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総合型・推薦型選抜エクストラ8月25日号

私立大:2020総合型選抜(AO)結果の集計レポート(6月30日現在)

総合型選抜情報

◆国立大:2019国立大のAO志願者数が史上最高を更新

弊社では全国版「総合型選抜年鑑」の発刊に際して、私立大の総合型選抜の動向を把握するため、毎年、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2020総合型選抜(AO)結果の集計状況からレポートしておきたい(データ公表校のみ集計)。

学部系統別の志願者数・合格者数の状況は次のとおりであった。

系統 志願者数 合格者数 平均倍率(前年度)
人文科学 22,129人 9,225人 2.4倍(2.1倍)
社会科学 48,316人 20,206人 2.4倍(2.1倍)
教育・教員養成 10,488人 5,420人 1.9倍(1.9倍)
理工学 7,896人 3,908人 2.0倍(1.8倍)
農・水産・獣医 1,733人 779人 2.2倍(1.4倍)
保健・医療 20,534人 6,758人 3.0倍(2.9倍)
生活科学(栄養) 5,118人 3,035人 1.7倍(1.7倍)
芸術 14,781人 6,927人 2.1倍(1.9倍)
スポーツ・体育
(健康)
10,508人 5,276人 2.0倍(2.1倍)
(計) 141,573人 61,534人 2.3倍(2.1倍)

全体の志願者数は、2019年度より24,506人、20.9%もの大幅増(自己推薦の移行が大きく影響している)となり、ここ4年連続の大幅増となった。合格者数は10.3%の増加にとどまり、平均倍率は2.1倍→2.3倍とやや上昇している。

 

学部統計別にみると、志願増となった分野は、前年度と同じく、人文科学、社会科学、教育・教員養成、理工学、農・水産・獣医、保健・医療、生活科学、芸術、スポーツの9分野すべてにわたっている。平均倍率でみると、特に保健・医療系は人気が高く、倍率も3.0倍と全系統の中で抜きん出ている。次いで、この1~2年は社会科学系の倍率アップが要注意だろう。農・水産・獣医系は志願者が倍近くに増え、倍率が1.4→2.2倍へ上昇した。なお、理工学系の志願者数が8千人近くに迫ったことも注目され、2020は総体的に文系・理系とも人気上昇が際立った。

正確な統計は、例年、秋ごろ公表される文部科学省の発表を待たねばならないが、本年鑑の統計と大きな差異はなく、総合型選抜として迎える2021年度入試も着実に志願者数が増加傾向になると予測される。

◆私立大:2020総合型選抜(AO)の地区別志願動向(6月30日現在)

私立大の総合型選抜(AO)戦線は、地区によって差異が大きいので十分注意する必要がある。弊社が集計した地区別の2020総合型選抜(AO)結果は次のとおりとなっている(カッコ内は前年度比の増減を示す)。

志願者数 合格者数 平均倍率
北海道・東北 5,384人 3,821人 1.4倍(1.4倍)
関東 85,697人 33,360人 2.6倍(2.1倍)
中部 12,294人 7,001人 1.8倍(1.6倍)
近畿 27,556人 11,308人 2.4倍(2.1倍)
中国・四国 6,009人 3,686人 1.6倍(1.6倍)
九州 4,633人 2,351人 2.0倍(1.8倍)

全般的にみて地方圏の私立大では、入試区分ごとのデータ公表状況が芳しくないという事情はあるが、全体の動向は弊社の統計でも明白に表れてくる。2020年度の場合、九州地区を除いて多くの地区で志願増となり、とりわけ関東地区の3年連続の激増、次いで近畿地区の大幅増が目立つ。また、例年と同様に志願者数では関東地区が群を抜いて多く、全志願者数の60.5%を占めている。

一方、合格者数では関東・近畿の大都市圏では合格者を絞り込む傾向が見られ、平均倍率が上昇しているので要注意だろう。

また、関東と近畿を比較すると、推薦入試が「東低西高」型であるのに対して、総合型選抜(AO)では完全に「東高西低」型の入試構図になっていることも見て取れよう。これは、関東地区が学校推薦型選抜ではきびしい成績基準を設けるのに対して、総合型選抜ではほぼ基準設定がないことによっている。

学校推薦型選抜情報

◆公募制推薦で課外活動推薦を実施した私立大学・学部(北海道・東北地区~中部地区)

