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AO・推薦入試エクストラ11月25日号

文科省が2015AO入試の実施結果調査を公表(2)国公立大

AO入試情報

◆文科省が2015AO入試実施結果調査を公表(2)国公立大

文科省が公表した2015(平成27)年度の大学入学者選抜実施状況の概要に基づき、今号では国公立大のAO入試実施結果をレポートする。例年大きな変動はないが、2015年度国公立大AO志願者は前年の減少から若干増加に転じている。

<国立大>

■実施大学・学部数
2015年度にAO入試を実施した国立大は47校139学部で、前年より実施校数が1校増加し、学部数は6学部増加した。6学部増は近年では注目すべき増加幅だが、2016年度からは京都大が参入し、さらに2017年度からは大阪大が全学的に参加する。
■志願者数
前年より372人(4.0%)増加して、総数は9,744人となった。国立大AOの志願者数が1万人を超えたのは、2008年度・2010年度の2年度のみで、全体としてはほぼ9千人台で推移しているが、そろそろ1万人台を回復すると予測される。
■合格者数
前年より64人(2.4%)増加して、総数は2,729人となり、2年連続で増加している。平均競争率はここ3年3.7→3.5→3.6倍で推移。2013年度は合格者の絞り込みが目立ったが、2014年度は志願減にも関わらず合格者は微増、2015年度は志願増と連動して増えている。ただ、セ試併用型の合格率は依然としてきびしい傾向がある。
■入学者数
入学者数は前年より50人増加して、計2,679人となった。全入学者に占めるAO入学者の比率は2.6%→2.7%と前年より若干上昇した。

有力総合大の多くがAO入試を実施しないだけに、AO入学者の全体に占める比率は小さいが、実施校・学部の定員枠は5~10%(医学科10~35%)にのぼる。今後もAO入試には万全の態勢で臨んでほしい。

◆公立大・短大の2015AO入試実施結果の概要

ここでは文科省が公表した2015大学入学者選抜実施状況調査から、公立大・短大のAO入試に関する概要をレポートする。周知のとおり、公立大・短大でのAO実施率はきわめて低いが、第1志望校・学部が実施するケースは、貴重な受験ルートとして活用できる。

<公立大>

■実施大学・学部数
前年と比べ、実施校数は変わらないものの4学部減少して、23校32学部がAO入試を実施した。大学数では27.4%、学部数では17.2%と、実施率は依然として低い。
■志願者数
2013年度は119人(6.0%)の大幅減、2014年度は28人(1.5%)の微減だったが、2015年度は265人(14.5%)の大幅増に転じたことが注目される。
■合格者数
合格者数は前年より59人(9.7%)増加して666人。ピーク時の688人にかなり近づいた。
■入学者数
前年より59人(9.8%)増え、総数は663人となった。その結果、全入学者に占めるAO入学者比率は1.9%→2.0%→2.2%で推移し、2年連続で上昇している。

<公立短大>

実施大学・学科数は前年までの4校7学科から5校8学科へ増加した。志願者数は97人→111人へ、合格者数は77人→98人へ、入学者数は77人→97人へいずれも増加し、前年度とは対照的な傾向となった。公立短大では、AO入試より推薦入試が主流となっている。

推薦入試情報

◆文科省が2015推薦入試の実施結果調査を公表(2)国公立大

文科省が公表した2015(平成27)年度の大学入学者選抜実施結果の概要に基づき、今号では国公立大の推薦入試の実施状況についてレポートする。実施大学・学部数はさほど変化していないが、国立大は志願者・合格者とも4年連続の微減となっている。

<国立大>

■実施大学・学部数
前年の76校269学部から1校2学部減少し、75校267学部が実施した。学校数では91.5%、学部数では69.0%が実施した。
■志願者数
前年より394人(1.2%)減少して、総数は32,231人となった。セ試併用校の増加が一因と考えられ、4年連続の志願減だが、2016年度からは東京大・京都大の参加で若干状況は変化するだろう。
■合格者数
前年より158人(1.3%)減少して、12,117人となったが、平均競争率はここ4年2.7倍で推移している。
■入学者数
前年より132人(1.1%)減少して、総数は12,096人となった。その結果、全入学者に占める推薦入学者の比率は過去3年で12.3%→12.2%→12.1%と低下し続けている。

全般的にみて、国立大の推薦入試では近年、セ試併用型が増加傾向にあり、それが志願動向にかなり影響しているとみられるが、まだセ試免除型の方が多く、推薦実施校では推薦入学者の比率が大学・学部により30~50%を占めるケースも多いので、今後とも推薦対策には万全を期す必要がある。

◆公立大・短大の2015推薦入試実施結果の概要

ここでは文科省が公表した2015大学入学者選抜実施結果から、公立大・短大の推薦入試に関する概要をレポートする。周知のとおり、公立大・短大は推薦入学者の比率がかなり高いので、積極的に活用を検討する必要がある。

<公立大>

■実施大学・学部数
実施校は前年より1校増え82校であったが、学部数は前年と変わらず165学部であった。学校数では全体の97.6%、学部数では88.7%の実施率であった。
■志願者数
今年度は820人(4.7%)増加して、総数は18,106人となったが、地元対象が多いだけにまだ公立大志願者全体の11.7%にすぎない。
■合格者数
前年より71人(1.0%)増加して、計7,370人となった。平均競争率は過去3年2.4倍で推移していたが、2.5倍へ若干上昇した。
■入学者数
志願増に伴い、前年より69人(0.9%)増えて、総数は7,361人となり2年連続の増加。その結果、全入学者に占める推薦入学者の比率は、前年の24.1%から24.0%へ若干低下した。公立大入学者のほぼ4分の1が推薦入学者という状況になっている。

