私が持っている「フリーの仕事」と言うイメージは
特定の会社に属さず、その時の仕事内容によって
いろいろな会社で仕事をもらうという感じです。

その感覚から言うと、技工の仕事でフリーでやって
いる人というのはあまり聞いたことがありません。
通常は、多人数の技工所という会社組織に所属す
るか、もしくは個人経営の技工所を開いています。

個人経営の技工所は、多人数の会社に属さない
という点では、フリーに近いのかも知れませんが
あくまで技工所の看板をあげて、大抵は特定の
病院から仕事を請けていますから、あちこちへ顔を
出すという感覚とは少し違います。
ほとんど、大きい小さいは別にして、技工所という
会社組織に所属して仕事をしているわけです。
そして病院から仕事を請けて、技工物を製作して
います。
今日は、あちらの技工所又は病院から仕事を受け
明日は、別の所からの仕事を受けて　という仕事の
仕方は、ほとんど無いのでは?と思います。

というのは、技工作業には誤差を伴うからだろうと
思います。
技工操作では、使用材料やその使用方法によって
ほんの少しずつですが寸法変化が生じます。
硬そうに見える金属だって、一旦溶かしてから冷却して
固めると、収縮して小さくなります。
そのわずかな誤差を、手作業の感覚で補正しながら
製品を作っています。
ですから、何回か出来上がり具合をフィードバックさせ
ながら、誤差の補正を調整して出来上がりが丁度いい
状態になるようにしていく準備が必要になります。
そのため、いつもの慣れた病院と技工所間での取引が
ほとんどになってしまいます。

この様なわけで、なかなかフリーであちこちへ顔を出して
いろいろな所で仕事をするという人は少ないのではと
思います。