2021年度入試から推薦入試が学校推薦型選抜へ移行するが、2020年度公募制推薦で課外活動推薦を実施した私立大学・学部を参考資料として掲載しておく。(2021年度学校推薦型選抜で課外活動推薦を実施する私立大学・学部は確定次第ご紹介する)


<北海道・東北地区>

札幌大(地域共創学群)、札幌大谷大(社会)、札幌学院大(心理・人文・法・経済・経営)、苫小牧駒澤大(国際文化)、藤女子大(人間生活‐人間生活)、北星学園大(文‐心理・応用コミュニケーション)、北海商科大(商)、酪農学園大(農食環境学群‐環境共生)、弘前学院大(社会福祉)、盛岡大(文)、東北学院大(文・経済・経営、法・工・教養)、東北福祉大(総合福祉・総合マネジメント・教育・健康科学)、秋田看護福祉大(福祉)、東北公益文科大(公益)、医療創生大(看護・健康医療科学)


<関東地区>

茨城キリスト教大(文・生活科学・看護・経営)、日本ウェルネススポーツ大(スポーツプロモーション)、育英大(教育)、共愛学園前橋国際大(国際社会)、埼玉医科大(医)、東京国際大(商・経済・言語コミュニケーション・国際関係・人間社会)、獨協大(外国語・国際教養・経済)、武蔵野学院大(国際コミュニケーション)、愛国学園大(人間文化)、江戸川大(社会・メディアコミュニケーション)、東京情報大(総合情報)、明海大(外国語、経済、不動産、ホスピタリティ・ツーリズム)、亜細亜大(経営・経済・法・国際関係・都市創造)、上野学園大(音楽‐器楽)、恵泉女学園大(人文・人間社会)、工学院大(先進工・工・建築・情報)、実践女子大(生活科学‐現代生活)、産業能率大(情報マネジメント)、昭和女子大(人間文化、環境デザイン、国際‐英語コミュニケーション)、大正大(社会共生、地域創生、表現、心理社会、文、仏教)、大東文化大(外国語‐英語)、拓殖大(商・政経・外国語・国際・工)、東京家政学院大(現代生活‐生活デザイン・児童)、東京工芸大(芸術)、東京農業大(農・応用生物科学・生命科学・国際食料情報・・生物産業)、日本大(法1、商、芸術‐映画、危機管理、理工‐土木工・交通システム工・建築・海洋建築工)、日本女子体育大(体育‐ダンス)、文京学院大(経営、人間、保健医療技術‐理学療法・作業療法)、明星大(建築・理工・人文・経済・情報・教育・経営・心理)、和光大(現代人間・経済経営)、神奈川大(法・経済・経営・外国語・国際日本・人間科学・理・工)、鶴見大(文)、桐蔭横浜大(スポーツ健康政策)、東洋英和女学院大(人間科学・国際社会)


<中部地区>

松本歯科大(歯)、長岡大(経済経営)、富山国際大(現代社会・子ども育成)、金沢工業大(工、情報フロンティア、建築、バイオ・化学)、福井工業大(工・環境情報・スポーツ健康科学)、朝日大(法、経営、保健医療‐健康スポーツ科学)、岐阜聖徳学園大(外国語・経済情報)、愛知工科大(工)、金城学院大(国際情報‐メディアスタディーズ、人間科学‐コミュニティ福祉)、中部大(工、経営情報、国際関係、人文、応用生物‐応用生物化学・環境生物科学・食品栄養科学‐食品栄養科学、生命健康科学‐生命医科学・スポーツ保健医療、現代教育)、名古屋学院大(経済・現代社会・商・法・外国語・国際文化・スポーツ健康)、名古屋文理大(健康生活・情報メディア)、日本福祉大(社会福祉、教育・心理、健康科学‐福祉工、経済、国際福祉開発、看護)


