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AO・推薦入試エクストラ10月10日号

国公立大のセ試併用型はラスト3か月の学力強化が最も重要

AO入試情報

◆国公立大のセ試併用型はラスト3か月の学力強化が最も重要

文科省の26年度大学入学者選抜の概要によると、AO入試でセンター試験(セ試)を課すのは、国立大が25校62学部、公立大が2校4学部(弊社調査では3校5学部)となっている。国立大では実施学部の45.6%がセ試併用型で実施する。

言うまでもなく、セ試の用い方は次の3パターンに分かれる。

  • (1)最終合否で一定得点以上を合格対象とする
  • (2)書類・面接・小論文等との総合点で合否を決定
  • (3)セ試で一定得点以上に2次選抜を実施

国立大では(1)(3)の用い方も相当数にのぼるので、セ試併用型ではセ試得点力が志望校の合格水準に達するかどうかが出願の分岐点になる。一般的に医学系では80%以上と基準が高いが、薬学系は70~75%程度(一部に80%)、その他では60%前後の設定が多いが、できるだけ高得点を取るのが望ましいことは無論である。

そこで、面接・小論文対策と併行して、ラスト3か月はセ試対策にベストを尽くす必要があることを生徒には十分周知徹底し、助言とフォローに万全を期したい。10月を迎えたこの時期になると、実力が伸び始める生徒も多い反面、長期の受験学習と思うように学習成果があがらないために心が折れかけている生徒も決して少なくないはずである。

生徒の学力と志望校の合格水準をよく検討して、個別にラスト3か月の取り組みを話し合い、生徒の奮起を促してほしい。AO入試を志望する生徒には、必ずそれぞれの夢がある。それを原動力として、基本学力を効率的・集中的に身につける努力を継続できれば、AO入試でセ試基準点をクリアすることは決して難しくない。ひいては、それが一般入試へのベスト対策ともなる。進路指導部と生徒の皆様の今後のご健闘をお祈り申し上げる。

◆2014AO入試でセ試を課す国公立大と基準点一覧

今年度のAO入試でセ試を課す大学・学部の一覧をご紹介する。詳細は弊社の「AO入試年鑑」を参照してほしい(カッコ内は基準点がある場合の数値を示す)。

■旭川医科大
医=医(75%以上/1,200点)
■北海道大
医=医学系(810/900点、化Ⅰ・生Ⅰの合計点が160点以上)、保健学系、応用理工系(520/800点、数学150点以上および物Ⅰ・化Ⅰのいずれか150点以上)
■弘前大
医=医
■東北大
<AOⅢ期法>・教育・経済・医・歯・薬・工・農
■千葉大
教育=小学校(60%)
■電気通信大
情報理工=先端工学基礎(夜)
■東京工大
工=第2~6類
■東京農工大
農=環境資源科学(390/600点)
■横浜国大
教育=教科教育(570/900点)、理工=建築都市・環境系(海洋空間のシステムデザインEP)
■信州大
理=地質科学(450/900点)
■富山大
経済昼(200/400点)、理=地球科学(210/400点)
■金沢大
医薬保健=薬・創薬科学(640/800点)
■福井大
工(AOⅡ)=機械工、電気・電子工、情報・メディア工、材料開発工、物理工
■静岡大
理=地球科学
■三重大
工(2月実施)=機械工・分子素材工・情報工
■大阪大
理(研究奨励AO)
■神戸大
発達科学=人間行動・人間環境、医=医、海事科学=グローバル輸送科学(600/900点)
■島根大
総合理工=理工特別コース(55%以上/500点かつ数理2科目が60%以上/400点)、教育=学校教育(55%/300点)
■岡山大
教育=学校教育・養護教諭、法=法(昼)、環境理工=環境数理(540/900点)、環境デザイン工(300/500点)環境物質工(360/600点)、薬
■広島大
教育=初等教育(600/900点)、特別支援教育・自然系(585/900点)、技術・情報系(250/500点)、社会系(585/900点)、教育学系(600/900点)、心理学系(600/900点)、法夜(275/500点)、経済=経済昼A(560/900点)、経済昼B・夜(250/500点)、医=保健(540/900点、専門型500点以上)、医<科学オリンピック型>(720/900点)、薬=薬科学(700/900点)、歯=歯(650/900点)、口腔健康(500/800点)、工=第一類・第二類(390/600点)、生物生産(A型=380/700点、B型=390/600点、C型=540/900点)
■愛媛大
法文=人文AOⅡ(国語・外国語の合計360点)、教育=学校教育・特別支援教育、理=全学科、農=生物資源AOⅡ
■高知大
土佐さきがけプログラム(生命・環境人材育成コース、グリーンサイエンス人材育成コース)
■九州大
< AOⅡ> 理=物理・化学・地球惑星科学・数学・生物、医=保健、歯、芸術工=全学科、農
■長崎大
歯=歯(70%)、薬=薬科学(75%)、工AOⅡ(最高得点科目が80%以上)
■大分大
医=医
■青森公立大
経営経済=全学科
■兵庫県立大
工、理(数学は各科目90点以上、理科は計150点以上)、環境人間
■九州歯科大
歯=歯(630/950点)、口腔保健(450/850点)

