1. エイビ進学ナビTOP
  2. ＞AO・推薦入試エクストラ(エイビ教育ニュースフラッシュ)
  4. ＞5月10日号

ＡＯ・推薦入試エクストラ5月10日号

◆私立大・短大：事前対話型ＡＯのエントリーから合格までのポイント

ＡＯ入試情報

◆私立大・短大：事前対話型ＡＯのエントリーから合格までのポイント

ＡＯ入試で受験生と大学側との双方向の事前対話（コミュニケーション）を中心に選考するパターンは、私立大では全体の12％程度と少ないが、私立短大では大多数を占める。

まず注意すべきは、その実施時期。エントリーが３年次新学期の５～７月の早い段階から始まるケースが多い。これらの大学は、文科省が実施要項で定める出願開始期（８月１日以降）にエントリーは該当しないと考えているわけだが、実施要項の改訂以降、実際にはエントリー日程を８月１日以降に変更した大学も多い。

エントリーが早いケースでは、面談・面接も６～７月に活発に行われる。面談の回数は１～３回で異なるが、一般的には２回程度が多い。第１回目で受験生の志望動機や意欲、入学後の抱負や計画、将来の希望進路などに基づき試問が行われ、明確な進学スタンスを持っているかが評価される。同時に、大学側からは教育や進路支援などに関する丁寧な説明が行われ、第２回目の面談に向けて課題等を提示するケースも多い。

第２回目の面談では、課題等の内容が審査され、入学意志の確認が行われる。当然ながら、面談の中で基礎的な学力試問を行うケースもある。提示された課題の仕上げにもベストを尽くすことが大切だ（８月以降のエントリーも手順は同じ）。

以上の審査を経て出願許可（合格内定）通知が届けば、正規の出願書類を所定期日（８月１日以降）までに提出し、合格通知後に入学手続きを取ることになる。この正規出願の段階から専願とするケースが一般的だ。

この事前対話型を活用する場合、他者とのコミュニケーションを苦にせず、積極的に楽しめるぐらいの生徒が一番適している。それに加えて、

  • （１）早い段階で第１志望が確定していること
  • （２）エントリーシート・課題の作成に万全を期すこと
  • （３）入学熱意のアピールを含め、的確な応答ができるよう面談・面接対策を徹底すること
の３点が大切になる。そして、学費納入が早いことも保護者に周知しておきたい。

◆私立大：ＡＯ入試の主要選考法は７パターン

弊社では2019年度の私立大ＡＯ入試の主要選考法を７パターンに分類し、実施状況を調査した。その結果は、下記グラフのとおりである。


私立大の選考パターンの状況（2019）


上記グラフの通り、私立大では授業参加型(体験入学・セミナー参加型含む)が増加傾向にあり、ＡＯならではの独自の選考法として用いられている。全般的には一般推薦と同じ書類・面接型が中堅私立大群では最も多い。それに対して、難関・有名私立大や中堅上位群では２段階型という、きびしい選考法が導入されていることも、ＡＯ入試の大きな特徴であり、その攻略を甘く考えるのは禁物といえよう。また、小論文や学科試験を課すケースもやや増加しており、医・薬・理工系で目立っている。

推薦入試情報

◆私立大：今日の推薦区分は一般推薦からユニーク推薦まで多彩

私立大における公募制推薦入試のありようは、1990年代に入るころから大きく変化し始めた。それまで、推薦入試といえば、学習・生活の両面でまじめであり、一定程度以上の成績水準にある生徒を学校長が推薦するものが中心で、いわば学力重視型であった。

ところが、90年代以降になると、まずスポーツ推薦や有資格者推薦、課外活動推薦などが活発化し始め、次に一芸一能推薦、特定教科推薦、宗教関連推薦など多様化し、近年では自己推薦、専門課程推薦が大幅に増加した。これらを弊社ではユニーク推薦と総称しているが、このユニーク推薦は一般推薦と比べ、多様な個性・資質・キャリアに対応する入試として、今日の大学入試の中で重要な役割を果たしていることが特筆される。

2000年代に入ると、一般推薦を主軸としながらも、多様な推薦入試区分を設定する複線化が激増し始め、今日では１大学が３～５区分にわたる推薦入試を実施するケースが珍しくなくなった。

現在、弊社ではユニーク推薦を13タイプに分類している。注目すべきは一般推薦を実施しない難関・有名私立大群でも、このユニーク推薦は活発に導入していることだ。学術・文化・芸術・スポーツ・生徒会・ボランティア活動などで実績とキャリアを積んだ受験生には、有名私立大群の攻略にこの受験ルートを活用できる。

成績基準を問わないユニーク推薦としては、自己推薦が代表格。生徒自身の意欲、進学目的、将来の計画などを重視して選考するこの入試は、高校時代の成績をさほど気にせず、だれもが活用できる(2021年度入試からは「総合型選抜」へ移行する公算が大)。一般入試では不利が大きい専門・総合学科出身でも、専門課程推薦を活用すれば、大学の門戸は大きくひらける。