<近畿地区>

聖泉大(人間)、京都華頂大(現代家政)、京都橘大(文、発達教育、現代ビジネス、健康科学‐心理)、同志社大(文‐美学芸術、神、社会‐社会福祉、文化情報)、平安女学院大(国際観光・子ども教育)、立命館大(法、産業社会、国際関係、文、映像、経営、政策科学、総合心理、グローバル教養、経済、スポーツ健康科学、食マネジメント、理工、情報理工、生命科学、薬)、龍谷大(文・経済・経営・法・政策・国際・先端理工・社会・農)、追手門学院大(経済・経営・地域創造・社会・心理・国際教養)、大阪音楽大(音楽)、大阪学院大(全学部)、大阪経済法科大(国際・経済・経営・法)、大阪国際大(経営経済・人間科学・国際教養)、大阪産業大(国際・経営・経済・デザイン工・工)、関西福祉科学大(社会福祉・心理科学・健康福祉・教育)、関西外国語大(外国語・英語国際)、四天王寺大(人文社会・教育・経営・看護)、摂南大(法・外国語・経済・経営・理工)、梅花女子大(文化表現、心理こども、食文化‐食文化、看護保健‐口腔保健)、阪南大(国際コミュニケーション、国際観光、経済、流通、経営情報)、桃山学院大(国際教養・社会・法・経済・経営‐経営)、神戸医療福祉大(人間社会)、神戸芸術工科大(芸術工)、兵庫大(現代ビジネス・健康科学・生涯福祉)


<中国・四国地区>

岡山商科大(法・経済・経営)、川崎医療福祉大(医療福祉・保健看護・リハビリテーション・医療技術・医療福祉マネジメント)、環太平洋大(次世代教育・体育・経営)、広島修道大(人間環境)、広島文化学園大(学芸‐音楽)、徳山大(経済・福祉情報)、徳島文理大(人間生活、保健福祉‐口腔保健・人間福祉、総合政策、音楽、文)、四国学院大(文・社会福祉・社会)、高松大(発達科学・経営)、松山東雲女子大(人文科学)、松山大(経営・法)


<九州地区>

九州産業大(国際文化・人間科学・経済・商・地域共創・理工・生命科学・建築都市工・芸術)、福岡大(工‐化学システム工・社会デザイン工)、福岡工業大(社会環境)、別府大(文、国際経営、食物栄養科学‐発酵食品)、宮崎産業経営大(法・経営)、沖縄大(経法商、人文‐国際コミュニケーション・福祉文化)、沖縄キリスト教学院大(人文)、沖縄国際大(法・経済・産業情報・総合文化)

ニュースフラッシュ

◆学術会議が高校国語の科目再編を提言

日本学術会議の分科会は6月末、「高校国語教育の改善に向けて」と題する提言をまとめた。2022年度から実施の新学習指導要領について、科目の分割やそのやり方に問題があるとし、共通の必修科目を「総合国語」にまとめ、選択科目を「思考と言語」「言語と創造」「言語文化」「国語表現」とするよう提案した。

現行、新学習指導要領、日本学術会議の提言を図示すると以下のようになる[( )内数字は単位数]

現行 新学習指導要領 日本学術会議の提言
必修 国語総合(4) 現代の国語(2)
言語文化(2)
総合国語
選択 国語表現(3) 倫理国語(4) 思考と言語
現代文A(2) 文学国語(4) 言語と創造
現代文B(4) 国語表現(4) 国語表現
古典A(2) 古典探究(4) 言語文化
古典A(4)

新学習指導要領は、共通の必修科目で「国語総合」を「現代の国語」と「言語文化」に分けた。作家や研究者からは「論理と文学は分けられない」「論理国語を選べば、文学を学ぶ機会がなくなる」などの批判が出ている。

日本学術会議はこの指導要領についての分科会を設け、2018年から審議してきた。提言では必修科目(国語総合)を2つに分けたことについて、「現代社会を生きることと古典とを分断してしまう」と批判。共通の必修科目は長期的には「総合国語」にまとめるよう提言。

選択科目については、長期的には「論理国語」を「思考と言語」にし、実用的、論理的、文学的といった区分にこだわらず、問題提起的な教材を用い、「内容を対比、整理、評価、考察したうえで論理的に構成して発表する」などの学びを目指すとしている。「文学国語」は「言語と創造」にし、思想性の高い文章で「異質的な他者や世界観へ想像力を育む」ことを目標とする。

「古典研究」は「言語文化」に改編し、「現代社会と古典との関係を深く理解する教育」を提言した。「国語表現」は情報化社会に対するスキルに留意し、実践的な表現力を養うことを目標にする。

2022年度の新学習指導要領は、とりあえずは上記の表の科目構成でスタートする公算が大きいが、学術会議の指摘も理があり、遠からず改善される可能性もないわけではない。新学習指導要領における科目名より、学術会議における科目名により未来性とグローバル性を感じる方もおられるだろう。

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