ＡＯ・推薦入試エクストラ9月25日号

私立大：2016ＡＯ入試全国統計レポート（２）

ＡＯ入試情報

私立大：2016ＡＯ入試の全国統計レポート（２）

弊社が毎年実施している諸統計の中から、今号では2016ＡＯ入試の出願資格に関する統計データをご紹介する。

＜専願区分＞

まず、専願区分だが、専願制で実施するのはＡＯ入試実施校468校のうち387校で全体の82.7％で８割を超えた。併願制は83校、専願・併願の２区分制は３校、特に定めないのは11校となっている。全般的には専願制が主流なので、ＡＯ入試の場合も志望校の選択には慎重を期す必要がある。

＜成績基準＞

成績基準をみると、次のようになっている。

設定なし	複数条件の１つ	必須条件
434校（83.1％）	12校（2.3％）	76校（14.6％）

＜資格・活動実績＞

取得資格・活動実績に関する条件の設定は、次のとおりとなっている。

設定なし	複数条件の１つ	必須条件
389校（64.5％）	104校（17.2％）	111校（18.3％）

成績基準と比べると、複数条件の１つ、必須条件を含めて35.1％が設定しており、ＡＯ入試の大きな特徴の１つとなっている。充実した高校生活を送っている受験生ならば、学習成績の水準をさほど気にせずに活用できるのがＡＯ入試にほかならない。

ただし、上位私立大群では、学習成績、資格・活動実績の水準とも、優れている受験生であることが不可欠だろう。上位私立大ではＡＯ枠が小さく、出願要件を慎重に検討する必要がある。

◆私立大：地区別2016出願条件の設定状況

ここでは2016ＡＯ入試の出願条件に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。

＜専願区分＞
地区区分	北海道東北	関東	中部	近畿	中国四国	九州
専願制	36校	127校	66校	85校	35校	38校
併願制	5校	42校	12校	16校	2校	6校
專・併	0校	2校	0校	1校	0校	0校
定めず	1校	6校	2校	2校	0校	0校

推薦入試では併願制が主流の中部・近畿・中四国地区においても、ＡＯ入試は専願制主流なので要注意。一方、関東地区の推薦入試は専願制が主流だが、ＡＯ入試では併願制も全体の23.7％とかなり多い。

＜成績基準＞
地区区分	北海道東北	関東	中部	近畿	中国四国	九州
設定なし	37校	162校	69校	93校	36校	37校
複数条件の１つ	0校	8校	0校	3校	1校	1校
必須条件	6校	24校	14校	21校	5校	6校

成績基準を必須条件として設けるケースは、関東地区が最も多く、次いで近畿地区が目立つが、全般的に基準は緩やかである。

＜資格・活動実績＞
地区区分	北海道東北	関東	中部	近畿	中国四国	九州
設定なし	27校	144校	67校	89校	34校	28校
複数条件の１つ	11校	39校	8校	23校	4校	13校
必須条件	4校	46校	11校	33校	4校	14校

必須条件としての設定率が最も高いのは九州地区で25.5％、次いで近畿地区の22.7％、関東地区の20.1％が高い。

推薦入試情報

◆私立大：2016公募推薦入試の全国統計レポート（１）

弊社では、毎年、私立大の公募推薦入試に関する諸統計をまとめている。今号では、地区別実施学部数の詳細をご紹介する（全国集計は弊社「推薦入学年鑑」の解説ページにグラフを掲載。複合学部は複数扱いで集計）。

＜地区別公募推薦実施学部数＞　＊ユニーク推薦含む
	北海道・東北	関東	中部	近畿	中四国	九州
人文科学	18	106	38	79	23	26
社会科学	44	194	98	128	34	47
教育（教員養成）	12	62	31	40	21	15
理・工学	10	62	18	32	14	17
農・水産・獣医	2	18	2	3	1	1
保健・医療	28	89	44	75	26	22
生活科学（栄養）	10	32	18	23	14	11
芸術	6	25	12	21	7	5
体育（健康）	5	19	16	18	5	5
（計）	135	607	277	419	145	149

全ての学部系統にわたって実施学部の層が厚いのはやはり関東地区、次いで近畿・中部の２地区だろう。全地区とも人文科学系、社会科学系、保健・医療系、教育系、理工学系の５分野は豊富にそろっているが、その他の分野については地区によってかなり格差があるので注意する必要がある。

特に実施学部数が地区で10校未満の系統の志願動向には十分注意する必要があり、農・水産・獣医系は関東地区への一極集中が目立っている。全般的には、就職実績や資格志向の目立つ分野、例えば保健・医療系、教育系、管理栄養系などの志願動向に細心の注意を払いたい。

◆私立大：2016地区別一般推薦の成績基準の設定状況

私立大における一般推薦の成績基準の設定状況は、地区によって大きな差異があるので、十分留意してほしい（全国集計は弊社の「推薦入学年鑑」の解説ページにグラフを掲載）。

	北海道東北	関東	中部	近畿	中国四国	九州	（計）
なし	11	50	46	101	20	21	249
2.7	0	3	1	2	1	0	7
2.8	0	0	0	0	0	0	0
2.9	0	0	0	0	0	0	0
3.0	15	54	27	10	14	13	133
3.1	0	3	0	0	1	2	6
3.2	10	33	9	3	2	7	64
3.3	7	28	9	2	1	7	54
3.4	2	7	4	0	4	1	18
3.5	23	56	18	4	4	16	121
3.6	1	10	3	0	1	2	17
3.7	5	6	2	0	0	3	16
3.8	9	10	2	1	2	3	27
3.9	0	0	0	0	0	0	0
4.0	2	8	1	2	0	1	14
4.1	0	2	0	0	0	0	2
4.2	0	2	0	0	0	0	2
4.3	1	0	0	1	2	1	5
（計）	86	272	122	126	52	77	735