推薦入試情報

◆2014推薦入試出願時の必須点検事項

いよいよ2014年度推薦入試への出願が目前に迫ってきた。一般入試と異なり、高校側が責任を持って送り出す推薦入試の場合、担任や進路指導にはこの時期必ずやっておきたい点検事項がある。その主要事項を簡潔に整理しておこう。

<提出書類のチェック>
生徒が志望する大学への出願書類の最終チェックが必要。大学や推薦区分により、それぞれ提出書類は異なる。高校側で事前に統一のチェック表を用意し、生徒に記入・提出をさせるぐらいの周到さが必要で、どれか1つの書類が欠けただけでも出願不受理となるので十分注意したい。調査書では成績基準や履修状況および履修条件の確認、特記事項等が適切に記入されているかを綿密にチェックしておきたい。推薦書については、特に推薦理由を明確かつ効果的に表現する必要がある。生徒が作成する書類(志願理由書、活動報告書、自己推薦書等)については、当然ながら誤字・脱字を含む下書きの事前チェックが欠かせない。ただし、過度の添削は禁物である。
<面接力の最終チェック>
大学での試問事項を想定して、すでに何回かの面接トレーニングを実施されているはずだが、この直前期にはどの程度面接力が向上しているか、最終確認をし、欠点が残っていないか確認してほしい。国公私を問わず、面接は推薦入試の根幹をなすので、面接力の向上はきわめて大切だ。
<小論文作成力や基礎学力の最終チェック>
小論文や基礎学力試験に対する弱点、不十分さが残っていないか確認して、適切に指摘・指導することによって、短期間でも十分生徒のフォローはできる。

以上の点を総合したうえで、受験生の合格可能性が60%程度以上と判断されれば、出願へゴーサインを出してよいが、合格可能性が50%を切るようなら、専願制の鉄則にふれない第2志望校(併願校)も準備しておくべきだろう。

◆推薦区分ごとの定番書類と併願手順の鉄則

推薦入試では、推薦区分によって提出書類にも差異があるが、自己推薦を除いて学校長の推薦書、調査書は必須の提出書類となる。ただし、近畿地区の一部では推薦書を要しない公募推薦がやや増加傾向にある。各区分の主要書類を整理しておこう。

(1)一般・特定教科・専門課程・女子学生・奨学生推薦。
この5区分では推薦書・調査書が中心。ただし大学によっては志願理由書のほか自己推薦書、活動報告書等の提出を求めるケースもある。国公立大のセ試併用型では推薦入試用の成績請求票も必要になる。
(2)スポーツ推薦
学校長と部活動指導者の両方の推薦書が必要になるケースがあるので要注意。調査書も必須でほかに競技成績証明書、スポーツ競技歴書、活動報告書(資料)など。
(3)有資格者推薦
推薦書、調査書のほか大学が指定する資格・検定の取得証明書(原本提出のケースもあるので要注意)、活動報告書など。
(4)課外活動推薦・一芸一能推薦
推薦書、調査書のほか課外活動報告書、活動歴書、活動実績・検定取得証明などが必要で、なるべく詳細な資料を時系列方式で添付したほうがよい。
(5)自己推薦
中心となるのは受験生本人の自己推薦書だが、調査書も必須のケースが多く、活動報告書や高校側の志願者評価書などを求めるケースもある。
(6)宗教関連推薦
学校長推薦書、調査書のほか洗礼証明書、宗教関係者の推薦書、宗教活動報告書などが必要になる。
(7)地域推薦
学校長推薦書、調査書のほか地方自治体の首長や指定機関の推薦書が必要になる場合があるので注意したい。
(8)その他の推薦
学校長推薦書、調査書のほか入試内容に応じて、関係団体・同窓会・OB教員等の推薦書等が必要になる。

また、どの区分であれ志願理由書、活動報告書等を提出させるケースもかなり多いので、大学の指定内容には十分注意しなければならない。

最後に推薦入試における併願手順については、専願制のみ注意すればよい。組合せは次の3パターンになる。(1)専願制第1志望+専願制第2志望(第1志望の合格発表後に試験を実施する大学がベスト)、(2)専願制第1志望+併願制第2志望(両方合格の場合は専願制に入学)、(3)併願制第1志望+併願制第2志望(入学手続締切日に注意して志望順位を決め、納付金を節約する)。専願制と併願制を組合わせて、両方に合格した場合、専願制に入学するのが鉄則である。詳細は弊社「推薦入学年鑑」の解説ページを参照してほしい。