以上のとおり、推薦入学者が全体の４割を占める今日、私立大の公募制推薦入試は、多様化している受験生のあらゆる能力、資質、個性に対応するものとなっている。一般入試で第１志望合格を目ざす受験生は別として、推薦実施校群の中に第１志望がある受験生なら、公募推薦入試は最大限に活用すべき受験ルートといえよう。

◆私立大：多彩なユニーク推薦の地域別実施状況

弊社では、私立大ユニーク推薦のタイプを13種類に区分し、毎年度、その実施状況を調査統計としてまとめている。2019年度の実施状況は、下表に示す通りとなっている。

北海道
東北		 関東 中部 近畿 中国
四国		 九州 （計）
特定教科推薦 8 16 6 2 5 5 42
専門課程推薦 9 22 25 22 8 16 102
スポーツ推薦 5 33 29 38 10 13 128
有資格者推薦 10 43 16 16 7 13 105
課外活動推薦 15 33 15 24 10 7 104
一芸一能推薦 0 2 2 2 1 2 9
女子学生推薦 0 2 4 2 0 0 8
宗教関連推薦 1 9 2 9 2 1 24
同窓子女推薦 5 21 5 15 1 2 49
奨学生推薦 3 11 4 5 3 9 35
地域推薦 2 9 2 3 4 2 22
自己推薦 11 33 29 25 9 6 113
その他の推薦 4 23 4 9 2 3 45

ユニーク推薦の草分けとなったのは、スポーツ推薦、課外活動推薦、有資格者推薦だが、今日、タイプ別に見て多いのは、スポーツ、自己推薦、専門課程、課外活動、有資格者の５タイプ。女子学生推薦は、近年、幅広い学部系統で女子の４大進学率が上昇していることに伴って減少傾向にある。一芸一能推薦も以前と比べるとかなり減少した。逆に増加したのは地域推薦で、その他が相当数にのぼることは推薦入試の多様化が進んでいることを反映している。

地区別に見ると、やはり大都市圏を含む関東・近畿・中部地区での実施が目立つが、特に地域的な偏りはなく、全国的に展開されていることが分かるはずだ。

ニュースフラッシュ

私立大：2019一般入試志願者数上位20校で東洋大が２位に躍進

私立大の一般入試志願者数で、ナンバーワンの顔ぶれは長い間、早稲田大、次いで明治大という時期が続いたが、近年は大きく様変わりしている。旺文社の集計によると、2019年度は関西の中堅校・近畿大が６年連続でトップになり、２位には前年の５位から東洋大が躍進した。関西の私立大がトップ、難関校でなく中堅校が上位を占めている点も特筆される。2019ベスト20の順位、志願者数等は以下のとおりとなっている。

順位 大学名 2019年 2018年 志願指数 前年順位
１ 近畿大 154,672 156,225 99 １
２ 東洋大 122,010 115,441 106 ５
３ 法政大 115,447 122,499 94 ２
４ 明治大 111,755 120,279 93 ３
５ 早稲田大 111,338 117,209 95 ４
６ 日本大 100,853 115,180 88 ６
７ 立命館大 94,198 98,262 96 ７
８ 関西大 93,452 92,216 101 ８
９ 中央大 92,686 88,182 105 ９
10 千葉工業大 90,873 78,905 115 10
11 立教大 68,796 71,793 96 11
12 東京理科大 60,593 56,566 107 14
13 青山学院大 60,404 62,905 96 12
14 東海大 57,995 49,681 117 15
15 専修大 56,201 45,761 123 19
16 龍谷大 55,444 51,802 107 16
17 京都産業大 55,350 50,562 109 17
18 同志社大 53,742 58,596 92 13
19 福岡大 50,281 48,982 103 18
20 駒澤大 48,716 44,815 109 20
計 1,654,806 1,645,861    
（注）３月中旬現在のデータ。2018の計は当該年度上位20校の確定人数（旺文社データ）。

１位の近畿大は変わらず、２位に首都圏の中堅私大である東洋大、３位が法政大、４位が明治大、５位が早稲田大とガラリと上位のメンバーが変わった。トップ５では東洋大の増加率が最も大きい。また例年10位以内の顔ぶれはほとんど変わらないが、東洋大の躍進ぶりが際立っている。それに対して、11～20位の順位はかなり変動する。今年度は同志社大が前年の13位から18位へ下がり、専修大が19位から15位へ上昇したことが注目される。いずれも大都市圏という点が共通するが、愛知県の私立大だけがベスト20に入っていない。なお、上位20校の延べ志願者数は前年より約９千人増加し、大都市への集中が進行しているが、上位20校だけで全私立大志願者の約半数を占めるという構造に変化はない。

AO・推薦入試エクストラ（メールマガジン）お申し込み

株式会社栄美通信編集部が、高等学校の先生方に必要であろうと思われる教育関連のニュースを簡潔にまとめ、AO入試年鑑、推薦入学年鑑の情報なども織り込み、隔週でお届けするメールマガジンです。進路指導や職員会議など、様々な用途にお役立ていただければ幸いです。

メルマガお申し込み