上記の表から分かるとおり、成績基準の設定が最もきびしいのは関東地区、次いで北海道・東北地区の東日本。反対に基準設定が緩やかな地区としては近畿があげられ、基準を設けないケースが８割余を占める。次いで、中部地区、中国・四国地区の基準が緩やかで、こと成績基準については「東高西低」の構図が明白に見て取れる。また、学力把握措置の強化に伴って、近年は基準撤廃のケースがやや減少し、3.0～3.4と3.5以上のゾーンの設定が増える傾向にある。

ニュースフラッシュ

◆28年度国公立大入学者選抜の概要を公表

文部科学省はこのほど７月末時点でまとめた、28年度国公立大入学者選抜の概要を公表した。実施大学・学部数は国立大が82校395学部で10学部増加、公立大は84校180学部で２学部増加している。募集人員は国立大が376人減の95,760人、公立大は104人増の28,993人となっている。入試区分別の概要は次のとおり。

＜一般入試＞

■日程別大学・学部数: 国公立大とも分離分割方式が主流で大きな変化はないが、国立大では新増設学部が増えた。
■センター試験: 国立大は５教科、６教科、３教科の順、公立大は５教科、３教科、４教科の順となっている。６教科型をみると、国立大が63校（76.5％）、公立大が９校（10.7％）で、受験負担の差異は明白だろう。
■個別学力検査等: 学力検査を課すケースをみると、国立大は１教科型が64校、２教科型が59校、３教科型が44校で、公立大もほぼ同様の状況で大きな変化はない。学力検査以外では、国立大は面接、公立大は小論文がトップを占める。
■２段階選抜実施予告大学: 国立大は44校122学部で１校１学部増、公立大は前年より１校１学部増えて18校37学部となっている。

＜ＡＯ入試＞

国立大は50校156学部で前年より３校17学部増、公立大は前年より１校１学部増の25校34学部。国立大でセンター試験を課すのは27校76学部（10学部増）、免除が42校104学部で、まだ免除型の方が上回っている。公立大でセ試併用型は前年の６校７学部から７校８学部へ増加している。

＜推薦入試＞

国立大は77校279学部で、前年より２校13学部増（東京大・京都大が新規導入）。公立大は82校169学部で学校数は変わらず、２学部増加する。推薦実施率は国立大が93.9％、公立大が97.6％といずれも高いが、学部数でみると国立大70.6％、公立大93.9％で、国立大での比率がまだ低い。センター試験を課すのは国立大が61校（74.4％）・154学部（39.0％）で、前年より11学部と大幅に増加しているので注意したい。公立大は26校（31.0％）・47学部（26.1％）で、１校７学部増加するが、国立大と比べるとセ試併用率は低い。

ちなみに国立大でＡＯ・推薦入試の募集人員が多い上位５校は、筑波大603人、東北大479人、新潟大434人、愛媛大415人、岡山大409人の順となっている。全募集人員に占めるＡＯ・推薦比は、国立大が15.6％、公立大が26.7％で、国立と公立で依然として格差が目立っている。

【連載コラム】ＡＯ・推薦入試基礎講座

◆推薦入試（６）：私立大の選考パターンの特徴と対策

私立大の推薦入試（公募制）における選考方法については、学部系統や地区によってかなり差異があることを十分踏まえて、生徒の指導に当たることが大切だろう。一般推薦・ユニーク推薦を問わず、選考方法自体は共通だが、大別すると、次の７パターンに分類できる。

（１）書類・面接型: 一定の成績基準を定めている一般・ユニーク推薦で比較的に目立つパターン。また、地方圏の中堅私立大群でもこのパターンが多い。推薦入試の中では最もシンプルな選考法で、近年若干増加傾向にあるが、志望動機、入学後の計画などで明確な応答を心がけると共に、やはり基礎学力試問対策もやっておく必要がある。
（２）書類・小論文・面接型: 全国的にみて推薦入試の最もポピュラーな選考法。評価法を公表する私立大の約９割が小論文を点数化して重視しているので、過去問の研究も大切になる。
（３）書類・学科試験型: 面接を実施せず、基礎学力試験の結果を中心に選考するタイプで、成績基準を設定していないケースが多く、近畿地区の主流パターン。
（４）書類・小論文型: パターン（３）の変型で、学科試験の代わりに小論文を実施するが、比較的に中部地区で目立っている。
（５）書類・学科試験・面接型: 保健・医療系や一部の理工系・教育系・管理栄養系がこのパターンを導入しており、大都市圏の有名私立大で目立っている。
（６）書類・学科試験・小論文・面接型: 医学系で目立ち、受験負担が最も重いパターン。
（７）書類・実技型: 面接や小論文を含むケースもあるが、芸術系・体育系で選考の中心となるのは実技試験で、高校３年間の活動実績も重視される。

弊社の調査で、2016一般推薦で面接を課すのは、全体の80.0％で、最も実施率が低いのは近畿地区の45.4％となっている。同様に学科試験を課すのは、全国平均では40.7％だが、近畿地区では69.8％にのぼる。

各地区における学科試験の実施状況、調査書・面接・小論文の評価方法等の詳細は本メールマガジンで今後順次レポートするので参照してほしい。

推薦入試における主要選考要因は、調査書（他の提出書類の充実度も重要）、面接、小論文、基礎学力試験の４つ。東日本では面接・小論文が主流を占め、西日本では学力検査が重く用いられる傾向が強いが、大学によって選考法は多様である。生徒の個性、能力、資質等に応じて、適切な志望校選択を助言してほしい。

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