<公立短大>

実施大学・学科数は16校38学科で前年より1校2学科減少したが、実施率は100%(学科95.0%)であった。学科数減少に伴い、志願者数は81人(4.5%)減少して1,709人。合格者数は43人(3.2%)減の1,315人。平均競争率は前年と同じ1.3倍であった。全入学者に占める推薦入学者の比率は前年の41.5%から42.3%へやや上昇する結果となった。

ニュースフラッシュ

◆29年4月開学予定の大学・短大の申請状況

文科省は本年10月末に申請のあった平成29年度開設予定の大学(6件)、短期大学(2件)の設置認可について、審議会へ諮問したことを公表した。私立大6校のうち5校までが保健医療系で占められている。

<私立大学>

■北海道千歳リハビリテーション大学
健康科学部=リハビリテーション学科理学療法学専攻80・作業療法学専攻30(北海道千歳市、学校法人淳心学園)
■岩手保健医療大学
看護学部=看護学科80(岩手県盛岡市、学校法人二戸学園)
■福井医療大学
保健医療学部=リハビリテーション学科理学療法学専攻50・作業療法学専攻40・言語聴覚学専攻30、看護学科60(福井県福井市、学校法人新田塚学園、*福井医療短大は募集停止)
■一宮研伸大学
看護学部=看護学科80(愛知県一宮市、学校法人研伸学園、*愛知きわみ看護短大は募集停止)
■大阪キリスト教学院大学
こども教育学部=こども教育学科80(大阪府大阪市、学校法人大阪キリスト教学院、*大阪キリスト教短大の幼児教育学科は定員減、国際教養学科は募集停止)
■福岡看護大学
看護学部=看護学科100(福岡県福岡市、学校法人福岡学園)

<私立短期大学>

■東京歯科大学短期学
歯科衛生学科50(東京都千代田区、学校法人東京歯科大学)
■ユマニテク短期大学
幼児教育学科100(三重県四日市市、学校法人大橋学園)

なお、10月末時点で次の2校の学部・学科新設が認可されている。

■城西国際大
福祉総合学部=理学療法学科80
■帝京科学大
医療科学部=医療福祉学科80

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(8):国公私別・学部系統別実施状況と動向

国公立大で推薦入試を実施する学部系統には、例年、大きな変動はない。それに対し、新増設・学部改組などが活発な私立大では、数年間で実施構図が大きく変化することがある。国公私立それぞれの実施学部の状況を弊社の2016年度に関する独自統計(公募制・昼間部)でみてみよう(複合領域の学部は複数扱い)。

<国立大>

まず推薦入試を全く実施しないのは、北海道大、東北大、東京芸術大、京都工芸繊維大、九州大の5校、ごく一部の学部・学科でしか実施しないのは、東京外語大、東京工大、一橋大、京都大、大阪大、広島大の6校で計10校。これらの中には推薦入試からAO入試へ全面移行した大学も含まれるが、これら全てが推薦入試を導入しない限り、推薦入試システムそのものが脇役という状況が続くだろう。ただし、2016年度から東京大・京都大が参入したことでやや状況は変化する。

2016年度に実施したのは82校中の77校で計295学部。文系の実施学部数は、人文科学26(8.8%)、社会科学54(18.3%)で全体の4分の1程度。理系は理学26(9.5%)、工学52(17.6%)、農・水産31(10.5%)、保健・医療48(15.9%)と豊富で全体の5割強を占める。教育・教員養成も47学部(15.9%)と多い。反面、生活科学系は3学部、芸術・体育系は6学部と少ない。理系志望の受験生にとって、国立大の推薦入試のメリットは大きく、特に医学系は人気が高い。

<公立大>

推薦入試を実施しないのは京都市芸大、九州歯科大の2校で、84校中82校、199学部で実施する。文系の実施学部数は、人文科学20(10.1%)、社会科学52(26.1%)とかなり多い。理系では保健・医療の56学部(28.2%)が群を抜いて多いのが特徴だが、その中心は看護学部で、医・薬学部は国立大よりかなり少ない。理工学は24学部(12.1%)、農・水産系は8学部(4.0%)で、理系の比重は全体の44%程度。国立大と比べると生活科学系16(8.0%)、芸術・体育系15(7.5%)の2分野が比較的にそろっているという特徴がある。ただし、教育系は8学部(4.0%)だけと少ない。

<私立大>

全私立大580校のうち95.5%にあたる554校が公募制を実施し、完全指定校制は首都圏に集中している。公募・指定校制とも実施しないのは3校のみ。公募制の実施学部数は1,732学部と多く、全系統にわたって実施学部が豊富にそろっている。文系では人文科学290(16.7%)、社会科学545(31.5%)で全体のほぼ5割を占める。これに近年増加した教育系181(10.5%)を加えると全体の約6割となり、私立大の実施構図は「文高理低型」となっている。

理系では、この10年ほどで薬・看護・医療系学部が大幅に増え、保健・医療が284学部(16.4%)となり、理工学の153学部(8.8%)を大きく引き離している。農・水産は27学部(1.6%)で国立大より少ない。これら3分野の理系は、全体の27%程度となっている。

その他、私立大では生活科学系108(6.2%)、芸術系76(4.4%)、スポーツ・健康系68(3.9%)の3分野の学部数も豊富で、男女を問わず、推薦入試で多様な受験生を受け入れる基盤が整っている。

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