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AO・推薦入試エクストラ10月10日号

2018推薦入試出願時の必須チェック事項

AO入試情報

私立大:2018AO入試の全国統計レポート(3)

前号に続き、私立大2018AO入試における専願区分、成績基準、資格・活動実績基準に関する弊社の統計レポートをお届けする。

<専願区分> (大学数) (比率)
専願性 398校 79.8%
併願制 80校 16.0%
専・併 7校 1.4%
非公表 14校 2.8%

AO入試でも全体の約8割は専願制で実施し、併願制は16.0%と少ない。出願期が早いので、3年次の早期に第1志望校を絞り込んだ生徒でないと、AO入試は活用しにくい。

<成績基準> (大学数) (比率)
設定なし 437校 80.9%
複数条件の1つ 10校 1.9%
必須条件 93校 17.7%

推薦入試との大きな相違点の1つが、成績基準の設定がきわめて少ないことだろう。必須条件としているのは全体の17.7%で、8割余は成績基準を設けておらず、多くの志願者が流れ込む最大要因となっている。

<資格・活動実績基準> (大学数) (比率)
設定なし 392校 63.1%
複数条件の1つ 96校 15.5%
必須条件 133校 21.4%

成績基準と異なり、取得資格や活動実績を設定する割合は、複数条件の1つと必須条件を合わせて36.9%と全体の4割近くを占める。逆の見方をすれば、資格や活動実績を持つ生徒には、AO入試は現役合格へのパイプとなりうる入試であると言えよう。

ただし、上位私立大群ではAO枠がさほど大きくなく、出願要件と合格可能性を慎重に検討する必要がある。

◆私立大:地区別2018出願条件の設定状況

ここでは2018AO入試の出願条件に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。

<専願区分>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
専願性 36校 135校 67校 84校 36校 40校
併願制 4校 42校 12校 16校 1校 5校
専・併 0校 3校 2校 2校 0校 0校
非公表 1校 9校 1校 3校 0校 0校

推薦入試では併願制が主流の中部・近畿・中四国地区においても、AO入試は専願制主流なので要注意。一方、関東地区の推薦入試は専願制が主流だが、AO入試では併願制も全体の22.2%とかなり多い。

<成績基準>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし 38校 166校 69校 91校 35校 38校
複数条件の1つ 0校 7校 0校 2校 0校 1校
必須条件 4校 31校 18校 26校 7校 7校

成績基準を必須条件として設けるケースは、これまで近畿地区が最も多かったが、本年度は関東地区で急速に増加している。一部の有名私大を除き、全般的にAO入試の基準は緩やかである。

<資格・活動実績>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし 26校 148校 66校 90校 34校 88校
複数条件の1つ 12校 38校 8校 20校 4校 14校
必須条件 5校 60校 15校 34校 5校 14校

必須条件としての設定率が最も高いのは九州地区で25.0%、次いで関東地区の24.4%、近畿地区の23.6%が高い。

推薦入試情報

◆2018推薦入試出願時の必須チェック事項

いよいよ2018年度推薦入試への出願が目前に迫ってきた。一般入試と異なり、高校側が責任を持って送り出す推薦入試の場合、担任や進路指導にはこの時期必ずやっておきたいチェック事項がある。その主要事項を簡潔に整理しておこう。

<提出書類のチェック>
生徒が志望する大学への出願書類の最終チェックが必要。大学や推薦区分により、それぞれ提出書類は異なる。高校側で事前に統一の出願書類チェック表を用意し、生徒に記入・提出をさせるぐらいの周到さが必要で、どれか1つの書類が欠けただけでも出願不受理となるので十分注意したい。調査書では成績基準や履修状況および履修条件の確認、特記事項等が適切に記入されているかを綿密にチェックしておきたい。推薦書については、特に推薦理由を明確かつ効果的に表現する必要がある。生徒が作成する書類(志願理由書、活動報告書、自己推薦書等)については、当然ながら誤字・脱字を含む下書きの事前チェックが欠かせない。ただし、過度の添削は禁物で、生徒の個性を尊重すべきだろう。
<面接力の最終チェック>
大学での試問事項を想定して、すでに何回かの面接トレーニングを実施されているはずだが、この直前期にはどの程度面接力が向上しているか、最終確認をし、欠点が残っていないか確認してほしい。国公私を問わず、面接は推薦入試の根幹をなすので、面接力の向上はきわめて大切だ。
<小論文作成力や基礎学力の最終チェック>
小論文や基礎学力試験における弱点、不十分さが残っていないか確認して、適切に指摘・指導することによって、短期間でも十分生徒のフォローはできる。

以上の点を総合したうえで、受験生の合格可能性が60%程度以上と判断されれば、出願へゴーサインを出してよいが、合格可能性が50%を切るようなら、専願制の鉄則にふれない第2志望校(併願校)も準備しておくべきだろう。

