私立大学で推薦入試のないところはほとんどない、と言ってもいいほど推薦入試は今や、大学入試として一般的な方式。文部科学省が「推薦入試での募集人数は定員の5割まで確保してもよい」としているため、最近は各校で推薦入試の募集枠を広げている。
「公募制推薦」は高校長の推薦があり、出願条件をクリアしていれば、どの高校からでも、だれでも受験できる。東日本では募集人数が少なく、成績基準が高めで、競争率は低い。だが、西日本では募集人数が一般入試並みもしくはそれ以上で、成績基準を設けないことがあり、競争率が高い。一方、大学が指定した高校からだけ出願できる「指定校推薦」は全般的に成績基準が高め。一つの高校から推薦できる人数も3~4人なので高校内での競争率が高くなるが、高校の推薦を受けられれば、合格はほぼ間違いない。ほかにも「スポーツ推薦」「有資格者推薦」「課外活動推薦」「自己推薦」「専門課程推薦」「宗教関連推薦」「同窓子女推薦」など、大学によってさまざまな制度がある。
推薦入試の選抜方法は「書類(調査書)・面接・小論文(作文)」というパターンが多い。高校でがんばってきたこと、生徒会や部活動、ボランティアなどでの活躍などは、書類や面接でアピールしよう。志願者の多い大学では、面接や小論文審査に時間がかかるので、代わりに「書類・学科試験」というパターンの場合もある。その場合、学科試験の教科数は一般入試よりも少なめだ。
推薦入試は10月下旬ごろから始まる。試験日が集中するのは11月上旬~中旬で、12月にはたいてい入学者が決まる。これまでは推薦といえば「専願」が主流だったが、最近では「併願」を認める大学も多く、試験日を選べる「試験日自由選択制」を取り入れているところもある。「専願」の場合は、合格したら入学辞退はできないので、合格発表日や入学手続きの締切日などを考慮して、併願スケジュールを立てよう。
「専願」は一つの大学だけに出願し、「合格したら必ず入学する」という意思表示をすること。「併願」は二つ以上の大学を受験すること。推薦入試やAO入試では基本的に、専願を条件としているところが多い。
国公立大学と私立大学・短期大学では面接の内容や目的が違う。国公立大学では受験生の学問的な素質を重視し、学科内容や将来の専攻分野についての質問がメイン。私立大学・短期大学の場合は、弊社の調査によると「第1志望としての入学熱意」を確認し、「バイタリティや自主性の豊かな者」であるかを評価する。主に聞かれる項目を整理すると、
に分類できる。
国公立大学でも私立大学でも、面接試験ではいずれも、面接官が「何を知るために聞いているか」を意識しながら、正しい言葉遣いで、はきはきと明確に答えることが大切。そして、「自分がなぜこの大学に入りたいのか」「何を学びたいのか」「どんな学生生活を送りたいのか」といった、大学への熱意をアピールしよう。
●興味ある学問分野 ●長所や短所 ●健康状況 ●趣味 ●高校時代の特別活動(部活、生徒会、ボランティア) ●出欠状況 ●得意科目や不得意科目 ●教養や一般常識 ●印象に残った本 ●時事的な社会問題に対する意見 ●尊敬する人物 ●専攻分野の基礎的な知識 ●志望動機 ●入学意志の確認 ●入学後の抱負 ●卒業後の希望進路
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