ニュースフラッシュ

◆司法試験で合格率50%以上は4校のみ‼

法務省は9月上旬、今年度の司法試験の結果を公表した。7,653人が受験し、2,049人が合格。既修・未修を合せた平均合格率は26.8%で前年の25.1%を若干上回ったが、合格率が1割を切る大学が、全74校のうち25校を占めた。合格者は20~57歳で、平均年齢は28.4歳。各大学の平均合格率をみると、50%を上回ったのは慶大、東京大、一橋大、京都大の4校のみで、合格者ゼロも3校あった。

コース別に合格率をみると、既修コースでは東京大の71.9%、慶大の71.3%がずば抜けて高く、私立では愛知大の50%も目を引く。一方、未修コースでは千葉大の47.4%が最も高く、次いで一橋大の40.5%が続くが、その他の合格率はおしなべて低い。

大学別の合格者数でみると、慶大201人、東京大197人、早大184人、中央大177人、京都大129人の5校だけが100人を超えるが、第1位の座を東京大が失ったのも注目される。

文部科学省は、(1)入試の競争率が2倍未満、(2)3年連続で司法試験合格率が全国平均の半分未満、などの基準に基づき、過去最多となる計18校に対して来年度の補助金を削減することになる。

法曹制度のあり方を検討してきた政府の会議は、6月、合格者の少ない法科大学院の修了者に司法試験の受験資格を与えないなどの法的措置を導入することなどを提言しており、成績不振校をとりまく環境は、いっそうきびしくなりそうだ。

一方、予備試験組の結果をみると、受験者167人のうち120人が合格し、合格率は71.9%ときわめて高い。その約半数の64人が20~24歳で、学部在学中は41人にのぼる。若い層が修了まで数年かかる法科大学院を敬遠し、予備試験に流れている傾向が明白だ。むろん、学部在学中の合格の中心が東京大勢であることは容易に推測できよう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(7):2014学部系統別実施状況と動向

<国公立大>

2014年度現在、国立大では全学部の35.5%、公立大では20.1%の学部でしかAO入試は実施されておらず、当然ながらAOでの実施学部層が薄い分野も多々あるので注意したい。文系では人文科学系は少なく、比較的に社会科学系が多いが、法学系での実施はきわめて少ない。全般的には保健・医療系、理工系、農学系などの自然科学系や教員養成系での導入が目立っている。

弊社の集計で国立大/公立大の実施学部状況を示すと次のようになる(複合学部は複数集計)。

■系統 ■学部数 ■占有率
人文科学 8/5 5.9%/13.9%
社会科学 22/16 16.2%/44.4%
教育(教員養成) 16/1 11.8%/2.8%
理学 23/5 16.9%/13.9%
工学 27/6 19.9%/16.7%
農・水産・獣医 14/0 10.3%/0%
保健・医療 20/2 14.7%/5.5%
生活科学 1/0 0.7%/0%
体育・スポーツ(健康) 4/1 2.9%/2.8%
芸術 1/0 0.7%/0%
<私立大>

私立大では推薦入試と比べてもそう差がないほど実施学部数が増え、しかも全系統にわたって豊富にそろっているのが特徴だろう。弊社の調査では、各系統の実施学部数、比率(%)は次のようになっている(複合領域の学部は複数扱いで集計)。また、カッコ内は推薦入試の実施学部数・占有率を示す。

■系統 ■学部数 ■占有率
人文科学 221(281) 16.8%(17.0%)
社会科学 487(548) 37.0%(33.1%)
教育(教員養成) 128(158) 9.7%(9.6%)
理工 123(145) 9.3%(8.8%)
農・水産・獣医 16(27) 1.2%(1.6%)
保健・医療 129(247) 9.8%(14.9%)
生活(栄養) 80(107) 6.1%(6.5%)
スポーツ(健康) 59(65) 4.5%(3.9%)
芸術 74(76) 5.6%(4.6%)

推薦入試と比較して実施状況が活発といえるのは、社会科学系、理工系、生活科学系、体育・スポーツ系、芸術系など。逆に実施状況がまだ活発とは言えないのは、農学系や保健・医療系などだろう。

しかしながら、私立大におけるAO入試の実施状況は着実に拡大傾向に向かっている。2013年度入試の文科省統計は11月ごろ公表されるが、志願者数合計が9万人台にどの程度接近しているかどうかに注目したい。今後は、保健・医療系での増加度が、私立大AO入試の動向を大きく左右するだろう。

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