◆推薦区分ごとの主要書類と併願手順の鉄則

推薦入試では、推薦区分によって提出書類にも差異があるが、自己推薦を除いて学校長の推薦書、調査書は必須の提出書類となる。ただし、近畿地区の一部では推薦書を要しない公募推薦がやや増加傾向にある。各区分の主要書類を整理しておこう。

(1)一般・特定教科・専門課程・女子学生・奨学生推薦
この5区分では推薦書・調査書が中心。ただし大学によっては志願理由書のほか自己推薦書、活動報告書等の提出を求めるケースもある。国公立大のセ試併用型では推薦入試用の成績請求票も必要になる。
(2)スポーツ推薦
学校長と部活動指導者の両方の推薦書が必要になるケースがあるので要注意。調査書も必須でほかに競技成績証明書、スポーツ競技歴書、活動報告書(資料)など。
(3)有資格者推薦
推薦書、調査書のほか大学が指定する資格・検定の取得証明書(原本提出のケースもあるので要注意)、活動報告書など。
(4)課外活動推薦・一芸一能推薦
推薦書、調査書のほか課外活動報告書、活動歴書、活動実績・検定取得証明などが必要で、なるべく詳細な資料を時系列方式で添付したほうがよい。
(5)自己推薦
中心となるのは受験生本人の自己推薦書だが、調査書も必須のケースが多く、活動報告書や高校側の志願者評価書などを求めるケースもある。
(6)宗教関連推薦
学校長推薦書、調査書のほか洗礼証明書、宗教関係者の推薦書、宗教活動報告書などが必要になる。
(7)地域推薦
学校長推薦書、調査書のほか地方自治体の首長や指定機関の推薦書が必要になる場合があるので注意したい。
(8)その他の推薦
学校長推薦書、調査書のほか入試内容に応じて、関係団体・同窓会・OB教員等の推薦書等が必要になる。

また、どの区分であれ志願理由書、活動報告書等を提出させるケースもかなり多いので、大学の指定内容には十分注意しなければならない。

最後に推薦入試における併願手順については、専願制のみ注意すればよい。組合せは次の3パターンになる。(1)専願制第1志望+専願制第2志望(第1志望の合格発表後に試験を実施する大学がベスト)、(2)専願制第1志望+併願制第2志望(両方合格の場合は専願制に入学)、(3)併願制第1志望+併願制第2志望(入学手続締切日に注意して志望順位を決め、納付金を節約する)。専願制と併願制を組合わせて、両方に合格した場合、専願制に入学するのが鉄則である。詳細は弊社「推薦入学年鑑」の解説ページを参照してほしい。

ニュースフラッシュ

◆高等教育無償化2案の検討を開始!?

現在の安倍政権が掲げる大学などの無償化について、政府は有力な2案に絞って検討を行う方針を固めた。まず第1は、全国民を対象に在学中は授業料を徴収せず、卒業後に所得に応じて拠出金の形で納付する案。第2は、一定の所得制限をした上で給付型奨学金を拡張する案。いずれの案についても、数兆円規模で必要となる財源の確保には現時点で踏み込んでおらず、検討が難航するのは必至だが、自民党下でこのような高等教育無償化案が浮上したこと事体が大きな驚きだ。

この政策は、高等教育への機会均等の確保をねらい、社会全体で支えようとするもの。政府の目玉政策「人づくり革命」を具体化するため、9月に初会合を開く「人生100年時代構想会議」で大学改革と合わせて議論を開始する。関係法案をまとめ、2020年4月からの新制度の施行を目指すという。

第1案は、オーストラリアの高等教育拠出金制度「HECS(ヘックス)」を参考にする。在学中の授業料などを全額公費で負担する代わり、卒業後に所得に応じて拠出金を納付してもらう。つまり「高等教育は保護者が負担する」という原則を「社会が共同で支える」という考え方に転換するものだ。拠出金は、卒業者がその時点の所得に応じて社会に貢献してもらうという位置づけだが、拠出金のあり方や額などによっては、奨学金の貸付を受けて返済するのと変わらない可能性もあり、周到で国民の理解と共感を得られる制度設計が不可欠になる。ただ、オーストラリアにできて、日本ができない、というのはおかしな話だ。

第2案の「給付型奨学金の拡張」は、今年度先行実施された給付型奨学金制度がもとになる。この制度では、最終的に年6万人程度が返済不要の奨学金を受ける見込みだ。日本学生支援機構が貸与し、返済義務のある奨学生の約132万人(2015年度)に比べてごく少ないため、拡張を図ろうとする。しかし、所得制限を設けるため、高等教育をすべての国民に開かれたものにするという思想からはそれてしまう。

どちらも課題は山積しているが、国の将来を担う人材育成は、国や社会の中核となるのだから、与党・野党を問わず、真剣に議論してほしいものだ。

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