足から一貫して増加し続けている。その特徴は、AO志願者の90%近くが合格していることで、合格を確保しやすい入試として、短大受験生の間で定着した感が強い。

過去7年の私立大・短大の志願者数推移は下記グラフのとおり。

 

AO入試における私立大・短大:過去7年の志願者推移

 

推薦入試情報

◆文科省が23年度(2011)推薦入試結果統計を公表(2)私立大・短大

このほど文科省が公表した平成23年度(2011)入試実施状況に基づき、今号では私立大・短大の推薦入試の動向についてお伝えする(文科省データは全て公募・指定校制の合計)。

■私立大学

推薦実施校は前年(2010)より4校18学部増え571校1,596学部であった。志願者数は4,345人(1.3%)の微増で351,078人。志願増の傾向が続き、5年ぶりに35万人台を回復した。ところが、合格者数は2,751人(1.2%)減少して223,008人となり、平均倍率は1.5→1.6倍へ若干厳しさを増した。例年、指定校制の変動は小さいので、公募制の分野で合格者の絞り込みが進行しているようだ。

一方、推薦入学者数は4千人近くも大幅に減少して190,925人となり、全入学者に占める割合も前年の40.9%から40.7%へかなり低下した。併願制主流の地区で、推薦合格からより上位の一般合格へくら替えしたケースが例年になく多かったと推測される。

■私立短期大学

推薦実施校は前年より7校21学科減少して337校672学科であった。志願者数は2,476人(4.9%)減の48,537人で5万人台を切り、合格者数は3,444人(7.5%)減の42,409人となり、ついに4万人の大台を下回った。平均倍率は前年の1.11倍から1.14倍と若干上昇。AO枠が拡大している分、推薦入試にややしわ寄せが見られるようだ。入学者数も2,746人(6.5%)減少して39,720人となり、4万人の大台を下回り、全入学者に占める割合が62.8→61.9%とかなり低下した。

◆私立大・短大:過去7年の志願者数推移

文科省の統計資料(公募・指定校制の合計)で私立大の推薦志願者の推移をみると、2007~2008にかけてAOへ分散する傾向が目立ち、推薦志願者はかなり減少したが、この1~2年は回復傾向へ向かっているようだ。弊社が公募制の目安として集計している志願動向でも同様の結果が出ているので注意したい。

一方、私立短大では学校数の減少以上に志願減が進み、2005と比べても4万人近く減少している。

私立大・短大の過去7年の志願者数推移は下記グラフのとおり。

 

推薦入試における私立大・短大:過去7年の志願者推移

 

ニュースフラッシュ

◆23年度一般入試の実施状況が判明

文科省はこのほど23年度国公私立大学入学者選抜実施状況を公表。それによると、一般入試区分における志願者は国公私立いずれも前年より増加している。

■国立大学

募集人員80,627人に対して、志願者は前年より約1万人増え370,551人であった。それに伴い、平均志願倍率は前年の4.5倍から4.6倍へ上昇。実際の受験者数は約2万5千人増と大幅に増えたのが特徴で289,154人、合格者数は約1千人増の93,543人。実質競争率が2.9→3.1倍とややきびしくなった。一般入試による入学者数も前年より増加して、全入学者に占める比率が0.1ポイント上昇して84.2%となった。センター平均点の上昇を反映して、国立大志向が強まったようだ。

■公立大学

募集人員20,216人に対して、志願者数は小幅増の138,102人で、平均志願倍率は前年の6.9倍から6.8倍へ若干低下した。実際の受験者数も小幅増で104,593人、合格者数は約500人増の29,297人で、実質競争率は前年と同じ3.6倍で推移。全入学者に占める一般入学の比率は、73.5→73.7%へ若干上昇している。

■私立大学

一般入試における募集人員は前年より約4千人増の246,657人。それに対する志願者数は約3万8千人(1.4%)増えて2,775,854人となり、平均志願倍率は前年と同じ11.3倍であった。実際の受験者数は約3万5千人増の2,665,744人。合格者数も3万人程度増加して、平均競争率は3.5→3.4倍へ若干ダウンした。私立大ではAO入試の志願減、推薦入試の合格者絞り込みによって、一般入学者の比率が48.0→48.4%とかなり上昇したことが注目されよう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(8):学部系統別の実施状況と動向

国公立大で推薦入試を実施する学部系統には、例年、大きな変動はない。それに対し、新増設・学部改組などが活発な私立大では、数年間で実施構図が大きく変化することがある。国公私立それぞれの実施学部の状況を弊社の独自統計(公募制)でみてみよう(複合領域の学部は複数扱い)。

■国立大

文系の実施学部数は、人文科学24(8.6%)、社会科学50(18.0%)で全体の4分の1程度。理系は理学25(9.0%)、工学47(16.9%)、農・水産34(12.2%)、保健・医療44(15.8%)と豊富で全体の5割強を占める。教育・教員養成も46学部(16.6%)と多い。反面、生活科学は3学部、芸術・体育は5学部と少ない。理系志望の受験生にとって、国立大の推薦入試のメリットは大きく、特に医学系は人気が高い。

■公立大

文系の実施学部数は、人文科学17(9.1%)、社会科学53(28.3%)とかなり多い。理系では保健・医療の53学部(28.3%)が群を抜いて多いのが特徴だが、その中心は看護学部で医・薬学部は国立より少ない。理工学は23学部(12.3%)、農・水産は8学部(4.3%)で、理系の比重は全体の45%程度。国立と比べると生活科学15(8.0%)、芸術・体育13(7.0%)の2分野がそろっているという特徴がある。ただし、教育系は5学部だけと少ない。

■私立大

公募制での実施学部数は1,616学部と多い。全系統にわたって実施学部が豊富にそろっている。文系では人文科学280(17.3%)、社会科学543(33.6%)で全体の5割を占める。これに近年増加した教育150(9.3%)を加えると全体の6割となり、私立大の実施構図は「文高理低型」となっている。

理系では、この10年ほどで薬・看護・医療系学部が大幅に増え、保健・医療が235学部(14.6%)となり、理工学の147学部(9.1%)を大きく引き離している。農・水産は28学部(1.7%)で国立より少ない。これら3分野の理系は、全体の25%程度となっている。

その他、私立大では生活科学103(6.4%)、芸術75(4.6%)、スポーツ・健康55(3.4%)の3分野の学部数も豊富で、男女を問わず、多様な受験生を受け入れる推薦基盤が整っている。

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